ゼネコンとは?種類・業務内容・サブコンとの関係についてわかりやすく解説

建設工事に関係する事業者の中には「ゼネコン」と呼ばれる企業もあります。

この記事ではゼネコンという言葉の意味からゼネコンの種類、役割、そして「サブコン」との違いや関係について解説していきます。

ゼネコンとは何の略?

ゼネコンとは「ゼネラルコントラクター(general constructor:総合建設業者)」の略です。

建設業界では設計・施工・研究の各業務を分担して行うのが一般的ですが、ゼネコンはこれらすべての業務を自社で総合的に行うことができます。

また単に業務内容だけでなく、売上規模が大きい(一千億〜数兆円規模)のもゼネコンの特徴です。

ゼネコンの種類

ひとくちにゼネコンといっても、売上規模によって「スーパーゼネコン」「準大手(大手)ゼネコン」「中堅ゼネコン」の3つに分けることができます。

スーパーゼネコン

スーパーゼネコンとは「売上規模が1兆円を超える」ゼネコンのことです。現時点では「大林組・鹿島建設・清水建設・大成建設・竹中工務店(50音順)」の5社がスーパーゼネコンと呼ばれています。

準大手ゼネコン

準大手ゼネコン(大手ゼネコンと呼ばれることも)とは、スーパーゼネコンに次ぐ規模のゼネコンです。

準大手ゼネコンの売上規模について厳密な定義はありませんが、おおむね3,000億円以上とされています。

準大手ゼネコンに該当する企業はたくさんありますが、有名なところでは「長谷工コーポレーション」や「戸田建設」「フジタ」「五洋建設」「熊谷組」などが挙げられるでしょう。

中堅ゼネコン

中堅ゼネコンとは、売上規模がおおむね1,000億円前後のゼネコンです。たとえば「奥村組」「鉄建建設」「東洋建設」「東亜建設工業」「淺沼組」などが挙げられます。

ゼネコンの業務内容

最初に説明したとおり、ゼネコンとは設計・施工・研究の3業務を自社で一括して行うことができる企業です。

設計

設計にはさまざまな分野がありますが、特にゼネコンが行う設計には以下の3つがあります。

  • 建物の外観や内装をデザインする「意匠設計」
  • 建物そのものの構造を決める「構造設計」
  • 電気設備や空調設備などを配置する「設備設計」

施工まで一貫して行えるという強みを生かして、コストや工期の面で効率良く設計できることがゼネコンの特徴です。

施工

ゼネコンにとって中心業務といえるのが施工(施工管理)です。ゼネコンでは基本的に下請け業者への発注や工事全体の管理を行いますが、中でも重要な管理業務が以下の4つです。

工程管理

工事全体がスケジュール通りに進行しているかどうか把握し、必要に応じてスケジュールを再調整して、納期までに工事を完了できるようコントロールする

安全管理

現場での声掛けや環境整備、危険予測活動(KYK)や安全大会、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)運動などの取り組みを通し、作業中の事故を未然に防ぐ

品質管理

工事が仕様書や設計図通りの基準を満たしているかを確認して、必要に応じて写真による証拠の記録や施工記録の作成をする

原価管理

実行予算に基づいて原価計算を行い、差異が発生するようなら施行計画の変更など柔軟な措置を講じる

研究

質の高い建築素材、新たな建設技術など、建設に関わる研究を行うのもゼネコンの業務の一環です。

特に最近では防災技術やAI・IoT(モノのインターネット)を利用した技術などが盛んに研究されています。

ゼネコンの業務の一般的な流れ

ゼネコンが手掛ける建設工事は都市開発や大規模リゾートなど規模の大きなものがほとんどです。

これらのプロジェクトはゼネコン単独で行うのではなく、不動産デベロッパーや下請け会社など、さまざまな企業が関与して行われます。

ここではゼネコンが関わる多くのプロジェクトに共通する業務の流れを、(ゼネコンが関与する前の)上流工程を含めて簡単に紹介します。

①建設に向けた調査(不動産デベロッパー)

ゼネコンが手掛ける大規模な建設工事は、ほとんどの場合「不動産デベロッパー」と呼ばれる不動産業者(開発会社)からの依頼で始まります。

不動産デベロッパーは都市開発やリゾート開発のための情報収集や土地の調査を行い、おおまかな建設計画を立てるとともに土地所有者や仲介業者と交渉を行います。

②簡易設計書の発注(不動産デベロッパー)

おおまかな計画や土地所有者などとの交渉が進んだら、不動産デベロッパーは簡易設計書の作成を発注します。発注先はゼネコンに限らず、実績のある設計士(個人事務所)に依頼することも少なくありません。

③見積もり(ゼネコン)

簡易設計書が完成したら、それに基づいた見積書を作成します。

見積もりを作成するのは工事を担当するゼネコンです。まずは簡易的な見積もりからスタートしたうえで、不動産デベロッパーとゼネコンとの間で交渉を重ねながら見積もりの精度を高めていきます。

④工事開始〜施工管理(ゼネコン)

見積もりが完成したら不動産デベロッパーが土地を確保し、プロジェクトがスタートします。

工事を受注したゼネコンは「サブコン」と呼ばれる下請け会社に(専門分野ごとの)工事を発注し、工期を通して施工管理を行います。

ゼネコンとサブコン

ゼネコンが業務を行ううえで欠かせないのが「サブコン」です。ここではサブコンの定義と具体的な役割、ゼネコンとの関わりについて説明します。

サブコンとは

サブコンとは「サブコントラクター(Sub Contractor)」の略で、ゼネコンの下請けとして建設工事に参加する協力企業のことです。

サブコンには土木工事や足場工事、電気工事、空調設備工事などそれぞれ専門分野があり、各分野に特化することで「専門家ならでは」の質の高い工事や効率のよい工事を提供しています。

都市開発やリゾート開発などの大規模工事ではこのようなサブコンが数多く参加し、お互いに協力し合いながら工事を勧めていきます。

サブコンの役割

サブコンは単なる「下請け作業員」ではありません。

建設工事全体の施工管理を行うゼネコンに対し、サブコンはそれぞれの専門分野ごとに現場監督を配置して施工管理(工程管理・安全管理・品質管理・原価管理)を行います。

ゼネコンとの関係

サブコンはゼネコンの協力会社ですが、互いの関係は契約形態によって多少異なります。

一括発注

施主(不動産デベロッパーなど)がゼネコンに工事を一括発注して、ゼネコンが個別分野ごとにサブコンと下請け契約を結ぶケースです。サブコンはゼネコンの管理監督を受けながら工事を進めます。

分離発注

施主がゼネコンとサブコンのそれぞれに工事を発注するケースです(建設工事はゼネコンに、専門工事はサブコンに発注)。この場合、サブコンはゼネコンからある程度独立して工事を進めます。

コストオン工事

施主が専門工事を行うサブコンを指定した上で、ゼネコンに一括発注するケースです。施主がサブコンの統括費用(コスト)を上乗せ(オン)してゼネコンとの契約を結ぶためこのように呼ばれます。

この場合、サブコンはゼネコンと密接に連携しながら工事を進めます。

まとめ

ゼネコンは民間工事・公共工事にかかわらず、規模の大きな建設工事に欠かせない存在です。専門分野に特化したサブコンはもちろん、サブコンの下請けで働く小規模事業者も、ゼネコンの動向を定期的にチェックしていくことをお勧めします。

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