業界記事

【就任インタビュー】 建設業振興基金 谷脇暁理事長/CCUS定着へ正念場/質の高い建設業が必要

2022-07-25

谷脇理事長
 建設業振興基金の谷脇暁理事長は、就任インタビューで運営主体となる建設キャリアアップシステム(CCUS)に関して「定着のための正念場」としたほか、質の高い建設業の存在が必要と強調する。今後の抱負や取り組みの方向性について考えを聞いた。
 
 ―就任の抱負を
 谷脇 建設業振興基金は民と官のつなぎ役として50年近く事業を行い、今も継続しているものも多い。今まで蓄積してきたノウハウや全国のネットワークという財産を生かして今日的な課題に向き合い、少しでも建設産業の振興に役立てるよう努めていきたい。
 
 ―振興基金の具体的な役割について
 谷脇 大きな役割は二つある。技術検定の国家試験、経営強化のための金融支援といった人材育成のための取り組み、最近ではCCUSの運営などの事業を確実・安定的に実施していく。もう一つは蓄積したネットワークを生かして現場で役に立つ具体的な提案を見つけて、実際の取り組みとして支援する役割を果たす必要があると思う。
 日本は他の国と比べて、建築物や社会資本は格段に高い安全性が求められている。災害時の迅速な対応も必要。質の高い建設業の存在が、日本社会を形成する基本中の基本だと思っている。微力ながら建設産業の振興に役立てるようにしたい。
 ―CCUSの今後の展開に向けた見通しは
 谷脇 10月ぐらいには技能者登録者が100万人を超える見込みのところまで来た。これからの建設産業を支える必要不可欠なシステムという実態が備わってきている段階。必要不可欠な制度として、これを定着させていくことが大事で、定着のための正念場がこれから。しっかりと定着させて、十分な効果が発現できるようにしていきたい。運営を預かる振興基金としては、全面的な普及に向けた環境を整えていくことが一つの使命だ。
 関係機関と連携しながら、さらなる登録者数の拡大と利用の定着を図っていく必要もある。CCUSはいろいろな使い方があるので、これを使いこなすという気持ちで仕事を進めていってはどうかと思っている。メリットや趣旨をさらに徹底していくことも大事だが、もう少し短期的な目で見た時のメリットの具体化にも取り組む必要がある。登録数が増えてくる中で、いろいろな企業から日常的なメリットが出るような取り組みをしたいという提案が来るようになった。規模が大きくなるに従ってそういうことをやってみようという周辺の企業も出てきている。
 使い勝手の良い利便性向上とサポートの充実にも努める。CCUSは役に立つ仕組みであることをPRすることもやっていきたい。
 
 ―国土交通省の時代から関わってきたCCUSの現状をどう見ているか
 谷脇 よくここまで広がってきたなと思う。その間の関係者の皆さんの大変さに対しては頭が下がる。今後は確実に全面的な普及ができる環境を整備していきたい。
 社会的に大事な役割を担う建設産業を将来的にしっかりとした産業にしていくための必要不可欠なツールだという思いは全く変わっていない。まさにこれからもうひと踏ん張りして、定着できるようにすれば、当初言っていたような効果が発揮できるのではないか。
 
 ―CCUSの普及促進には公共工事での活用が不可欠になる
 谷脇 地方自治体の事業で働いている人たちは、地元の人が多い。CCUSは、その現場で働く人の処遇を高めるための手段。制度の主旨から言うと、地方自治体の発注でこそ率先して導入していただきたい。個社の努力で処遇を上げていくのはなかなか難しいと思うので、このシステムを使って、しっかりと処遇することをやってもらえれば。
 
 ―企業の経営強化に向けた支援について
 谷脇 最近の話では「CI-NET」の利用者が増えている。昔からの仕組みであるが、やはりデジタル化の流れの中で、効率化に役立つということなのだと思う。インボイス制度への対応も済ませており、来年の4月から運用開始できるようにしているので、こういうものも効率化につながる。現場のDX化と合わせて、特に中小・専門工事業までを含めた管理部門のデジタル化・効率化も支援していけないかと考えている。
 
【略歴】たにわき・さとる
 1983年一橋大法学部卒、建設省採用。国土交通省総合政策局建設業課長、土地・建設産業局総務課長、大臣官房総務課長、道路局次長、中部地方整備局副局長、土地・建設産業局長を歴任。道路新産業開発機構専務理事、同機構副理事長を経て本年6月28日付で現職。61歳。
 

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