国土地理院は2024年度のGNSS標高測量の導入を目指しており、その後は位置情報の時間管理を含めた4次元国家座標の試行に移る。衛星測位で迅速かつ容易な標高決定を実現するプロセスの進捗状況を明らかにした。
現状からは、航空重力測量による精密重力ジオイドが完成間近となっており、GNSS標高測量を新たに導入し、4次元国家座標につなぐ。
航空重力測量は、上空から均一で高品質な全国の重力データを取得し、標高0m(平均海面)となる精密重力ジオイドを構築するため全国の重力データを整備する。23年度前半に完了予定で、引き続き精密重力ジオイドを24年度までに整備する。
精密重力ジオイドは、公開中の日本のジオイド2011に代わる標高0mの基準として整備。なお、試作版では目標精度の3㎝を達成しているという。
GNSS標高測量は、現行のGNSS水準測量が水準点・水準測量に基づく標高が基準となっているのに対し、電子基準点による世界測地系における楕円体高と精密重力ジオイドが基準。絶対標高値になる。
導入に向けてはマニュアルや地殻変動補正パラメータの作成、説明会などを進めることになる。導入すれば迅速かつ高精度な標高決定が可能になる。
GNSS標高測量導入で緯度・経度・標高の3次元の位置情報が、迅速かつ高精度に統一して決定され、時間管理することで4次元国家座標につながる。
なお、GNSS(Global Navigation Satellite System)は全球測位衛星システムのこと。
4次元国家座標の試行期間として、24年度から適切な維持管理・提供手法の検討に入る。また、先行可能な分野で施行を実施。効率性・利便性等を検証・確認を進める。26年度からは適切な利用のためのガイドライン作成や、地理空間情報の効率的な更新、維持管理手法の検討に取り掛かる。