東京都と23区市町村の入札についてのまとめ。参加資格や電子入札などを解説

日本の首都として、国の機関や外郭団体の多くが拠点を置く東京。加えて都、23区、市町村など、さまざまなレベルの自治体が集中しているのも東京の特徴です。

今回は東京都内で公募される入札案件について、主に「東京都」と「23区市町村」の2種類に分けて解説していきます。

東京都内の入札案件について

東京都内で募集される入札案件には、さまざまな種類があります。東京都、23区、市町村など発注者となる自治体の数や種類が豊富なうえ、国の省庁や外郭団体などの多くも都内に拠点を置いているからです。

具体的な案件数は年度や月によって変化するものの、一般には毎月7,000件前後〜10,000件以上の入札案件が新たに公示されるといわれています(2020年度は新型コロナの感染拡大などの影響で減少傾向)。もちろんこれは、全国の自治体の中でもトップの数字です。

「東京都」と「23区市町村」では入札参加資格が異なる

同じ都内の入札案件でも、入札制度(入札資格や入札参加の手続き)は発注者によって異なります。たとえば国の省庁や一部の外郭団体が発注者となる場合、入札参加の手続きは「統一資格審査申請・調達情報検索サイト」や「国土交通省インターネット一元受付」から参加資格を取得します。

【参考記事】
全省庁統一資格とは?取得すると何ができる?取得手順や等級も解説
入札参加資格とは?種類や取得のための要件、等級についてわかりやすく解説します

これに対し、東京都内の自治体による入札案件では「都」と「23区市町村」で制度が異なります。仮に東京都の入札資格を持っていても、それだけでは23区市町村の入札には参加できません。もちろん逆も同じです。

それでは、「都」と「23区市町村」の入札制度について、それぞれ解説していきます。

東京都の入札に参加する

ここでは東京「都」の入札案件に参加するための資格や手続き、特に「東京都電子調達システム」を使った電子入札の方法について説明します。

入札の「発注者」について

ひとくちに「東京都の入札案件」といっても、発注者には以下のような機関があります。

  • 総務局
  • 財務局
  • 中央卸売市場
  • 建設局
  • 港湾局
  • 環境局
  • 病院経営本部
  • 産業労働局
  • 教育庁
  • 都市整備局
  • 交通局
  • 水道局
  • 下水道局
  • 警視庁
  • 東京消防庁
  • 住宅政策本部

これらの機関の多くでは、入札案件の種類ごとに発注部署が分かれています。たとえば建設局なら「第一建設事務所庶務課、第二建設事務所庶務課」、水道局なら「経理部契約課、水源管理事務所管理課」といった具合です。

なお、東京には、東京都が出資する公益法人や会社法人といった「外郭団体」がありますが(「公益財団法人東京都公園協会」、「東京都公立大学法人」、「株式会社ゆりかもめ」など)、こうした法人の入札案件は東京都電子調達システムに掲載されません。

外郭団体の入札案件に興味がある場合は、原則としてそれぞれの公式サイトや「ビジネスチャンス・ナビ2020」のような専用サイトで情報を収集し、入札手続きを行うことになります。※ビジネスチャンス・ナビ2020に参加している外郭団体の一覧は「電子入札システム利用団体(都外郭団体等)」で確認してください。

東京都の「入札参加資格」とは?

東京都の入札案件(電子入札)に参加するには、以下の入札資格が必要です。

  • 建設工事等の入札に参加する場合:東京都建設工事等競争入札参加資格
  • 物品買入れ等の入札に参加する場合:東京都物品買入れ等競争入札参加資格

どちらの資格申請も「東京都電子調達システム」から行います。

手続きの流れについては、この後「『東京都電子調達システム』を利用する」の項目で説明しますが、基本的にはどちらも同じです。

また資格の有効期限は最大2年で、偶数年度の1月から3月頃に申し込む「定期受付」と、あらかじめ指定された月に自由に申し込める「随時受付」という、二通りの申請方法が用意されています。

『東京都電子調達システム』の機能

東京都の電子入札サイト「東京都電子調達システム」には、主に「入札情報サービス」と「電子入札」「資格審査」という3つの機能があります。

入札情報サービスでは東京都の入札案件を検索できますが、条件の絞り込みなど検索機能の使い勝手が悪く、希望通りの入札案件を探すにはかなりの手間と時間がかかります。

また、過去の入札案件(入札結果)は前年度の4月1日以降のものしか閲覧できず、それ以前の案件は表示されませんし、検索できるのはあくまで「東京都の入札情報」だけです(23区市町村の入札情報は検索できません)。

このため「入札情報の収集」を効率的に行いたいなら、民間の入札情報サービスを使うほうがおすすめです。

入札ネット+α」は東京都や東京23区市町村を含め、関東甲信越の公共工事の入札情報をすべて網羅していますし、他社の動向や発注傾向、過去の落札額などを分析可能です。14日感の無料トライアルを提供していますので、東京都を始め、関東甲信越の公共工事の入札を検討している方はぜひお試しください。

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なお東京都電子調達システムは、メンテナンスのために以下の時間・曜日でそれぞれサービスが停止するため注意が必要です。

  • 入札情報サービス…毎日4時〜4時10分
  • 電子入札・資格審査…日曜日から金曜日の0時〜8時、21時〜24時/土曜日の終日

『東京都電子調達システム』を利用する

東京都電子調達システム」の主な機能は、トップページの上部に並んでいます。向かって左から「入札情報サービス」「電子入札」「資格審査」、そしてシステム要件や各種操作のマニュアルを収めた「事前準備等」です。

このうち「事前準備等」のページでは、さらに細かくメニューが分かれています。はじめてシステムを利用する場合、まず「推奨環境について」と「パソコンの設定」の内容に従ってハードウェアとソフトウェアを設定してください。

参考までに、必要なシステム環境は以下の通りです。

  • Windows8.1もしくはWindows10のパソコン
  • Internet Explorer 11
  • ICカードリーダ
  • インターネット回線
  • A4用紙への印刷が可能なプリンタ

他にも「推奨環境」としてCPUやメモリ、ハードディスクの要件が指定されています。これらの要件は今後変更される可能性もあるため、ハードウェアやソフトウェアを揃える際は必ず最新情報を確認するようにしましょう。

東京都電子調達システムを使った「事前準備〜入札参加資格の取得〜電子入札」までの流れは、おおまかに説明すると以下の通りです。

※電子入札に必要なICカードなどについては「電子入札システムとは?全体の流れやICカードのことまで徹底解説」も参考にしてください。

■事前準備
①電子証明書の購入
②システムの準備(ハードウェア、ソフトウェアの要件)
③パソコンで電子証明書を使うための環境設定(各種ソフトのインストールなど)
④電子証明書の登録

■資格審査申請書登録
⑤システムにログイン
⑥資格審査申請書の登録

※申請の際は以下の条件を満たす必要があります

  • ・申請日時点で確定した決算がある(創業間もない企業や個人ではない)
  • ・破産者や暴力団関係者等ではない(地方自治法施行令第167条の4第1項の要件)

※建設工事(公共工事)の資格審査では以下の条件も求められます

  • ・建設業許可、経営事項審査、建築士事務所登録、測量業者登録等を受けている
  • ・社会保険・雇用保険に加入している

⑦郵送書類の送付 ※郵送が必要な書類と郵送先はシステム上で指示されます。
⑧資格審査申請書の承認

■電子入札
⑨入札希望票・資格確認申請書の提出
⑩任意指名参加確認書の提出
⑪入札仕様書などのダウンロード(発注図書等の受領)
  ※この後、必要に応じて質疑応答を行います。
⑫入札書・見積書の提出
⑬開札状況・結果確認
⑭通知書等の確認

以上は大枠の流れになりますが、参加したい入札の種類、入札参加者の組織形態(単独かJVか、など)によって手続きの詳細は異なります。詳しくは「事前準備等」のページに掲載されている「操作マニュアル」を参照してください。

23区市町村の入札に参加する

ここからは、東京「23区市町村」の入札に参加するための手続き、特に「東京電子自治体共同運営電子調達サービス」を使った電子入札の方法について説明します。

入札の「発注者」について

「東京電子自治体共同運営電子調達サービス」に参加しているのは、以下の58団体です。

  • 東京23区(計23)
  • 多摩地域の各市町村(計30)
  • 八丈町
  • 青ヶ島村
  • 小笠原村
  • 東京二十三区清掃一部事務組合
  • 多摩川衛生組合

ちなみに「東京二十三区清掃一部事務組合」はその名の通り23区全体の一部事務組合(※)、「多摩川衛生組合」は稲城市・狛江市・府中市・国立市の4市によって構成された一部事務組合(※)です。
※「一部事務組合」とは複数の自治体が事務の一部を共同処理するために設ける特別地方公共団体です。

東京都内にはこれら以外にも多くの一部事務組合がありますが、現時点では東京電子自治体共同運営電子調達サービスに参加していません。こうした一部事務組合の入札に参加する場合は、それぞれのホームページなどから直接情報収集が必要です。

23区市町村の「入札参加資格」とは?

23区や都内の市町村の入札案件(電子入札)に参加するには、案件の内容に応じて「工事」か「物品」の入札資格を取得する必要があります。

どちらの資格も「東京電子自治体共同運営電子調達サービス」から申請手続きを行いますが、申請のタイミングは東京都の入札資格とは違い「随時受付」のみです。有効期限は「資格申請をした月の直前の決算月の翌月から起算して1年8か月後の月の末日」までとなっています。

『東京電子自治体共同運営 電子調達サービス』の機能

「東京電子自治体共同運営 電子調達サービス」の機能も、主に「入札情報サービス」「電子入札」「資格審査申請」の3つです。

操作方法だけでなく検索機能が扱いにくいのも、東京都電子調達システムと共通しています。また東京都のシステムは前年度の入札案件まで検索できましたが、東京電子自治体共同運営電子調達サービスの入札情報サービスでは、過去案件の検索はできません。入札案件の情報収集がメインなら、やはり「入札ネット+α」の利用がおすすめです。

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システムは24時間365日利用できますが、毎月第3火曜日のPM8:00~翌AM8:00の時間帯はメンテナンスのためにサービスが停止します。ほとんどの方にとって影響のない時間帯とはいえ、サービス利用の際は念のため注意しておきましょう。

『東京電子自治体共同運営 電子調達サービス』の使い方

「東京電子自治体共同運営 電子調達サービス」の主な機能もトップページの上部に並んでいます。向かって左から「入札情報」「電子入札」「資格審査」「事前準備」「マニュアル」となっており、こちらも東京都電子調達システムとほぼ同じ内容です。

事前準備に記載された推奨環境は、以下の3点です。

  • Windows8.1もしくはWindows10のパソコン
  • Internet Explorer 11(デスクトップ版)
  • A4用紙への印刷が可能なプリンタ

ただし東京都電子調達システムと同様、ICカードリーダとインターネット回線も必要になるため、注意してください。

東京電子自治体共同運営 電子調達サービスの「事前準備〜入札参加資格の取得〜電子入札」までの流れも、基本的には東京都電子調達システムと同じです。

※電子入札に必要なICカードなどについては「電子入札システムとは?全体の流れやICカードのことまで徹底解説」も参考にしてください。

■事前準備
①電子証明書の購入
②システムの準備(Windows8もしくはwindows10のパソコンなど)
③パソコンで電子証明書を使うための環境設定(各種ソフトのインストールなど)
④電子証明書の登録

■資格審査申請書登録
⑤システムにログイン
⑥資格審査申請書の登録

※申請の際は以下の条件を満たす必要があります

  • ・申請日時点で確定した決算がある(創業間もない企業や個人ではない)
  • ・破産者や暴力団関係者等ではない(地方自治法施行令第167条の4第1項の要件)

※建設工事(公共工事)の資格審査では以下の条件も求められます

  • ・建設業許可、経営事項審査、建築士事務所登録、測量業者登録等を受けている
  • ・社会保険・雇用保険に加入している

⑦郵送書類の送付 ※郵送が必要な書類と郵送先はシステム上で指示されます。
⑧資格審査申請書の承認

■電子入札
⑨入札希望票・資格確認申請書の提出
⑩任意指名参加確認書の提出
⑪入札仕様書などのダウンロード(発注図書等の受領) ※この後、必要に応じて質疑応答を行います。
⑫入札書・見積書の提出
⑬開札状況・結果確認
⑭通知書等の確認

なお「工事の資格・物品の資格」「単独での申請・組合での申請」など、前提条件によって細かな手続きは変わります。詳しくは「マニュアル」のページからそれぞれの手順書をダウンロードしたうえで、確認してください。

まとめ

今回は「東京都」と東京の「23区市町村」にポイントを絞って、それぞれの自治体ごとに使われる2つの電子入札システム(東京都電子調達サービス/東京電子自治体共同運営電子調達サービス)と、その利用方法について説明しました。

どちらのシステムも機能や利用方法は似ていますが、入札参加資格に互換性はありません。発注者に関係なく幅広い入札案件に参加したい方は、今回の内容やそれぞれのサイトの操作マニュアルを参考に、ぜひ両方のサイトに登録しておきましょう。

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