建設業許可の有効期限とは?更新手続についても解説

建設業許可は取得したら終わりではありません。継続して建設業を営んでいくためには、定期的な更新手続が必要です。この記事では建設業許可の有効期限と更新手続について、わかりやすく解説していきます。

建設業許可の制度について

建設業許可とは、原則として建設業を営むすべての事業者が取得する許可制度です。建設業許可にはいくつもの種類があり、それぞれの事業者は自社で請け負う工事の内容や事業規模などに応じて単独、もしくは複数の許可を取得しなければなりません。

建設業許可の種類

建設業許可の種類については、いくつかの考え方があります。

  • まず営業所の所在地に応じて「大臣許可」と「知事許可」
  • 次に一定金額以上の下請契約を結ぶかどうかに応じて「一般建設業」と「特定建設業」
  • さらに工事の種類に応じて「一式工事」と「専門工事」

といった具合です。特に最後の工事の種類については、一式工事が2種類、専門工事が27種類(計29種類)もあります。

建設業許可はどのようなときに必要?

すでに説明した通り、建設業許可は原則として建設業を営むすべての事業者が取得しなければなりません。しかしこれには例外があって、請け負う工事が「軽微な建設工事」のみであれば建設業許可は必要ないとされています。

ただし公共工事の入札に参加する場合、建設業許可の取得は必須です。これまで軽微な建設工事しか行ってこなかった小規模事業者でも、将来的に公共工事を受注したいと考えているなら、(受注したい工事の種類に応じた)建設業許可の取得を目指す必要があります。

なお建設業許可の詳しい内容や取得方法については、『建設業許可とは?取得要件や種類、申請の流れなどを解説します』をお読みください。

建設業許可には更新が必要

建設業許可には有効期限が設定されています。引き続き一定規模の建設業を営んでいきたい事業者と公共工事の入札に参加したい事業者は、期限が切れてしまう前に更新手続をしなければなりません。

建設業許可の有効期限

建設業許可の有効期限は「5年」です(正確には許可の取得日から数えて5年後の前日です)。

仮に令和4年4月1日に許可を取得した場合、その5年後の前日、つまり令和9年3月31日までが有効期限となります。この「最終日」に曜日や休日は関係ありません。行政機関が業務を行わない土日や祝祭日でもぴったり5年で期限が切れるため、更新のスケジュールには注意が必要です。

有効期限が切れる5年後も建設業を継続する場合、期間満了の30日前までに更新手続を行うことで「さらに5年」有効期限が延長されます。

期限が切れるとどうなる?

更新手続をしないま期限が切れてしまうと、期間の満了と同時に建設業許可の効力が失われます。この状態で(期限切れ前から継続している工事を)引き続き行ったり、新たな工事を受注すると無許可営業として業務改善命令や営業停止処分の対象となり、場合によっては「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」という刑罰が科される可能性もあるため要注意です。

なお多くの自治体では期間満了が近づくと「更新期限到来のお知らせ」が郵送されるため、知らせを受け取ったらできるだけ速やかに手続きを行わなくてはなりません。

建設業を廃業する場合

事業者によっては「建設業を廃業する予定だから更新はしない」というケースもあります。しかし廃業の際は必ず「廃業届」の提出が必要です(更新手続を放置したまま廃業するのはNG)。

もし廃業届を出さないまま建設業許可の有効期限が切れると、行政側の職権で「過去の実績」がすべて抹消されます。過去の実績は再び建設業許可を取得する際の資料として利用するもので、これがないと新規の許可取得が不利になる可能性もあります。

建設業許可の更新手続

ここからは建設業許可の具体的な更新手続について説明していきます。

更新手続の前提条件

更新手続を行う場合、まずは過去5年間にわたる「決算変更届」や「役員変更届」などをしっかり提出していることが大前提となります。

特に決算変更届(事業年度終了報告)は毎年の事業年度終了から4か月以内に行なうことが義務付けられており、これがないと更新手続が大幅に遅れたり、最悪の場合更新そのものができなくなる可能性もあります。

更新申請の受付期間

建設業許可は有効期限が切れる前までに更新する必要があります。ただし更新申請の審査には一定の時間が必要です。標準処理期間は30日とされていますが、申請書類の不備や過去の書類(変更届など)に問題がある場合はさらに時間がかかります。

つまり期限が切れる直前に更新申請をしても間に合わないということです。原則として更新申請は「有効期間が満了する30日前まで」に提出しなければなりません。できるだけ余裕を持って、早めに申請手続をするのが良いでしょう。

ただし、いくら「余裕を持って」とはいっても1年前や半年前に更新を申請するのは早過ぎます。何か月前から申請できるかは都道府県によって異なりますが、おおむね知事許可は2〜4か月前から、大臣許可は3〜4か月前からとなっているようです。厳密な受付期間については、更新申請を行う都道府県に必ず確認するようにしてください。

参考までに、首都圏(1都4県)の受付期間は以下の通りです。

都県知事許可大臣許可
東京都2か月前〜30日前まで3か月前〜30日前まで
埼玉県2か月前〜30日前まで4か月前〜30日前まで
千葉県3か月前〜30日前まで3か月前〜30日前まで
神奈川県3か月前〜30日前まで3か月前〜30日前まで
山梨県2か月前〜30日前まで3か月前〜30日前まで

なお、更新と同時に一般建設業から特定建設業に変更したり、業種の追加手続を行うと費用や手間の節約になりますが、この場合は受付期間が大幅に前倒しされることもあるため(6か月前までに申請が必要、など)注意してください。

受付期間が過ぎた場合

では仮に、「30日前まで」に更新申請が間に合わない場合はどうなるのでしょうか?

30日前を過ぎていても有効期限内であれば、更新申請そのものは受理してもらえます(都道府県によっては追加で始末書などを提出します)。もちろん直前に申請したからといって、審査期間を短縮してもらえるわけではありません。審査中に有効期限が過ぎてしまったら、その時点で建設業許可は失効します。

なお有効期限を1日でも過ぎた場合は更新申請は受理されません。

更新申請の必要書類

更新申請にはさまざまな書類が必要です。添付資料や提示資料には膨大な種類があり、事業者によって必要な書類が一部異なるため(新規申請ほどではありませんが)準備に手間がかかります。

具体的な提出資料・提示資料は以下の通りです(東京都都市整備局『建設業許可 手引、申請書類等』より)

本冊

様式番号書類の名称
1号建設業許可申請書
別紙1役員等の一覧表 
別紙2(2)営業所一覧表(更新)
別紙4専任技術者一覧表(許可申請・変更届出用)
4号使用人数
6号誓約書(欠格要件の確認用)
11号建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表
定款
20号営業の沿革
20号の2所属建設業者団体
7号の3健康保険等の加入状況
20号の3主要取引金融機関名

別とじ

様式番号書類の名称
7号常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書
別紙常勤役員等の略歴書
7号の2常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書
(第1面〜第4面)
別紙1常勤役員等の略歴書
別紙2常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書
技術者要件を証明する書類
(資格証・卒業証明書・監理技術者証の写し)
9号実務経験証明書
10号指導監督的実務経験証明書
12号許可申請者の住所、生年月日等に関する調書
13号建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、
生年月日等に関する調書
14号株主(出資者)調書
商業登記に関する証明書

確認資料・提示資料等

様式番号書類の名称
登記されていないことの証明書・身分証明書
常勤役員等の確認資料
専任技術者の確認資料
建設業法施行令第3条に規定する使用人の確認資料
法人番号を証明する資料(検索結果画面を提示)
健康保険・厚生年金・雇用保険の加入証明資料
役員等氏名一覧表

ここに挙げたのは、あくまで「更新のみ」の提出資料です。もし会社名の変更や業種の追加などがある場合、さらに追加資料が必要になります。

まとめ

建設業許可の更新は、建設業の営業を続けていく上で「必要不可欠」な手続です。審査要件は新規申請ほど厳しくありませんが、それでも非常に多くの資料を用意し、十分前もって申請しなければなりません。まもなく有効期間が満了するという方はもちろんまだ5年の有効期限まで余裕があるという方も、うっかり期限を過ぎてしまうことがないよう、常に更新時期のことを意識しておくようにしましょう。

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