一般競争入札とは?他の入札との違いや流れ、落札のコツまで解説

入札方法にはさまざまな種類があります。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるものの、はじめての入札なら、まずは「一般競争入札」に挑戦するのがおすすめです。

この記事では一般競争入札の特徴や他の入札方法との比較、一般競争入札の流れ、一般競争入札で「落札」実績を積むコツなどについて、わかりやすく解説していきます。

一般競争入札とは

一般競争入札とは、国や地方公共団体などが契約内容や入札の参加資格を「公告」して、「最も有利な条件」を提示した入札者と契約を結ぶ入札方式です。

「最も有利な条件」の判断には二通りの方法があります。ひとつは入札時に提示された価格の安さを評価する「価格競争方式」、もうひとつは価格以外の要素も合わせて判断する「総合評価落札方式」です。総合評価落札方式については、後の項目であらためて説明します。

一般競争入札を含む「入札市場」は、年間22兆円近い規模を誇る巨大マーケットです。中小企業庁が公表している数字(※)によると、平成29年度の入札による契約実績は国の機関で約7兆5,000万円、地方公共団体で約14兆5,000万円にも上ります(合計約22兆円)。
平成30年度版「官公需契約の手引 施策の概要」より

これらの入札の中で、現在もっとも高い割合で活用されているのが一般競争入札です。下の表を見ると、国や地方公共団体のほとんどが一般競争入札を導入していることがおわかりいただけるでしょう。

19の国の機関すべて導入済み
124の特殊法人すべて導入済み
47都道府県すべて導入済み
20の指定都市すべて導入済み
1,721の市区町村1,383団体(80.3%)で導入済み

※平成31年1月22日発表「入札契約適正化法等に基づく実施状況調査の結果について」より抜粋

一般競争入札と指名競争入札、プロポーザル方式(企画競争)入札の違い

次に一般競争入札と他の入札方式との違いについて見てみましょう。現在、一般競争入札と並ぶ代表的な入札方式として挙げられるのは「指名競争入札」と「プロポーザル方式(企画競争)入札」です。

関連記事:『一般競争入札と指名競争入札の違いとは?メリット・デメリットと活用事例について解説

それぞれの違いは主に「参加者」と「落札者の決め方」にあります。

まず参加者について言えば、一般競争入札で入札に参加できるのは「一定の資格を持つ不特定多数の企業」です。これに対し指名競争入札の場合、入札に参加できるのは事前に発注者(国や地方公共団体など)から指名された企業のみです。なおプロポーザル方式(企画競争)入札には両方のパターンが存在します。

次に落札者の決め方ですが、一般競争入札と指名競争入札では価格の安さを評価する「価格競争方式」と、価格以外の要素も評価する「総合評価落札方式」の両方が使われています。これに対しプロポーザル方式(企画競争)入札が採用するのは、価格と企画内容を総合評価したうえで、上位の入札者(提案者)から順に契約交渉するという手法です。

下の表は、3つの代表的な入札方式の違いを簡単にまとめたものです。それぞれの入札方式についてより詳しく知りたい方は「代表的な入札方式をわかりやすく解説!特徴からメリット・デメリットまで」もご覧ください。

一般競争入札指名競争入札プロポーザル方式企画競争入札
契約方法一般競争契約指名競争契約随意契約
参加者参加資格があれば誰でも可発注者から指名された企業のみ発注者から指名されるケースや、参加者を公募するケースなど、さまざま
落札者の決め方最も安い価格で入札した者が落札する「価格競争方式」と、価格と価格以外の側面を総合的に評価する「総合評価落札方式」がある。最も安い価格で入札した者が落札する「価格競争方式」と、価格と価格以外の側面を総合的に評価する「総合評価落札方式」がある。提案価格と提案内容を総合的に勘案し優先交渉権者を選定し、契約交渉を行う。優先交渉権者との交渉が不調の場合、次順位者(次点交渉権者等)と交渉する。

ちょっとややこしい!?「一般競争入札」と「公募型指名競争入札」の違いとは

少しややこしい話になりますが、上で説明した指名競争入札とよく似た入札方式に「公募型指名競争入札」があります。一般競争入札や指名競争入札と混同しやすい方式なので、ここでいったん整理しておきましょう。

公募型指名競争入札とは、「入札参加を希望する」企業の中から一定要件を満たす者を「指名」して、入札に参加させる制度のことです。

企業の側から応募(入札参加を希望)できるという点では、公募型指名競争入札と一般競争入札はよく似ています。しかし一般競争入札では参加資格を持つすべての企業が入札に参加できるのに対し、公募型指名競争入札の場合は、応募者の中から発注者によって指名を受けた企業しか入札に参加できません。

公募型指名競争入札と指名競争入札の共通点は、国や地方公共団体などの発注者が入札企業を選ぶ(指名する)という点です。しかし指名競争入札では発注者が最初から参加者を選定しているのに対し、公募型指名競争入札では先に応募手続きがあり、応募してきた企業の中から参加者を選定するという点に違いがあります。

下の表は、それぞれの違いについて簡単にまとめたものです。

公募型指名競争入札一般競争入札指名競争入札
参加者指名を受けた企業参加資格を満たすすべての企業指名を受けた企業
応募手続きありありなし

「制限付一般競争入札」って?

一般競争入札の中には、特定の条件が追加された「制限付き一般競争入札」というものがあります。

通常、一般競争入札では発注者(国や地方公共団体など)ごとに入札参加資格が設定されています。入札参加資格というのは大まかに以下の通りです。

  • 「全省庁統一資格」…国の機関が管轄する「物品・役務系案件」の参加資格
  • 「管轄省庁ごとの資格」…国の機関が管轄する「建築・建設・土木系案件」の参加資格
  • 「外郭団体ごとの資格」…特殊法人などの外郭団体が管轄する案件の参加資格
  • 「各地方自治体ごとの資格」…地方自治体の機関が管轄する案件の参加資格

基本的には、「全省庁統一資格」を取得している企業は管轄省庁に関係なく「物品・役務系案件」の入札に参加できます。また各地方自治体ごとの資格を取得していれば、その自治体内のすべての入札案件に参加できます。

この原則の例外が「制限付き一般競争入札」です。制限付き一般競争入札では個別の案件ごとになんらかの条件がプラスアルファで設定され、参加企業の絞り込みが行われます。

一般競争入札の流れ

ここからは一般競争入札の流れについて説明します。はじめての入札を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

①入札の参加資格を取得

一般競争入札に参加する大前提として、先ほどの項目で説明した入札参加資格を取得します。原則として資格取得に費用はかかりませんが、発注者(国や地方公共団体など)ごとにそれぞれ別の資格を取得しなければなりません。

なお「全省庁統一資格」の場合、こちらのサイトの「全省庁統一資格を申請する」からインターネット申請が可能です(他の入札資格については該当の機関に問い合わせてみてください)。「制限付一般競争入札」の場合はプラスアルファの資格が必要になるため、入札案件を探す際は注意が必要です。

②入札案件の情報収集

入札案件は「公告」によって周知されます。具体的な方法は、掲示、官報や新聞、Webサイトへの掲載などです。

入札を希望する企業は、自力で公告をチェックするか民間企業が提供する入札情報サービスなどを利用します。自力でチェックする場合は費用(サービス利用料金)は発生しませんが、毎日数千件という入札案件が公示される中、自社に合った案件を見つけるのは大変です。「どうしても自力で見つける」という方は、あらかじめいくつかの機関に目星を付けておき、Webサイトに掲載される「調達情報」を定期的に確認すると良いでしょう。

ただし入札は情報戦です。より早く情報収集することで準備の時間を十分にとれる可能性もあるため、効率の悪い自力チェックよりも入札情報サービスの利用をおすすめします。「入札ネット+α」なら14日間無料トライアルが可能なので、まずは気軽に試してみてください。

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③入札説明書・仕様書の入手、入札説明会へ参加

入札したい案件が見つかったら、概要を確認したうえで「入札説明書」や「入札仕様書」を入手します。入手する方法は、官公庁での直接配布のほか、電子メールでの申請、webサイトからのダウンロードなどいろいろです。中には入札説明会への参加が必須という案件もあるので、情報収集の際にしっかり確認しておきましょう。

④入札に必要な書類の準備

入札に必要な書類を揃えて提出します。必要書類は個別の入札説明書や仕様書に書いてあるので、漏れがないよう確実に集めてください。

⑤入札参加資格の確認書類等の受付

入札説明書に記載された要領にのっとり、入札に参加するための必要書類を提出します。発注者側は、提出された書類を審査します。必要な書類がすべて提出され、必要要件を満たすことが確認できた企業のみ入札に参加できます。

⑥入札

入札の方法は「入札書」を郵送もしくは入札会場に持参する方法と、インターネット経由で「電子入札」を行う方法の二通りです。電子入札では事前にパソコンの環境設定を行ったり電子証明書を取得するなどの手間がかかりますが、一度設定すれば、次回以降の入札が簡単になる場合もあります。

⑦開札

入札会場やパソコンのシステム上で入札結果が発表(開札)されます。落札できた企業は、その後発注者との契約手続きに移ります。

価格以外も評価される「総合評価落札方式」とは

「総合評価落札方式」とは落札者を決める方法のひとつです。すでに説明した価格競争方式が金額の安さを基準に落札者を決めるのに対し、総合評価落札方式では価格以外にも、品質、安全性、環境に与える影響などさまざまな要素を含めて落札者を決定します。

細かい評価項目については、国土交通省が公開しているパンフレット「総合評価落札方式 技術とノウハウを活かした公共工事を目指して」に詳しく書かれています。ぜひ参考にしてください。

図の引用元:国土交通省「総合評価落札方式 技術とノウハウを活かした公共工事を目指して」

落札者の評価方法は、以前は価格競争方式が主流でした。しかし実力のない業者が低価格で入札するなどの問題を防ぐため、近年では総合評価落札方式が主流となっています。下の表は、総合評価落札方式が導入されている割合をまとめたものです。

19の国の機関17機関(89.5%)で導入済み
124の特殊法人119機関(95.9%)で導入済み
47都道府県すべて導入済み
20の指定都市すべて導入済み
1,721の市区町村1,099団体(63.9%)で導入済み

※平成31年1月22日発表「入札契約適正化法等に基づく実施状況調査の結果について」より抜粋

落札のポイントは「情報収集」

入札未経験の企業にとって重要なのは「落札」の実績を積み重ねることです。そのためには、ある程度落札しやすい案件を集中的に狙う必要があります。

しかし多くの企業は国土交通省などの官公庁や、所在地の地方公共団体(都道府県)の入札案件を狙いがちです。こうした「有名機関」の案件は競争率が高いため、あまり効率の良いやり方とはいえません。

そこでおすすめなのが、知名度の低い機関の入札案件です。たとえば「東京都水道局水質センター」や「独立行政法人都市再生機構」について、みなさんはどの程度ご存知でしょうか?「多摩川衛生組合」や「環境省皇居外苑管理事務所」はいかがでしょうか?

このように、東京にも知名度の低い機関はたくさんあります。もちろん、地方にある中央省庁の出先機関も狙い目です。

こうしたマイナーな機関の情報も「入札ネット+α」なら手軽に見つけることができます。上手に活用して、自社にマッチする案件を効率よく見つけてください。

まとめ

巨大市場を形成する「入札」は、企業にとって大きなビジネスチャンスです。特に一定の資格要件さえ満たせば誰でも参加できる一般競争入札は、入札がはじめてという企業にもおすすめ。一般競争入札で実績を積み重ねていけば、いずれは指名競争入札に参加するチャンスも生まれます。

「入札ネット+α」を利用して、自社にぴったりの一般競争入札を見つけてみてください。

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