災害時の緊急対応の充実強化、働き方改革の推進、調査・設計の品質確保を柱とする改正公共工事品質確保促進法(品確法)が7日の参議院本会議において全会一致で可決、成立した。同法は公布と同日施行となり、今後は法改正の理念を現場で実現するために、地方自治体や業界団体などの意見を聞き、基本方針や発注者共通の運用指針の改正を行う。
今回の改正では、災害対応の担い手の育成・確保、災害復旧工事等の迅速かつ円滑な実施のための体制整備を基本理念に明記。発注者の責務として緊急性に応じた随意契約・指名競争入札等の適切な入札・契約方法の選択、建設業者団体等との災害協定の締結、災害時における発注者の連携、労災補償に必要な保険契約の保険料等の予定価格への反映、災害時の見積もり徴収活用を規定する。
働き方改革への対応では、①休日、準備期間、天候等を考慮した適正な工期の設定②公共工事の施工時期の平準化に向けた債務負担行為・繰越明許費の活用による翌年度にわたる工期設定、中長期的な発注見通し作成・公表等③適切な設計変更(工期が翌年度にわたる場合の繰越明許費の活用)―を発注者の責務とする。下請けを含む受注者の責務としては、適正な請負代金・工期での下請契約締結を規定した。
また情報通信技術の活用等を通じた生産性の向上を発注者・受注者の責務とする。
調査・設計の品質確保では、公共工事に関する測量、地質調査その他の調査および設計を、基本理念と発注者・受注者の責務の各規定に追加し、法律の対象に位置付ける。
他にも発注者の体制整備、工事に必要な情報(地盤状況)等の適切な把握・活用、公共工事の目的物の適切な維持管理について必要な規定を整備している。
◎新・担い手3法が成立
議員立法として公共工事の発注者・受注者の基本的な責務を規定した改正品確法、政府提出で5日に成立した建設工事や建設業に関する具体的なルールを定める改正建設業法および改正入札契約適正化法による「新・担い手3法」が誕生した。建設業の働き方改革や現場の生産性向上、災害時の緊急対応などの体制整備が法律で後押しされることで、長時間労働の是正と将来にわたる担い手の確保、建設業が「地域の守り手」として活躍するための環境改善が期待される。