業界記事

【新労務単価】国交省不動産・建設経済局 青木由行局長に聞く/賃金引き上げ再加速を

2021-02-23

◎関係者の覚悟問われる
 国土交通省は3月から適用する新たな公共工事設計労務単価を決定した。今回はコロナ禍を考慮して前年度を下回った単価は前年度単価に据え置く特別措置を実施。その結果、全国全職種の単価が単純平均で前年度比1・2%上昇し、9年連続の引き上げとなった。ただ不動産・建設経済局の青木由行局長は、単価の算出手法を大幅に変更した2013年度以来の「最大の危機」であるとの認識を示した上で「過去最高の労務単価になったということを生かして、賃金引き上げの流れを再加速できるのかが、今年の最大のテーマであり、まさに正念場だと思っている。全ての建設産業の関係者の覚悟が問われている」と警鐘を鳴らす。
 今回の特別措置に対しては「従来の手法で単価を算出したところ約42%がマイナスになった。コロナによる先行きの不透明感が影響した可能性がある時に、いつも通りの調査結果をまともに受け止めて、そのまま設計労務単価にすると、多くのマイナスの予定価格を作ることにつながる。発注という行政の行為から、さらに賃金下落のスパイラルになってしまうのではないか」という危機感もあり、財務省とも協議を行い、特別措置を講じたことは「ある程度、合理的ではないか」と話す。しかしながら約4割の単価が下がったことは事実であり「この状況が続けば、かつての負のスパイラルに再び陥りかねない。これからも賃金を引き上げて労務単価が上がり、担い手を確保し、利潤を確保できることが持続可能な建設産業であり、これを続けることができるかの分岐点に立っている」と強調する。
 政府が昨年12月に「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を閣議決定し、初年度分の予算を措置した20年度第3次補正予算と21年度当初予算の公共事業費は合わせて約8・5兆円に及ぶ。今後は近年で最大規模となった公共事業予算の着実な執行が求められる。青木局長は「現在の危機的な状況を乗り越えなければならない重要性を行政、業界関係者と共有したい。各団体と意思疎通を密にして連携を図り、それぞれの立場で具体的な行動を行うことも求めていく」と説明。特に適正な予定価格の設定やダンピング対策等の施策の強化にも力を入れるとし「関係者と積極的に前向きな議論をして、あらゆる施策と行動を総動員していきたい」との考えを示した。

【写真=「持続可能な建設産業への分岐点」と強調する青木局長】

一覧へ戻る

14日間無料トライアルのお申し込みはこちら14日間無料トライアルのお申し込みはこちら
03-3823-6006【平日】10時~18時
エリアカテゴリー
業種で探す
土木
建築
電気
管設備
業務委託
その他
発注機関で探す
国(関東)・法人・民間など
茨城
栃木
群馬
埼玉
千葉
東京
神奈川
新潟
山梨
長野