ドローン測量のメリット・デメリットとは?従来の測量との違いも解説

IT技術の発展とともに、建設業界でもさまざまな「技術革新」が起きています。この記事では数多くの建設プロジェクトに活用されている「ドローン測量」について、メリット・デメリットや活用例を説明していきます。

ドローン測量とは

ドローン測量とは、センサーやカメラを搭載した「ドローン」を利用して、上空から広範囲の地形を測る技術です。従来の地上測量や有人航空機による測量と比較すると、時間や労力を節約しつつ低コストで広範囲な測量が可能なことから、近年多くの建設プロジェクトで活用されています。

ドローン測量の種類

ドローン測量には、3つの種類があります。

①レーザー測量

地表へのレーザー照射により距離を測定する測量方法です。起伏の多い土地でも精密な測定が可能ですが、高価な機材を必要とします。

②写真測量

上空から撮影した写真と、ドローンの位置情報を利用して測量します。比較的安価な機材で手軽に測量できますが、樹木が多い場所では正確さに欠けることがあります。

③グリーンレーザー測量

グリーンレーザーと呼ばれる特殊なレーザーを用いて測量する方法です。河川や港湾などの水底地形まで測定できるのが強みですが、大型ドローンなど高価な機材が必要です。

ドローン測量の流れ

ドローン測量の方法は測量の種類によって多少異なりますが、ここではほとんどのドローン測量に共通する、おおまかな流れを説明します。

現地調査

まず、測量の対象で現地調査を行います。地形や障害物の有無によって最適な測量方法を確認し、測量データの質を向上させることが目的です。

飛行ルート作成

現地調査の結果を元に、ドローンの飛行ルートを、専用ソフトウェアを用いて設計します。測量現場ごとに最適なルートやドローンの高度を決めることで、測量の精度を高めることが可能です。また、必要に応じてドローンの飛行許可申請を行い、安全対策を講じます。

GCPの設置

GCP(Ground Control Point;対空標識)とは、ドローンの正確な3次元位置を測定するための「基準点」です。GCPは「ドローンが認識できるもの」であればどんなものでもかまいませんが、一般には白と黒の四角を組み合わせた「チェッカー(市松模様)」を地面に描いたり、そのようなシートを設置したりします。

なお、GCPの設置はトータルステーション(距離と角度を測れる装置)を使って厳密に行われます。

ドローンの飛行

設計したルートに沿ってドローンを飛行させ、上空から地表情報を取得します。データ取得後はその内容(正確性)を確認し、問題があればもう一度ドローンを飛ばすこともあります。ドローンの飛行は基本的に自動操縦です、ただし、地形や障害物の状況によっては一部手動で操縦することもあります。

データ解析

取得した地表データを専用ソフトで解析し、点群データから3Dモデルや鳥瞰図などを作成します。その後、依頼者が求める成果物(図面など)として整えて納品します。

ドローン測量のメリット

ドローン測量には、以下に挙げるようなさまざまなメリットがあります。

高精度かつ効率的な測量が可能

ドローン測量は、上空からデジタル撮影やレーザー照射を行うことで、高精度の測量データを迅速に収集できます。これにより、従来の手作業に比べて効率的に3Dモデルの作成が可能です。

また上空から測量するため地形による制約が少なく、難易度の高い場所でも測量が可能です。

安全性が高い

ドローンによる測量では、人力で測定するのが困難な場所や危険な状況下でも安全な測量作業が可能です。これにより、従来の測量方法で発生する可能性のある事故といった、人的リスクを軽減できます。

低コスト

ドローン測量は、従来の航空機を用いた測量方法と比較して低い価格で実施できます。たとえば、小型飛行機を使った測量には100万円程度の予算が必要ですが、ドローンであれば十数万円で実施できる場合があります。

さらに、ドローンによる測量は多くの人手を必要としないため、コスト削減(人件費の削減)にも効果的です。

ドローン測量のデメリット

一方、ドローン測量にはいくつかのデメリットもあります。ドローン測量の利用を検討する際は、これらのデメリットにも注意する必要があるでしょう。

天候や風向きによって影響を受ける

ドローン測量は、天候や風向きに影響を受けやすいため、悪天候時には測量が難しくなります。また突風などによってドローンの飛行が不安定になることがあり、測量精度が低下する可能性もあります。

飛行時間が短い

ドローンはバッテリーの消費量が大きい機械です。また軽量化のために小型のバッテリーを搭載していることが多く、長時間の飛行ができません。広範囲を測量する場合は途中でバッテリー交換が必要となるため、時間のロスや手間が発生して測量効率が低下することがあります。

データ処理に時間がかかる

ドローン測量で得られるデータは膨大です。このため専用ソフトでの処理に時間がかかることがあります。狭い土地や凹凸の少ない土地の場合は人力で測量した方が効率的なことも多く、ドローン測量が必ずしもコスト削減につながるとは限りません。

従来の測量との違い

ドローン測量が登場するまでは「地上での測量」や「有人航空機による測量」が主流でした。ここでは、それらの測量方法とドローン測量の違いを比較します。

地上での測量とドローン測量の違い

地上での測量は小規模な範囲に適していますが、大きな範囲を測量するためには手間がかかり、時間と人手が必要です。これに対し、ドローン測量は広範囲の測量もほぼ自動操縦で行えるため、時間も人手も節約できます。

また地上での測量では、危険な場所や人の立ち入りが困難なエリアでの測量が困難ですが、ドローン測量ではこのような場所でも安全に、しかも遠隔操作で測量が可能です。

ただし、非常に狭い土地やフラットな土地では、地上での測量の方が効率的な場合もあります。

有人航空機による測量とドローン測量の違い

有人航空機を使った測量は、広大な範囲を短期間で測量できるものの、高額な費用が発生します。これに対しドローン測量はそれほど費用がかかりません。

またドローンは一般の航空機より低い高度を飛行するため、有人航空機を使った測量よりもより密な点群データ(x,y,zの空間座標データ)を取得でき、成果物となる3Dデータなどの精度が向上します。

ただし、非常に広範囲にわたるエリアを測量する場合は、有人航空機を使った測量の方が効率的な場合もあります。

ドローン測量に必要な資格

ドローン測量に必要な資格は、「測量に関する資格」と「ドローン操縦に関する資格」に分けられます。

測量に関する資格

ドローン測量には、一般的な測量と同じく「測量士」か「測量士補」の国家資格が必要です。

測量士

測量計画を作成し、測量業務を行うための資格です。以下のいずれかの要件を満たすことで取得できます。

  • 文部科学大臣の認定大学で測量に関する科目を修めて卒業+1年以上の実務経験
  • 文部科学大臣の認定短期大学、高等専門学校で測量に関する科目を修めて卒業+3年以上の実務経験
  • 国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設で1年以上、必要な専門知識および技能を修得+2年以上の実務経験
  • 測量士補の資格を持ち、国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設で必要な専門知識および技能を修得
  • 測量士試験に合格

測量士補

測量士が作成した測量計画の指示に従って測量業務を行うための資格です。以下のいずれかの要件を満たすことで取得できます。

  • 文部科学大臣の認定学校で測量に関する科目を修めて卒業
  • 国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設で1年以上、必要な専門知識および技能を修得
  • 測量士補試験に合格

ドローン操縦に関する資格

航空法の改正により、2022年12月よりドローンなどの無人航空機を操縦するための国家資格が導入されました。新しい国家資格(ドローンの操縦ライセンス)は以下の2種類です。

  • 一等無人航空機操縦士(一等資格)
  • 二等無人航空機操縦士(二等資格)

なお上記の国家資格に加えて、いくつかの民間資格も存在しています。これらの資格の違いは、操縦できる「飛行レベル」にあります。ドローンの飛行レベルとは、飛行方法や飛行場所によって分けられた以下の4区分のことです。

レベル1 目視内での手動操縦飛行
レベル2 目視内での自動・自立飛行
レベル3 無人地帯における目視外飛行(補助者なし)
レベル4 有人地帯における目視外飛行(補助者なし)

レベル1からレベル3までは二等無人航空機操縦士、もしくは従来の民間資格で飛行可能ですが、レベル4の飛行は一等無人航空機操縦士の取得者のみが行えます。

ちなみに一等無人航空機操縦士と二等無人航空機操縦士の取得方法は以下の2パターンです。自動車免許の取得と似たような制度、とイメージすれば理解しやすいでしょう。

  1. 学科試験と実地試験を受ける
  2. 登録講習機関を卒業して学科試験のみ受ける(実地試験は免除)

まとめ

ドローン測量は、さまざまな公共工事・民間工事で活用されています。ドローン測量ならではのメリットをしっかり理解して、従来の測量方法と上手に使い分けながら、建設プロジェクトの効率アップやコスト削減を目指してください。

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