入札参加資格とは?種類や取得のための要件、等級についてわかりやすく解説します

はじめて入札に参加する際、多くの方は「自分たちには入札に参加する資格があるだろうか?」と不安や疑問を感じると思います。実際、ほとんどの入札では「入札参加資格」が求められていますし、発注者によって必要な資格が異なることも珍しくありません。

今回の記事では、入札に必要な資格の種類に加え、実際に入札参加資格を取得する際の手続きや費用、注意点などについて分かりやすく説明していきます。

入札には参加資格が必要

入札に参加するには原則として「資格」が必要です。

もしだれでも自由に参加できるようにすると、実力や実績のない企業が安すぎる金額で落札して、結果として質の悪い仕事が提供される可能性もあります。こうした事態を避けるために、入札案件では発注者や内容に応じた資格制限が設けられているのです。

入札資格は大きく分けて2種類あります。

  1. 発注機関単位で登録する「競争入札参加資格」
  2. 入札案件ごとに求められる参加資格

それぞれの資格は発注機関や案件ごとに細分化されているため、入札を検討する際は事前にしっかり確認することが欠かせません。

「競争入札参加資格」とは?

「競争入札参加資格」とは、発注機関単位で登録する資格のことです。

基本的には各発注機関(官公庁、外郭団体、自治体)ごとに資格が設定されており、それぞれの機関に申請し、登録を受けることで資格を取得できます。

また全省庁統一資格やインターネット一元受付など、多くの競争入札参加資格に共通するのが「等級」です。

たとえば全省庁統一資格では企業の経営規模や経済状況、技術能力などを点数化して、合計点数に応じてA〜Dまでの4段階で格付けしています。

一般に等級が高くなるほど、予定価格の大きい(高難易度の)入札案件に参加できます。

それでは、発注機関ごとに詳しく説明していきます。

官公庁

官公庁には「国土交通省」「農林水産庁」などの省庁に加え、それらの外局や附属機関などが含まれます。具体的には以下の通りです。

1 本資格が有効となる各省各庁衆議院、参議院、国立国会図書館、最高裁判所、会計検査院、内閣官房、内閣法制局、人事院、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会、警察庁、個人情報保護委員会、カジノ管理委員会、金融庁、消費者庁、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省及び防衛省で外局及び附属機関その他の機関並びに地方支分部局を含む。

統一資格審査申請・調達情報検索サイト」より引用

官公庁が発注する「物品」「役務」の入札では、競争入札参加資格として「全省庁統一資格」が必要です。

いっぽう官公庁が発注するものでも、「建設工事」と「測量等」の入札は国土交通省の「インターネット一元受付」で競争参加資格を取得します。

<参考サイト>

外郭団体

外郭団体とは行政の補完的な役割を持つ「半官半民」の組織で、国や自治体ごとにさまざまな種類があります。

たとえば東京都の場合は「財団法人東京都人権啓発センター」「東京都住宅供給公社」「公益財団法人東京都道路整備保全公社」「多摩都市モノレール株式会社」「東京港埠頭株式会社」「株式会社東京スタジアム」などが比較的有名でしょう

参考:東京都監理団体一覧

外郭団体の多くは、独自の競争入札参加資格が必要になります。

一例として、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)の公式サイトには次のようなQ&Aが掲載されていました。

Q.全省庁統一資格の登録があれば、都市再生機構での登録は不要ですか?

A.全省庁統一資格とは、都市再生機構の競争入札参加資格は異なります。当機構の競争参加への希望であれば、当機構の競争入札参加資格に登録願います。

よくいただくご質問 | UR都市機構」より引用

一方で、官公庁と同じ全省庁統一資格を利用している独立行政法人も決して少なくありません(独立行政法人日本芸術文化振興会、独立行政法人国際交流基金など)。外郭団体の入札に参加する際は、十分な注意が必要です。

地方自治体

都道府県や市区町村など、地方自治体も独自の入札資格が必要になります。

ただし一部の県では市区町村全ての入札参加資格をとりまとめ、いわば「県内版の統一資格」として申請するケースもあるため、こちらも注意が必要です。

「入札案件ごとの参加資格」とは?

入札案件ごとの参加資格というのは企業が持つ資格や実績のことで、入札公告や仕様書などに記載されています。たとえば以下のようなものです。

  • 国際標準化機構 (ISO)などが定める国際規格の認証
  • 従業員が持つ国家資格(一級建築士や測量士など)
  • 入札案件と同じような業務の受注実績

その他にも、本店所在地や支店の所在地によって参加資格が制限されることもあります。

入札参加資格取得の流れ

入札参加資格のうち、特に「競争入札参加資格」の取得には一定の手順があります。ここでは「全省庁統一資格」を例に挙げて、申請書類の取得から申請手続きまでの流れを説明していきます。

1. 書類を揃える

競争入札参加資格の取得に必要な書類には、発注機関が配布する「申請書」と「各種添付資料」が必要です。

全省庁統一資格の申請書と記入要項は、以下のサイトからダウンロードできます。

一方、各種添付書類は原則として自分たちで用意します。以下は代表的な添付書類と、その入手方法です。

  • 登記事項証明書…法務局で申請
  • 印鑑登録証明書…法務局で申請
  • 納税証明書…税務署で申請
  • 財務諸表…自社で作成、もしくは税理士などに依頼して作成

ちなみに登記事項証明書や納税証明書のような公的書類は「発行日から3ヵ月以内」という有効期限があるため、書類取得のタイミングには十分注意してください。

2.申請する

申請方法は大きく分けて「郵送」「持参」「インターネット」の3種類です。

なお発注機関によっては申請方法を限定しているケースもあります。原則として指定以外の申請方法では受理されないため、発注機関の公式サイトなどで事前に確認しておく必要があるでしょう。

もし申請手順に不安があったり、申請手続きに人手や時間を割けないという場合は、専門家(行政書士)に依頼するのもおすすめです。

3.「入札参加資格者名簿」への登録

必要書類を揃えて申請を行うと、原則として発注機関単位で審査が行われます。審査項目は主に「経営状況」「経営規模」「技術的能」「営業資格」などです。

問題がないと判断されれば項目ごとに割り振られた点数の合計で等級が与えられ、「入札参加資格者名簿」に登録されます。

なお発注機関によっては審査に数週間~数か月の期間を要することもあるため、入札を希望する具体的な案件がある場合は十分な余裕を持って申請するよう注意してください。

申請手順について、よくある質問をまとめた『入札参加資格とはどんなもの?審査の要件や申請方法についてわかりやすく解説』の記事もぜひご覧ください。

入札参加資格取得の際の注意事項

申請の有効期限に注意

競争入札参加資格には有効期限があります。

具体的な期限は、たとえば「全省庁統一資格」は3年間、東京都内の自治体(市区町村)の入札参加資格なら1年8ヶ月といった具合です。

有効期限内であれば、何度でも入札に参加できます。

申請時にかかる費用・手数料

原則として、競争入札参加資格の取得には費用はかかりません。

今後さまざまな入札案件に挑戦していくのであれば、できるだけ多くの入札参加資格を取得して将来の「選択の幅」を広げておくとよいでしょう。

まとめ

今回の記事では入札参加資格である「競争入札参加資格」と「入札案件ごとの参加資格」を中心に、入札の等級や資格取得の流れ、注意点などについて説明しました。はじめて入札に参加する方はもちろん、いままで応募したことのない発注者の入札案件に興味があるという方は、ぜひ参考にしてください。

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