道路管理者が全ての橋梁、トンネル等を5年に1度、近接目視で点検することが義務付けられる中、国土交通省は2巡目の第1弾となった2019年度の点検結果等を道路メンテナンス年報としてまとめた。1巡目点検で早期に措置を講ずべき状態(判定区分Ⅲ)、または緊急に措置を講ずべき状態(判定区分Ⅳ)と診断された橋梁で、19年度末までに修繕等の措置に着手した割合は国交省が69%、高速道路会社が47%、地方自治体が34%だった。判定区分Ⅲ・Ⅳの橋梁は、次回点検まで(5年以内)に措置を講ずるべきとされているが、地方自治体の14年度点検で判定区分Ⅲ・Ⅳと診断された橋梁の修繕等の措置は着手率が52%と遅れている。19年度の点検で判定区分Ⅲ・Ⅳとなった割合は、全道路管理者で橋梁9%、トンネル30%、道路附属物等12%となった。
1巡目の14年度点検で、健全または予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい状態(判定区分Ⅰ・Ⅱ)と診断された橋梁のうち、修繕等の措置を講じないまま5年後の19年度点検で判定区分Ⅲ・Ⅳに移った橋梁の割合は、全道路管理者合計で5%だった。
また19年度末時点で判定区分Ⅳと診断された橋梁は812橋あり、前年度から72橋増加。対策としては、撤去または廃止された橋梁が予定を含め255橋となり、前年度末よりも17橋増えた。
橋梁点検における新技術活用状況によると、19年度の点検でドローン等の点検支援技術を活用した地方自治体数は32団体、トンネルで5団体にとどまった。
地方自治体が実施する橋梁の定期点検費用で社会資本整備総合交付金を活用している割合は都道府県・政令市で95%、市区町村は98%。橋梁の修繕で交付金または補助事業を活用している割合は都道府県・政令市で63%、市区町村で92%となる。
なお、2巡目点検初年度の点検実施割合は、橋梁17%、トンネル16%、道路附属物等は18%で行われており、1巡目初年度よりも進んでいる。