業界記事

【賃上げ加点】 参加者の6割が表明/8月末までの実施状況

2022-11-25

 
加点措置の実施状況
 国土交通省は、総合評価落札方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置の実施状況をまとめた。2022年4月以降の契約案件を対象に加点措置を行っており、8月末までで2503件の工事が対象となり、全工種合計で実競争参加者のうち約63%、実績確認の対象となる落札者のうち約70%が賃上げを表明した=表参照=。
 4月の制度導入開始以降、8月までに実競争参加者に占める賃上げ表明者の割合が増加傾向にあり、国交省では徐々に制度が浸透し表明率が上がっていると推測している。
 過去3年間で国交省直轄工事を安定的に受注している企業ほど、賃上げ表明率が高い傾向にあり、全工事平均で63%の賃上げ表明率に対し、近年、平均で年1件(過去3年間で3件)以上の工事を受注している企業は、75%が賃上げを表明した。工種別では、表明率が高いのは一般土木(76%)、アスファルト舗装(85%)、鋼橋上部(85%)、橋梁補修(78%)で、表明率が低いのは造園(33%)、電気設備(41%)、通信設備(35%)などだった。公共需要の占める割合が高いと想定される工種は総じて表明率は高いものの、維持修繕は平均程度(61%)の表明率にとどまった。維持修繕のみを受注している業者に限ると表明率は42%であり、国交省では「競争性が比較的低い工種については賃上げ表明率が低くなると考えられる」とした。比較的民間需要の割合が高い工種は、表明率が低い傾向にある。
 地方整備局の一般土木のうち、A等級は100%、B等級は87%、C等級は75%、D等級は44%の表明率となった。C等級のうち、過去3年間で年平均1件以上の工事を受注している企業の表明率は81%。近年、安定的に国交省の工事を受注している企業は積極的に賃上げを表明している傾向にあるという。一方で、過去の国交省直轄工事の受注頻度が少ない企業は表明割合も低かった。
 賃上げを表明しなかった企業への聞き取り調査では「年度当初は賃上げ表明を見送ったが、今後表明予定」「過去に賃上げを実施済みで毎年は困難と判断。ペナルティリスクへの不安もある」「従業員内の不公平感から内部調整が困難」「県工事を中心に受注しており、近年は国工事の受注実績が少ない」「親会社・系列会社との関係」などの意見が聞かれた。
 国交省では今後、直轄工事を中心に受注している企業については引き続き制度の普及を図り、さらなる表明率の向上を目指す考え。継続に当たっては、幅広い企業に賃上げの取り組みを進めてもらうため、業界からの声を聞きながら適切な制度運用に努め、必要に応じて制度改善も行っていく見通しだ。
 

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