入札の委任状はいつ必要?委任状の記入例から封筒の書き方までわかりやすく解説

はじめて入札に参加する方にとって、必要書類の準備は非常に手間のかかる作業です。特にわかりにくいのが「委任状」で、そもそもどのような場合に委任状が必要なのか、きちんと理解できていない人も少なくありません。

今回の記事では入札時に委任状が必要なケースと不要なケース、委任状の具体的な書き方などについてくわしく説明していきます。

入札の委任状について

「委任状」という言葉は知っていても、自分で委任状を書いたことがある人はあまり多くありません。ここでは委任状の一般的な定義と、委任状と入札手続きの関係について簡単に説明します。

そもそも「委任状」とは

委任状とは「ある人に一定の事項を委任した旨を記した書状」のことです。

民間の手続きで委任状が必要になる場面はそれほど多くありませんが、公的な手続き(行政機関への申請や届出など)では、申請者や届出者以外の人が書類を窓口に提出する際に、委任状を必要とするケースがあります。

入札の書類にも委任状が含まれている

入札も「公共の手続き」です。実際にほとんどの入札案件では関係書類の中に委任状が含まれていて、一定の条件を満たす場合に提出が義務付けられています。

たとえば東京都福生市のサイト(入札書などの書式一覧)では、「委任状」のダウンロードリンクの上に次のように記載されています。

代表者又は契約締結の権限を有する代理人以外の方が入札会場に来場される場合は、必ず必要です。

注意:資格審査申請における「担当者」には契約締結の権限はありません。

入札書などの書式一覧」より引用

ここで注意すべきなのは、「代表者又は契約締結の権限を有する代理人以外の方」という表現です。

具体的にどのような人が「入札会場に来場」する場合に、委任状が必要となるのでしょうか?

入札時に委任状が必要なケースとは

入札に参加するのが「会社の代表者」でなくても、必ずしも委任状が必要になるとは限りません。

ここでは委任状が必要なケースと不要なケースについて、具体的に説明します。

委任状が不要なケース

入札手続きで委任状が不要になるのは、

  • 「代表者」
  • 「契約締結の権限を有する代理人」

が入札に参加する場合です。

(契約締結の権限を有する代理人は「入札参加資格の受任者」と呼ばれることもあります)

このうち代表者は文字通り会社を代表する人ですから、いわば入札手続きの「本人」です。

一方の契約締結の権限を有する代理人(入札参加資格の受任者)は、会社の代表者から「権限を委任されている」として委任状が不要となります。

しかし代表者から委任を受けた人がすべて「契約締結の権限を有する代理人」になるわけではありません。

一般には「代表者に代わって自己の名と責任において各団体との契約締結時の一切の業務を行う正規従業員(役員を含む)」、具体的には会社の支店長や営業所長などがこれに該当します。

(参考:「かながわ電子入札共同システム 競争入札参加資格認定 申請の手引き」

なお入札案件によっては、代表者以外のすべての人に委任状が求められる(契約締結の権限を有する代理人でも委任状が必要)ケースもあるので注意してください。

委任状が必要なケース

これに対して委任状が必要になるのは、支店長や営業所長ではない社員や外部の関係者(行政書士など)に入札手続きを任せる場合です。

また共同企業体(JV)として入札に参加する場合は、実際に入札手続きを行う人に対して共同企業体の代表者たちからの委任状が必要となります。

なお最近では「電子申請」による入札も増えていますが、この場合も、代表者や「契約締結の権限を有する代理人」以外の代理人が申請手続きを行う(代理人の電子証明書で申請を行う)のであれば委任状の作成が必要です。

このような場合は委任状が不要

上で「支店長や営業所長ではない社員には委任状が必要」と書きましたが、実は社員であっても、委任状が必要とならないケースがあります。

ポイントとなるのは「押印」です。

たとえば社員が入札書を作成・持参する場合、入札書に「代表者の印鑑」が押されているなら委任状は不要、「作成した社員の印鑑」が押されているなら委任状が必要となります。

なお、具体的にどのような場合に委任状が必要で、どのような場合に不要かは、発注機関や入札案件によって異なることがあります。

会社の代表者以外の人が入札に参加する際は、必ず入札公告や発注機関のWEBサイトなどで詳細を確認してください。

入札委任状の書き方と記入例

ほとんどの入札案件では、委任状のフォームや記入見本が用意されています。詳細な項目は発注機関や案件によって異なりますが、ここでは一般的な項目を具体例とともに紹介します。

委任状の記載項目

委任状に記載する項目は、一般に以下の通りです。

  • 代理人(受任者)の氏名
  • 代理人(受任者)の役職
  • 代理人(受任者)の住所
  • 代理人(受任者)の商号や名称
  • 代理人の印鑑
  • 委任者の氏名
  • 委任者の役職
  • 委任者の住所
  • 委任者の商号や名称
  • 委任者の印鑑(代表者印)
  • 入札案件名
  • 委任事項
  • 委任した年月日(委任状の作成日)

発注機関や案件によっては一部の項目がなかったり、これら以外の項目が追加されている可能性があるため注意してください。

具体的な記入例を紹介

①府中市の委任状(右側)

引用:東京都府中市「入札関係(入札書・委任状・質問書等)」

②東京大学の委任状

入札案件や委任の内容によって、上記②の東京大学のように、委任状の種類が細かく分かれていることもあります。こちらも入札公告や発注機関のサイトで必ず確認してください。

入札の委任状と封筒について

ここでは「入札会場で入札に参加」する場合の委任状の取り扱い方について説明します。

委任状は封筒に入れるべき?

入札会場で入札に参加する際、入札書は封筒に入れて持参します。

一方、代理人が入札に参加する場合は入札書と委任状がワンセットになるため、委任状も入札書と同じ封筒に入れるのが一般的です。

委任状を入れる封筒の書き方

入札書と委任状を同封する封筒の「書き方」は、入札書のみの封筒の書き方とほとんど同じです。具体的には以下のような項目を記載します。

  • 発注機関の宛名
  • 入札番号(契約番号)
  • 入札件名
  • 「入札書在中」の文言
  • 会社の住所
  • 会社の名前
  • 代表者名
  • 代理人名(代理人が入札に参加する場合)

くわしくは下記の記事にまとめていますので、参考にしてください。
「入札に必要な「入札書」とは?記載方法や注意点を具体的に解説」

封筒に入札書と委任状を入れたら、必ず「封かん(糊付け)」をしたうえで代表者印か代理人印による「封印(押印)」をします。

なお封かんや封印がない場合、指定されたもの以外の封筒を使った場合は入札が無効になることもあるため注意してください。

まとめ

今回は入札の「委任状」について、必要なケース・不要なケースと具体的な書き方を説明しました。しかし同じような状況であっても、委任状の有無は発注機関や入札案件によって異なる場合があります。「委任状を忘れたばかりに入札が無効になる」という失敗を避けるためにも、入札公告や発注機関のWEBサイトもしっかり確認しながら、スムーズな入札参加を心がけてください。

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