入札に必要な「入札書」とは?記載方法や封筒の書き方まで具体的に解説

入札に参加するには「入札書」の作成が必要です。案件の種類によっては「内訳書」、入札参加者の肩書次第では「委任状」の作成も必要ですし、入札書を入れる「封筒」にも一定のルールがあります。書類の不備によって「入札できない/落札できない」ということがないよう、担当者には入札書についての理解が欠かせません。

今回の記事では多くの案件に共通することの多い、通例的なルールをわかりやすく紹介していきます。なお実際のルールは発注機関や個別の案件によって異なることもあるため、記事の内容を参考にしつつ、案件ごとにしっかり確認しながら入札書を作成してください。

入札書とは

入札書というのは、一般競争入札や指名競争入札に参加する際に「入札金額」を記載する書類のことです。入札書は紙で作成されるほか、電子入札ではシステム画面への入力によって作成されることもあります。

入札書が提出されると、発注機関は記載された金額に基づいて落札者を決定します。ちなみに一般競争入札や指名競争入札の落札者決定方式は以下の2種類です。

  • 価格競争方式
    入札時に最も低い価格を提示した企業を落札者とする方式。この場合の「価格」は入札書に記載された金額で判断される。
  • 総合評価落札方式
    価格と価格以外の要素を合わせて評価する方式。具体的には、入札書に記載された金額に加え、提供される品物やサービスの品質や安全性、環境に与える影響などが考慮される。

いずれの方式で決定されるにせよ、入札書(に記載された金額)が重要になることは間違いありません(一般競争入札と指名競争入札の詳しい内容については「代表的な入札方式をわかりやすく解説!特徴からメリット・デメリットまで」を参照してください)。

発注機関によっては、入札書の書式を指定していたり所定の用紙を用意していることがあるので、入札に参加する際は必ず発注機関に確認してください。一般的には日本語以外の文字を記載したり、作成上の不備(鉛筆や消せるボールペンで記入する、修正箇所に訂正印がないなど)がある場合は入札が無効になるため、こちらも注意が必要です。

入札書と見積書との違い

入札書と似た書類に「見積書」があります。見積書とは「随意契約」の際に、国などの発注機関が民間企業に提出を依頼するものです。ちなみに見積書の作成については「予算決算及び会計令」という法令の中で定められています。

予算決算及び会計令 第九十九条の六
契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。”

見積書には、入札書と同じように提供する品物やサービスの金額が記載されます。しかし入札書と見積書は同じものではありません。入札書が「入札に参加するための書類」であるのに対し、見積書には民間企業から発注機関に対する「契約の申込み」という意味合いがあります。

入札書の様式・書式について

入札の手続きには、紙の入札書を提出する方法(郵送もしくは入札会場に持参)と、ネットワーク経由で入札書を提出する方法(「統一資格審査申請・調達情報検索サイト」「調達ポータル」などから電子入札)があります。

電子入札の入札書はシステム上で入札金額などを入力したり、あらかじめ作成した入札書データをアップロードすることで作成しますが、指定されたサイトごとに利用方法が異なるため注意が必要です(電子入札については「電子入札システムとは?全体の流れやICカードのことまで徹底解説」を参照してください)。

ここでは主に「紙の入札書」について説明します。

入札に必要な書類

入札書の様式は、国(官公庁)や自治体など発注機関ごとに決まっています。あらかじめ所定の用紙が用意されていることも多いため、入札を検討する際は個別の案件情報をしっかり確認することが必要です。

多くの入札案件では、以下の4種類の書類が必要とされています。

入札書
入札に参加するための必須書類。入札金額に加え、入札者の情報(会社名・代表者名・会社住所など)や入札件名を記載する。

②内訳書
入札書に記載した金額の内訳となる書類で、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」という法律の中で提出が義務付けられています。

公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 第十二条
建設業者は、公共工事の入札に係る申込みの際に、入札金額の内訳を記載した書類を提出しなければならない。”

内訳書が提出されなかったり不備がある場合は入札が無効とされることもあるため、入札書と同様、注意が必要です(参考:法務省大臣官房施設課「工事費内訳書の不備等により入札を無効とする場合について」)。

③委任状
代理人が入札に参加する際の必要書類です(詳しくは後ほど説明します)。

④封筒
入札書を入れる封筒です。指定された封筒を使用すること、指定通りに「封印」「封かん」することなど、いくつかの条件を満たす必要があります(詳しい作成方法は後ほど説明します)。

入札書の書き方(記入例付き)

入札書の書き方(書式)は入札案件によって異なりますが、多くの案件では共通したルールで作成されます。

以下は深谷市のホームページに掲載されている「入札書」の記入例です。今回は深谷市の例を参考にしながら説明します。

(引用元:深谷市ホームページ「入札契約関係様式集/記入例(入札書、委任状、入札辞退届、入札書封筒」

入札件名

入札する案件名。一般競争入札であれば案件の概要に、指名競争であれば入札指名通知書に記載されている件名を書きます。

入札金額

入札の金額(消費税は含みません)。金額の頭には円マーク(¥)を、末尾には「ー」を振ります。

日付

入札書の作成日や入札日など。どの日付を記載するかは発注機関や案件ごとに指定されていることが多いため、事前に確認する必要があります。

会社住所

入札に参加する会社の住所。

会社名

入札に参加する会社の商号。

代表者名

会社の代表者の名前。

代理人名

代表者以外が入札に参加する場合、その人物の名前。

入札書を書く際の注意事項

  • 記載した入札金額は訂正しない
    すでに記載された入札金額を訂正すると入札が無効になる場合もあります。金額を変える必要があるなら入札書そのものを作り直したほうが無難です。
  • ゴム印の使用
    会社住所・会社名・代表者名などの記入では、ゴム印を使用できるケースもあります。ただし発注機関や個別の案件によって取扱が異なる場合もあるため、あらかじめ確認したほうが良いでしょう。
  • 捨印
    入札書の欄外には捨印を押すのが一般的です。記入見本などに捨印の指示がない場合も、念のため発注機関に確認することをおすすめします。
  • 提出期限は厳守
    入札書に記載する日付にかかわらず、提出期限が過ぎてから入札書を提出することはできません。
  • 内訳書と一致させる
    内訳書を添付する場合、入札書に記載した金額と内訳書に記載した金額は一致させる必要があります。

入札の際、委任状が必要な場合とは?

委任状が必要となるのは、代理人が入札に参加する場合です。原則として入札の「本人」は会社の代表者です(代表取締役など)。肩書のない社員はもちろん、「部長・課長」「支店長」といった役職の付いた人が入札に参加する場合でも「代理人による入札」となるため委任状が必要です。

委任状には、一般に以下の内容を記載します。

  • 委任状を作成した日付
  • 会社名
  • 会社住所
  • 代表者名
  • 代理人名
  • 入札件名

代理人が入札に参加する場合は、入札書には代表者の名前と代理人の名前を記載し、代理人名の横に代理人の印を押印します。

以下は深谷市のホームページに掲載されている「委任状」の記入例です。

(引用元:深谷市ホームページ「入札契約関係様式集/記入例(入札書、委任状、入札辞退届、入札書封筒」

なお発注機関によっては、代理人が入札書を持参する場合でも入札書に代表者の押印があれば委任状が不要になるケースもあります。代理人を立てる必要がある場合は、念のため確認しておくと良いでしょう。

上記「入札書」と「委任状」は、あくまで一例に過ぎません。官公庁や他の自治体など、発注機関によって具体的な記入方法は変わるため、入札書や委任状を作成する際は入札概要を必ず確認するようにしてください

入札書の封筒の書き方

入札書を提出する際は、必ず指定の封筒に入れて封かん・封印する必要があります。具体的には以下を参考にしてください。

封筒の種類

入札書用の封筒として指定されるのは、ほとんどの場合「長形3号」か「長形4号」の定形封筒です。通常、色の指定は特にありません。市販されている封筒の他にも(指定通りのサイズであれば)自社封筒を使うことも可能です。

一般に長形3号はA4三つ折り、長形4号はB5三つ折り/四つ折りに合わせたサイズです。入札書の折り方についてはあまり指定がないため、封筒に合った折り方で構いません。もちろん、特別に指定がある場合はそれに合わせます。

封筒の表書きや、封かん・封印について

封筒の表には、一般に以下の内容を記載します。

  • 発注機関の宛名
  • 入札番号(契約番号)
  • 入札件名
  • 「入札書在中」の文言
  • 会社の住所
  • 会社の名前
  • 代表者名
  • 代理人名(代理人が入札に参加する場合)

発注機関や入札案件によっては、一部の文字を朱書きするよう指定があります。また封筒に内訳書や委任状を同封できるかどうかも、案件によって異なります。必ず入札の概要などで確認するようにしてください。

封筒に発注書を入れたら「封かん(糊付け)」をします。さらに封筒の合わせ部分には、代表者印か代理人印で「封印(押印)」します。封かんや封印がない場合は入札が無効になることもあるため、注意が必要です。

以下は八王子市ホームページに掲載されている「封筒」の表書きと封印の方法です。上記の説明と見比べながら確認してみてください。

(引用元:八王子市ホームページ「工事・修繕関係様式/入札用封筒の記入見本」

まとめ

今回は「入札書」を中心に、入札に必要な書類について説明しました。繰り返しになりますが、入札書や内訳書、委任状、封筒の書き方には細かいルールが決められていることがほとんどで、従わないと入札が無効になるケースもあります。

どのような書式や様式で作成するか、どのように提出するかなどは発注機関や個別の案件ごとに異なるため、入札の際は事前にしっかり確認することが欠かせません。「入札の資格は満たしているのに、書類の作成方法を間違えたばかりに入札に参加できない」ということがないよう、情報収集の際は気をつけるようにしましょう。

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