業界記事

佐野市、佐野IPを核に災害対応、国際防災拠点都市へ

2024-04-06

 佐野市は、国土強靭化地域計画改定案をまとめた。佐野インランドポート開設を機に海外を含めた物流の流れが高まったことを踏まえ、国際防災拠点都市を目指す。サプライチェーンの確保、集配の拠点、燃料供給の備蓄基地、代替港湾との搬入搬出の役目を備えたバックアップ機能を構築する。東京圏企業の本社機能や工場を誘致し、大規模災害時の事業継続を担保。地域強靭化によって信頼性の向上と投資を呼び込み、地域活性化と連動した諸施策を展開。国や県の強靭化に貢献する。
 市は2020年度、国土強靭化地域計画を策定。22年度にパスコに委託した市全域の防災アセスメント調査結果に基づき、自然災害の被害想定を見直した。期間は前計画と同様、20~29年度。前計画で掲げた総合物流拠点化を国際防災拠点化に進化させた。
 東京から70㎞圏内に位置し、市は優位な立地条件を背景に産業基盤を着々と整備。東北自動車道と北関東自動車道に加え、国道50号や国道293号が東西に横断。22年度は北関東道出流原スマートICが開通し、広域的な防災・救援拠点の要件を満たした。
 これら以外は東北道佐野藤岡ICと佐野SAスマートIC、北関東道佐野田沼ICが高速道に接続。北関東道は岩舟JCTで東北道と連結。鉄道はJR両毛線、東武佐野線が通過。高速バスのハブ機能を有す佐野新都市バスターミナルは大都市圏に乗り入れる。
 国は今後30年以内にマグニチュード7クラスの首都直下地震の発生確率を約70%と予測。東京圏の避難者受け入れと諸機能を代替する。市は経済活動のリスク分散に向け、国道50号沿線や高速道IC幹線沿いに民間活力導入も含め産業用地を整備する。
 災害時の安全性が確保できるコンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりに努め、災害発生時の迅速な復旧復興に効果的な高精度の地図作成へ地籍調査を推進。佐野インランドポートは京浜港のバックヤード機能を果たせるよう拡張を検討する。
 基本目標にデジタル技術の活用とSDGsの推進を追加。幅広道路や公園を整備し、火災の延焼を防止。限られた予算を最大限に活用するため、民間の投資を促進。災害時の相互応援協定を周辺市町や民間事業者と締結。自助、共助、公助の下で施策を推進する。
 事前に備える目標に①自然災害に対し直接死を防ぐ②救助救急医療活動の迅速化と被災者の健康や避難生活環境の確保③必要不可欠な行政機能の確保④経済活動の保全⑤社会インフラ被害を最小限に抑え、早期に復旧⑥社会経済活動の早期再開-を挙げた。
 起きてはならない最悪の事態に「風評被害や信用不安、生産力の回復の遅れ、大量失業・倒産による経済への甚大な影響」を追加。最悪の事態を回避するのに必要な「人材育成」「官民連携」「デジタル活用」を各分野で横断的に取り組んでいく。
 修正を加えた行政の対策は風評被害を防ぐ「分かりやすい情報の伝達」(広報ブランド推進課)、デジタル技術は「救援救護や被害状況確認にドローンを活用」(消防本部、技術センター部)、約2万2000人の「避難者想定に応じた物資の確保」(危機管理課)。
 農林水産物の風評被害対策は「正確な情報の入手と発信」(農政課、農山村振興課)、市民へは「デジタル技術を活用した町会への情報提供」(市民生活課)、「土砂災害警戒区域の周知徹底」(危機管理課)。担当部署の役割分担を明記し、有事の際は速やかに対応する。
 22年度実績と比較した25年度の新規重要業績指数(KPI)で自治体との災害協定は現状地27を目標値30に、地区計画数9カ所を13カ所に、適切な管理の森林面積312haを558haに、民間企業や団体との災害協定25件から31件を加えた。

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