業界記事

〈連載④〉 『激化する豪雨と戦う地域建設業』「リスク情報の共有と判断が鍵に」

2016-09-02

「激化する豪雨の予報と対策~リスクコミュニケーションのあり方~」をテーマとした鼎談(ていだん)で、国土技術研究センター理事長の谷口博昭氏、国土交通省水管理・国土保全局河川計画課長の平井秀輝氏、気象庁参事官(気象・地震火山防災)の弟子丸卓也氏が意見を交わした。
 平井氏は2015年9月の関東・東北豪雨の経験談を交えて、「リスクコミュニケーションは、どんな枠組みで情報提供されるかにより判断が変化する。メッセージの出し方で選択の仕方が変わる」と指摘した。
 国交省では新たな取り組みとして、鬼怒川の破堤を踏まえて住民目線に立った対策が必要との観点から、『水防災意識社会 再構築ビジョン』を策定した。
 平井氏は「堤防が壊れることを前提としたハード対策を行い、壊れるまでの時間を稼ぐ。住民目線のソフト対策では住民にどこが浸水するのかということに加え、どの家が壊れるかも情報提供している」と説明した。
 豪雨の予測方法を説明した弟子丸氏は「気象庁では気象予測をしてリアルタイムでリスク情報を出しているが、実際に意識が共有化されていなければ、行動に結びつかない」と指摘。「長期の情報から短期の情報までを出しており、その情報を使って自分のところはどうなるのかを判断していただきたい。実際に警報が出ても紙一重で雨が降らないことも結構多い。そうすると予想が外れたとなる。気象で難しいのは、ある時点から突然悪くなったりすること。どこで行動を起こすのか、その時に考えると迷って遅れてしまう。リスク情報に基づいて、それぞれが事前に考え、判断しておくことが重要だと思う」と強調した。
 情報の伝え方の課題について谷口氏は「災害の規模感を住民に訴えるためには過去の固有名詞を示すことが効果的だと言われている」と指摘。
 平井氏は「市町村の技術職員、災害対応をする人が本当に減っている。国も職員が減る中で、いかに効率的に情報発信するかということが、われわれの命題。国交省ではテックフォースという形で支援を行っており、一緒になって地域建設業の方々には協力してもらっている」と感謝した。
 弟子丸氏は「大事なのは災害時ではなく平時。平時の間に、この地域で過去に災害があったため、その時にはどうするかを示しながら一緒に考えるように取り組んでいる。今後は皆さんと一緒に進めていければ」と述べた。
 最後に谷口氏は「地域の安全・安心と地域の雇用・経済という両者を支え得るのは建設業界だと思っている。地域の強靱化と地方創生が両立できる。トップランナーの皆さんには模範を示して頑張っていただきたい」と期待を寄せた。(地方建設専門紙の会)
 

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