業界記事

【重層下請構造+記者の眼】 発生要因分析へ実態調査を

2016-08-23

 国土交通省は建設工事で下請構造を形成する要素を明らかにするため、本年度に重層下請構造の発生要因分析調査を行う。業務委託者は9月中にも企画競争方式で特定する。元請業者と専門工事業者の団体に協力を依頼し、100カ所程度の現場を抽出した上で、現場単位で下請業者を含む全ての建設業者に対してアンケート調査を行い、詳細な実態を把握することで要因分析につなげる意向だ。
 アンケートでは工種・規模、下請次数、自社施工ではなく下請けに出す理由、下請業者の選定理由、元下間の役割分担などを調査する。統計的な分析を重視するため個別の現場状況には触れない。
 中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会の中間とりまとめでは、専門工事業者が直接施工に必要な技能労働者を雇用から請負へと外部委託する動きが進んでいるとの指摘が出ていた。また、重層下請構造の改善に向けた当面の措置として、実質的に施工に携わらない下請企業の排除と、専門工事業者が中核的な技能労働者を雇用しやすい環境整備を進めることが盛り込まれたところ。
 今回の調査で全体的な傾向を分析し、下請けが重層化することで生じる処遇改善などへの課題を調べることで、課題解決のための施策検討を進める見通しだ。
〈記者の眼〉
 国交省では下請構造が重層化することに関しては、必ずしも悪いとは考えていない。確かに例え下請構造が重層化していても、現場の末端で働く労働者まで適切な賃金が行き渡っていれば問題はないだろう。ただ、これまでに正確な実態を把握できていなかったことも事実であるため、行き過ぎた下請構造の重層化が、本当に生産性低下や労務費のしわ寄せにつながっているかどうかは調査結果を待ちたい。今回、元請業者と下請業者という立場が異なる団体の協力を得て、上からと下からの2つの目線で調査することにより、実態と課題が明らかになることが期待される。
 

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