電子入札システムとは?全体の流れやICカードのことまで徹底解説

近年「電子入札」を利用した入札案件が増えています。一連の手続きを手元のパソコンで行える電子入札には、効率化やコスト削減といったメリットがある一方で、事前に準備すべきことや注意点も少なくありません。

今回の記事では、電子入札に欠かせない「電子入札システム」の特徴をはじめ、参加に必要な準備や電子入札の手順についてわかりやすく説明してきます。

注意

ここで取り上げるのはあくまで電子入札の典型例です。入札に参加する際は必ず発注機関のWEBサイトを確認し、個別の必要事項や手順を確認するようにしてください。

電子入札システム(電子調達システム)とは

「電子入札システム」とは、一連の入札手続きをインターネット経由で行うシステムのことです。発注機関によっては「電子調達システム」と呼ぶこともありますが、基本的には同じものと考えて構いません。

従来の入札では「紙の入札書」を入札会場に持参、もしくは郵送していました。これに対し電子入札では、入札書の提出はもちろん、指名通知や落札結果の確認など、原則として発注機関とのすべてのやりとりを手元のパソコンで行うことができます。

結果として参加者、発注機関双方に「移動費や人件費といったコストの削減」「入札にかかる作業の効率化(時間短縮)」といったメリットが生まれるため、最近では多くの発注案件で電子入札が利用されるようになっています。

電子入札はどれくらい行われているの?

インターネットの普及に伴い拡大している電子入札ですが、現在では中央省庁だけでなく、都道府県や市町村、外郭団体などあらゆる発注機関で利用されています。

例えば国土交通省が開発した電子入札システムがベースの「電子入札コアシステム」を採用する団体は821団体(中央省庁5団体、都道府県関連572団体、市町村関連225団体、独立行政法人等19団体)で、さらに都道府県関連の48団体、市町村関連の2団体がシステムを準備中です。

ちなみに電子入札コアシステム以外にも「総務省方式」や「独自方式」といった電子入札システムがあり、それぞれ一部の団体に利用されています。

電子入札を行うために必要なものは?

電子入札システムを利用するには事前の準備が必要です。「国土交通省電子入札システム」のWEBサイトによると、必要な機器や環境は次の通りになります。

ハードウェア環境(パソコン)

CPUCore Duo 1.6GHz 同等以上
搭載メモリ1.0GB以上
HDD1ドライブの空きが、1.0GB以上
グラフィックプロセッサ(GPU)WDDM対応グラフィックプロセッサ(VRAM 128MB以上)
画面の解像度XGA(1024×768ピクセル)以上
その他ICカードリーダライタが接続できること

ソフトウェア環境

OSWindows 8.1 Pro(32bit版, 64bit版)
Windows 8.1(32bit版, 64bit版)
Windows 10 Pro Version1903(32bit版, 64bit版)
Windows 10 Home Version1903(32bit版, 64bit版)
ブラウザInternet Explorer 11
Microsoft .NET Framework Ver.4.6.1以上
電子入札補助アプリ 電子入札補助アプリ(Ver.1.0.0)
入札専用ソフト 電子入札システムでICカードを利用するために
必要なソフトウェア(各認証局から提供されるもの)

インターネット環境

回線の速度常時接続、FTTH、ADSL 推奨
通信プロトコルHTTP、HTTPS(ホームページ閲覧を行うプロトコル)
SMTP等(電子メールの送受信を行うプロトコル)
LDAP(電子認証に関する通信を行うプロトコル)

(いずれも「国土交通省電子入札システム」より引用)

上に引用した仕様は、あくまで現時点のものです。特にOSがバージョンアップすれば要求仕様も変わることが多いので、実際に環境を整える際は必ずその時点の最新情報を確認するようにしてください。

また発注機関によってはさらに細かい仕様や別の仕様を指定している場合もあるので注意が必要です。

電子入札で必要な「ICカード」とは

電子入札システムを利用する際に欠かせないのが「ICカード」です。多くの発注機関が利用する「電子入札コアシステム」では、専用のICカードを以下の民間企業が発行しています。

企業名サービス名
株式会社NTTネオメイトe-Probatio PS2
三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社DIACERT-PLUSサービス
株式会社帝国データバンクTDB電子認証サービス TypeA
東北インフォメーション・システムズ株式会社TOiNX電子入札対応認証サービス
日本電子認証株式会社AOSignサービス

利用料金や申し込みの条件はそれぞれの会社(サービス)ごとに違いますが、どのサービスを利用しても基本的には1枚のICカードで「電子入札コアシステム」を利用するすべての電子入札に参加可能です。

電子入札の流れ

ここからは「国土交通省電子入札システム」を例にとり、電子入札の典型的な流れを説明していきます。

1. インターネットに接続されたPCを用意する

まず最初に準備するのはパソコンです。OSはWindowsで、それもできるだけ新しいバージョンのものが良いでしょう(ただし「新しすぎる」OSは電子入札システムが対応していない場合もあるので注意が必要です)。

ブラウザにはいろいろな種類がありますが、電子入札システムの多くが対応しているのは「Internet Explorer(インターネットエクスプローラー)」です。こちらもバージョンによって対応できるもの、できないものがあるので注意しましょう。

インターネット環境も必要になります。特別な回線は必要ありませんが、光回線などのブロードバンドがおすすめです。社内ネットワーク保護のために特別なセキュリティ設定をしている場合は、電子入札システムに接続できるかどうかシステム管理者に確認してください。

2. ICカードとICカードリーダーを取得

次に必要なのがICカードです。すでに紹介した民間企業のサービスの中から、料金や利用条件を基準に選ぶと良いでしょう。

電子入札コアシステムに対応したICカードなら、原則として1枚あれば「国土交通省電子入札システム」や各自治体の電子入札システムに対応可能です(発注機関によって例外もあり得ます)。

ICカードには「有効期限」があります。有効期限の設定は各サービスによって違うので、申し込む前にしっかり確認しましょう(例えばe-Probatio PS2では「1年1ヶ月、2年1ヶ月、3年1ヶ月、4年1ヶ月、5年」、DIACERT-PLUSサービスでは「1年、2年、3年、4年10ヶ月」といった具合)。

ICカードの「名義」にも注意が必要です。基本的には「会社代表者」や、会社代表者から委任を受けた「支店長」や「営業所長」ですが、発注機関によって要求条件が異なることもあります。

ICカードは必要に応じて複数発行してもらうこともできますが、発注機関によっては1枚のICカードしか登録できないところもあるため、こちらも要注意です。

3. 各発注機関の電子入札システムに合わせてICカードとICカードリーダーの設定

ICカードが発行されたら、自社のシステムでICカードが使えるよう設定します。「国土交通省電子入札システム」の場合、以下の図の通り、ICカードリーダーの接続と専用ソフトウェアの導入、環境設定、動作確認を行います。

画像引用元:国土交通省電子入札システム

この設定手順は発注機関によって異なる場合があるので、それぞれの機関が用意しているマニュアルを参照しながら設定するようにしてください。

4. 各発注機関の電子入札システムに「利用者登録」を行う

パソコンとICカードの準備ができたら、いよいよ「利用者登録」です。利用者登録とは電子入札システムで IC カードを利用するために必要な手続きで、いったん登録すれば、ICカードの有効期限内は継続して利用することができます。

具体的な登録内容は「商号(会社名)」や「部署名」「連絡先氏名(担当者)」「連絡先住所」「連絡先電話番号(FAX番号)」「メールアドレス」などです。こちらも発注機関ごとに異なる場合があるので、個別に確認してください。

5. 利用開始!

すべての設定が無事に終わったら、いよいよ利用開始です。

はじめて電子入札システムを利用する際は「指名参加願(入札参加資格審査申請)」も必要なので、マニュアルなどを参照しながら手続きを進めましょう。

まとめ

今回は電子入札に参加するための具体的な条件や手順について説明しました。電子入札システムはコストや手間の削減に役立ちます。また最近では、自治体を中心に電子入札が中心の発注機関も少なくありません。

入札参加を検討している企業は、今回の記事や発注機関のマニュアルを参考にしながら、電子入札への対応も積極的に検討してみてください。

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