業界記事

【都道府県工事+記者の眼】 入札不調の発生率は5%割る

2016-06-02

 都道府県が発注する公共工事で入札不調となる割合が年々減少していることが国土交通省のまとめで分かった。2015年度における都道府県工事の不調・不落の発生率は全工種・全国平均で4・7%となり、前年度比で2・1ポイント減少した。東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)および仙台市でも入札の不調・不落が総じて減っており、特に岩手県は前年度比10・5ポイント減と大幅に減少した。
 不調・不落が減少したことについて国交省では「公共工事設計労務単価の機動的見直しや最新の施工実態等を踏まえた積算基準の見直しなど、地道な対策が奏功している」とする。実際に13年度以降の発注件数と不調・不落の推移をみると、15年度の発注件数は13年度比で約10%減だが、不調・不落件数の割合は約45%減となり、単純に発注件数が減ったことが不調・不落の減少理由ではないことが分かる。
 また、不調になった案件に関しても、再発注時のロットの工夫や実態を反映した予定価格の見直しを行うことで、ほぼ契約に至っており、着実に執行が進んでいるという。
 
〈記者の眼〉
 入札が不調・不落になる最大の原因は、発注者が設定する予定価格と入札参加者の応札額が折り合わないこと。設計労務単価の引き上げをはじめとして国交省が相次いで打ち出してきた施策の効果が表れた結果、予定価格と実勢価格の差が埋まりつつあることで不調・不落が減少したことは間違いないだろう。品確法運用指針により発注者は予定価格の適正な設定が求められているため、今後も一層の不調・不落減少が期待される。
 実は入札の大半を一般競争としている県に比べて、指名競争を多用している県の方が不調・不落が少ない傾向にある。そのため、一般競争入札を行う限り不調・不落は無くならないという見方もあるが、不調・不落対策として指名競争を復活させることは現実的ではない。やはり発注者は適正な予定価格を設定し、応札者はダンピング受注を行わないことが求められる。
 

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