業界記事

【生産性向上+記者の眼】 コンクリートのスランプ値は17年度から12㎝を参考値に

2017-03-21

 国土交通省が進めるi-Constructionの取り組みのうち、コンクリート工の規格標準化の第2弾として流動性を高めた現場打ちコンクリートの活用に関するガイドラインがまとまった。固まる前のコンクリートの流動性を示すスランプ値について、一般的な鉄筋コンクリート構造物の場合に現在の8㎝から12㎝を参考値とすることが柱で、施工者側が最終的な値を決める。スランプ値を8㎝から12㎝に変更した場合の試算によるとコストは同等ながら、時間当たりの打込み量が増えて作業人員が減るため、施工性は2割向上する見込みだ。国交省では地方整備局で作成している基準類等を改定し、4月以降に入札手続きを行う案件から適用する。
 ガイドラインは産官学で構成する検討委員会(委員長=橋本親典・徳島大学大学院教授、事務局=日本建設業連合会)が作成したもので、スランプ値を12㎝以上にした場合の技術的な留意事項や施工時における品質確認上の留意点の明確化などを行っている。
 現在、工事発注時のスランプ値は8㎝がほとんどで、変更する場合は受注者が発注者と協議して施工承諾で実施しているのが実情。耐震性能を高めるため鉄筋コンクリート構造物の配筋が高密度化する中、近年は化学混和剤を適切に使用することでコンクリートの品質に影響を与えず、必要な流動性を得ることが可能となっているため、今後、施工性は受注者の裁量とする。ただし発注段階(積算時)ではコンクリート単価の算出にスランプ値が必要となることから、スランプ値を参考値として示し、契約後に受発注者間でスランプ値を確認して、変更する場合は契約変更の対象とする。
 橋本委員長は「コストが変わらず、施工承諾の協議が不要になり、人数も減るため、スランプ値を8㎝から12㎝にすることによって、トータルで生産性が上がるだろう」と話している。
 コンクリート工規格標準化の第1弾である機械式鉄筋定着工法の配筋設計ガイドラインは、国交省以外の地方自治体などの発注者にも活用が広がっているため、今回も同様の広がりが期待される。

〈記者の眼〉
 たかが4㎝、されど4㎝である。スランプ規定の見直しは業界にとって長年の懸案事項であり、日建連の幹部も「何十年も前から8㎝では無理だと言いながら積算は変わらなかった。画期的なこと」と話している。これまで経営体力がある大手ゼネコンは施工承諾により12㎝に変更して対応してきた。施工者側の負担が増えても8㎝よりは12㎝の方が結果的に無駄が減り、施工性が高いと判断してきたからだ。ただ地方の中小建設会社は8㎝のまま施工する場合が多いため、今後は生産性向上を含めたメリットが大きくなる見通しであり、地方自治体発注工事でもガイドラインの積極的な適用が期待される。

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