業界記事

【関東整備局インタビュー】 菱田晃・統括防災官「平時からの準備が大切」

2020-06-17

 『備えていたことしか、役には立たなかった。備えていただけでは、十分ではなかった』。これは東北地方整備局が東日本大震災の実体験をまとめた書籍『災害初動期指揮心得』の冒頭の文章。4月1日付で統括防災官(部長級)に就任した菱田晃氏は、抱負として示し「この言葉を肝に銘じて業務に取り組もうと考えている」と話す。
 災害の業務は事が起きてしまうとバタバタする。「去年の台風による洪水もそうで、それまでもTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)やリエゾン(情報連絡員)派遣などで自治体を支援してきたが、求められた内容は複雑多岐なものだった。今までは対応してこなかったことにまで対応せざるを得なくなった」という。続けて「平時から準備が大切で、実際に起きてからでは間に合わない。想像以上の事が起きたり求められたりする」と語る。
 また「去年、千葉県に大きな被害を与えた台風15号の時もそうだが、地元建設業者に大変な協力をいただいた。災害復旧は初期動作も含めて地元建設業者の協力がないと行えない」と振り返った上で、「2月に初弾として山梨県建設業協会と合同で訓練を行った。管内全ての建設業協会と同じような訓練を行いたい。関東も梅雨入りして訓練は厳しくなるが、重点的に進めたい」と意欲を示した。
 去年の災害は広域的かつ同時多発的に発生し「通常では一つの被災県に対して、それぞれの協定建設業者にお願いして対応するが、千葉県では地元建設業者だけでは対応できなかった。結果として栃木県の応援を受けた」と説明。これを受けて「広域的な災害に対応できる仕組みとしての災害協定の調整を進めている。複数の都県で互いに応援し合う関係となり得る。できれば早い時期に協定を結びたい」と述べる。
 TEC-FORCEとリエゾンの人材育成については「去年の出動件数は過去最大で、人材育成は喫緊の課題。4月からその研修を行う予定だったが新型コロナウイルスの影響で延期している状況」と明かす。さらに「TEC-FORCEの高度化プランとして『直轄ドローン隊』を整備する。災害発生時の初動となる状況把握に大きな役割を発揮できる」と力を込めた。
 
【略歴】ひしだ・あきら
 1984年千葉工業大学土木工学科卒、84年霞ヶ浦工事事務所採用。企画部広域計画課地方計画係長、京浜河川事務所工務課長、河川部河川管理課洪水予測専門官、鬼怒川ダム統合管理事務所長などを歴任。58歳。北海道出身。座右の銘は「仕事は明るく、楽しく」。趣味はゴルフ。
 

一覧へ戻る

14日間無料トライアルのお申し込みはこちら14日間無料トライアルのお申し込みはこちら
03-3823-6006【平日】10時~18時
エリアカテゴリー
業種で探す
土木
建築
電気
管設備
業務委託
その他
発注機関で探す
国(関東)・法人・民間など
茨城
栃木
群馬
埼玉
千葉
東京
神奈川
新潟
山梨
長野