業界記事

12年間で約1600億円/下水道中長期経営計画案/高度処理化など推進/千葉市

2021-01-12

 千葉市は、下水道事業中長期経営計画案を取りまとめた。2月7日までのパブリックコメントを経て、年度内に計画を策定する。中長期的な視点をもって事業運営に取り組んでいく必要があるほか、次期基本計画との整合を図るため、計画期間を2021~32年度としている。計画期間内の建設事業費として、およそ1600億円を想定している。高度処理の推進として、中央浄化センターの水処理施設2系列目の再構築を計画。22~23年度に既設水処理施設1系列を撤去し、30年度には高度処理施設の整備に着手する。
 経営理念の「汚水の処理による衛生的な生活環境を維持するとともに、安全・安心なまちづくりに貢献するため、下水道事業を将来にわたって安定して持続させていくための経営基盤を確保する」を実現するための基本方針として「安全・安心で快適な生活を支える下水道」「環境の保全と循環型社会を目指す下水道」「健全な経営に基づいた持続可能な下水道」を掲げ、それぞれに対応する施策や取り組みを示している。
 収支の見通しでは、建設事業費について、劣化が著しく改築や更新が必要な下水道施設が増加していくことや、防災・減災対策、耐水化のための施設整備などを行っていく必要がある。維持管理費に関しても、予防保全型の維持管理を推進していくため、老朽化施設の点検・調査・修繕の費用が増加していく見込みとなっている。
 建設事業費の今後の推移は21年度121・9億円、22年度132・1億円、23年度135・4億円、24年度137・1億円、25年度141・6億円、26年度139・2億円、27年度130・1億円、28年度123・3億円、29年度139・4億円、30年度137億円、31年度133・9億円、32年度129・6億円。
 また、収支計画をみると、▽経費のうち修繕費(収益的支出)=21年度7億9500万円、22年度8億600万円、23年度8億1600万円、24年度8億3000万円、25年度8億4400万円、26年度8億5300万円、27年度8億6400万円、28年度8億7600万円、29年度8億5400万円、30年度8億6600万円、31年度8億7800万円、32年度8億8700万円▽職員給与費を除く建設改良費(資本的支出)=21年度123億8500万円、22年度133億5700万円、23年度136億3500万円、24年度138億1100万円、25年度142億7200万円、26年度140億1500万円、27年度131億3300万円、28年度124億3200万円、29年度140億3700万円、30年度137億9300万円、31年度134億7300万円、32年度130億6400万円――となっている。
 主な施策と取り組みは次の通り。
 〔▽施策=①取り組み②32年度目標(20年度現状値)〕
【安全・安心で快適な生活を支える下水道】
<浸水被害の軽減と対策の強化>
 ▽重点地区の整備=①重点13地区の65・1㎜/hr対応の整備(完了8地区、着手5地区)②整備率62%(0%)
 ▽その他一般地区の整備=①19年10月25日大雨などによる浸水被害のあった地区の整備
 ▽下水道施設の耐水化=①浸水が想定される処理場、ポンプ場の耐水化②整備率100%(0%)
<地震時における機能の確保>
 ▽重要な幹線等の耐震化
=①重要な幹線等809kmのうち、20年度末までに約530km、21~28年度に約280kmを整備②管渠耐震化率100%(65%)
 ▽処理場・ポンプ場の耐震化=①ひび野、都、村田雨水、若葉、越智、蘇我雨水、大椎、長作の各ポンプ場の耐震化②地震時におけるポンプ場機能の確保8か所(0か所)
 ▽マンホールトイレの整備=①小中学校等170校について23年度完了予定(20年度末までに121校を整備予定)②整備率100%(71%)
<ストックマネジメントの推進>
 ▽管渠の維持管理・改築更新=①点検・調査・修繕、老朽化した管渠の改築②改築率100%(0%)
 ▽処理場・ポンプ場の維持管理・改築更新=①点検・調査・修繕、故障リスク(大)の機械・電気設備の改築②設備故障リスク(大)の割合15%(30%)
 
<施設の再構築>
 ▽中央統合ポンプ場=①神明、幸、黒砂、出洲ポンプ場の統合(30年度供用開始予定)
 ▽印旛統合ポンプ場=①高洲第1・第2ポンプ場の統合(29年度供用開始予定)
<未普及地域の解消>
 ▽未整備地区の整備=①区画整理事業16ha、私道など未整備地区48ha②汚水整備率94・2%(93・7%)
【環境の保全と循環型社会を目指す下水道】
<水質・水量の管理>
 ▽不明水対策の推進=①地下水や雨水等の不明水対策
<高度処理の推進>
 ▽中央浄化センター高度処理施設=①既設水処理施設2系列目の再構築(22~23年度・既設水処理施設1系列の撤去、30年度・高度処理施設の整備着手)②中央浄化センター水処理第2系列着手
<地球温暖化対策の推進>
 ▽省エネルギー機器の導入=①省エネルギー機器を導入し、電力消費量を削減②温室効果ガス排出量削減率16%(4%)
 ▽再生可能エネルギーの活用=①浄化センター・ポンプ場において太陽光発電設備の導入を検討②温室効果ガス排出量削減率16%(4%)
<資源の有効利用>
 ▽汚泥有効利用施設の導入=①汚泥焼却炉の更新に併せて温室効果ガス排出量の削減が期待できる汚泥有効利用施設を導入(21年度~28年度)。PPP/PFI手法による官民連携を検討②温室効果ガス排出量削減率16%(4%)、下水道汚泥リサイクル率85%(62%)
【健全な経営に基づいた持続可能な下水道】
<経営基盤の強化>
 ▽収入の確保=①水洗化の促進、下水道資産の利活用など
 ▽コスト縮減=①事業費の平準化と事業の選択、再生可能エネルギー活用、施設の再構築(統廃合等)による維持管理費の削減
 ▽ICT技術などの先端技術の導入による下水道管理の効率化=①UAV(ドローン)を活用した下水道施設の調査
<官民連携の推進>
 ▽処理場・ポンプ場等の民間活用の推進=①処理場・ポンプ場の設備点検や運転管理で実施している包括的民間委託を継続して実施
 ▽管路の民間活用の推進=①管路の維持管理業務における包括的民間委託の導入を検討
 ▽PFI事業の推進=①汚泥有効利用施設の導入にあたりPPP/PFI手法を導入するほか、太陽光発電の導入を検討
<広域化・共同化の推進>
 ▽農業集落排水施設を公共下水道へ接続=①農業集落排水事業で処理している汚水を下水道施設で処理

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