森林研究・整備機構(茨城県つくば市)は森林損害調査に初めてドローンを導入し、保険金の支払いを行った。2017年7月の九州北部豪雨で福岡県朝倉市の森林や林道などに甚大な被害が発生し、森林保険の損害調査に長期間が要することが想定されるため、機構の森林保健センターと森林総合研究所が連携し、ドローンを活用することで損害調査を迅速化した。
損害調査では、まず国土地理院が撮影した空中写真を用いて被害が集中している区域を特定。次にドローンを活用して高精度の撮影を行い損害区域を確定した。その結果、現地まで行けない被害箇所でも安全で迅速な調査が可能となり、精度も確認できたため、準備が整ったものから保険金の支払いを開始した。
朝倉市では被害が広範囲にわたっており、撮影が困難な箇所も多数あったことからドローンによる調査対象森林が限定され、職員の手作業による詳細確認に期間を要したことが課題として残った。
同機構では迅速かつ広域での損害調査による保険金の早期支払いに向けて、人工衛星画像の活用、大規模水害による地形変化が生じたことが想定される箇所をソフトウエアを利用して的確に判読する手法について検討していく考えだ。