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【国土交通省就任インタビュー】 事務次官・藤田耕三氏「公共事業予算確保へ理解求める」

2019-08-08

 国土交通省の藤田耕三事務次官は、就任インタビューで社会資本整備や維持管理の重要性を示した上で、2020年度予算に向けて「必要な公共事業予算を安定的・持続的に確保していくことが重要だと思う。各方面に理解を求めていきたい」との考えを示した。
 20年度は防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の3年目に当たるが「その後を見据えた防災・減災対策、国土強靱化の取り組みを加速化することが一つの柱になる。また経済成長を確かなものにするという意味で、20年の東京オリンピック・パラリンピックの先を見据えながら社会資本等の整備を戦略的に進めていく。地方創生として豊かで暮らしやすい地方を実現するための取り組みも重要になる」と説明。加えて今回の防災・減災対策等は緊急対策であるとし「3年を超えてやらなければいけない仕事はたくさんある。対策の必要性を十分に理解してもらいながら必要な予算を確保していくことに尽きる」とした。
 就任に当たっては「大事な行事が続くため危機管理をしっかりとしたい。また大きな変化の中にあるので方向感を間違えずに行政を進めることを心掛けたい」と抱負を語る。
 社会資本整備に対しては「多面的な意味がある。一つは安全安心を守ることで、災害の頻度が高くなり、かつ激甚さを増す中でソフト対策を含めて被害を減らしていくことは大事な取り組みだが、やはり災害を防ぐ、あるいは被害を軽くするといった意味での社会資本整備の役割は非常に大きい。防災・減災、国土強靱化のための緊急対策も含めて、しっかりと取り組んでいきたい。それから生産活動や流通など、さまざまな経済活動を支える役割もある。時間がかかる事業は多く、財源も一定の制約があるので、効果の大きなものに重点化しながら計画的・戦略的に取り組んでいく姿勢が必要だ」と強調する。
 社会資本の維持管理に向けては「高度成長期に整備した社会資本が急激に老朽化する状況を迎えるので、やはりコストの縮減・平準化が課題。そのために予防保全の考え方の中で新しい技術を導入することに取り組んでいく必要がある」と話す。
 建設業の働き方改革と生産性向上については「先般の国会で成立した『新・担い手3法』の施行に向けた準備にしっかり取り組んでいきたいというのが今の状況。特に工期の適正化は大きなポイントだと思うので、民間を含めた発注者の理解と協力を得ながら取り組みを進めたい。施工時期の平準化などを通じた働き方改革、生産性向上にも取り組んでいく。i-Constructionの取り組みは4年目に入った。工種の拡大も含めて幅広く新しい技術が実際に適用され、生産性向上につながる姿を目指していきたい」と語った。
 
【略歴】ふじた・こうぞう
 1982年東大法学部卒、運輸省採用。国交省大臣官房政策評価審議官(兼)大臣官房秘書室長、総合政策局公共交通政策部長、大臣官房総括審議官、鉄道局長、総合政策局長、大臣官房長、国土交通審議官を歴任し、本年7月9日付で現職。59歳。大分県出身。
 

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