業界記事

【道路の点検・修繕を考える②】 新技術で効率的な点検に期待/行政セミナーから

2019-04-18

◎特別講演:「二巡目以降の定期点検の効率化に向けた 橋梁の健全性診断を支援する新技術」
株式会社東芝 研究開発センター機械・システムラボラトリー 研究主幹 渡部 一雄氏
 本日は二巡目以降の定期点検の効率化に向けた橋梁の健全性診断を支援する新技術を紹介します。講演内容は大きく「AEによる橋梁床版内部損傷評価」「橋梁モニタリングシステム」「高速道路橋梁実証結果」の3点で、本研究は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究業務の結果から得られた成果も含まれています。
 開発の背景としては、あと4年くらいで建設後50年以上を経過する道路橋の割合が40%を超えるといわれており、老朽化した社会インフラは労働人口の低下なども相まって目視や打音検査のみでは限界が予測される。
 こうしたことから点検の効率化のため、新技術の導入への期待が高まってきている。定期点検要領の改訂でも外部から状況が把握できない場合は、必要に応じ非破壊検査を実施する有効性が盛り込まれ、その例として舗装下のコンクリートの変状や鋼床版の亀裂が明記されている。これらを背景に床版に着目し、定期点検の二巡目以降の効率化を支援する新技術、AE(アコースティック・エミッション)法を適用した橋梁床版内部損傷評価を開発した。
 これは、き裂進展やき裂発生等に伴う弾性波の放出を検知する非破壊検査手法で、劣化の初期段階を検知しインフラの予防保全に資する技術である。各センサへの到達時刻差を利用して震源位置を推定でき、分布解析やノイズフィルタリングにも利用できる点が特徴である。実際、内部の事後破壊検査が可能な床版取替え予定の橋梁で床版診断の実証実験を行い、AE法による分析結果の妥当性を床版のコア採取により確認し、その有効性を実証した。
 橋梁モニタリングシステムについては、長期のモニタリングには損傷の検知性、設置の容易性、メンテナンスフリーの要件が求められる。AE技術を活用し無線化で設置性を向上させ、自立電源でバッテリー交換を不要とすることでこれらをクリア、自立電源駆動可能な無線AEモニタリングシステムを構築した。
 適用イメージとしてはAEセンサユニットを対象の構造物に設置し、無線でデータを伝送することで劣化状況を遠隔サーバーで監視する。実際の高速道路の橋梁での実証ではRC床板の下面にAEセンサを設置、リアルタイムにAEデータを遠隔モニタリングし、1カ月間以上に渡り交通荷重によるAEが問題なく計測が可能なことを確認した。交通荷重AEの位置標定分析の結果、計測エリアの交通荷重AE源分布も確認できた。この標定分析と速度構造解析を組み合わせて遠隔モニタリング診断の有効性を確認していく。
 

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