業界記事

記者座談会 「生産性向上の本質とは」

2016-08-09

記者A 建設業界でも生産性向上が最近のキーワードになっているけれど、正直なところ生産性向上と聞いてもピンと来ないのだが。
記者B 日本建設業連合会(日建連)が4月に「生産性向上推進要綱」を公表した。それによると、生産性向上は省人化が目標だが、担い手確保に必要な処遇改善の原資を生み出すもので、休日の拡大を可能にするためにも欠かせない取り組みと位置付けた。受注活動における価格ダンピングや工期ダンピングを断固排除することも盛り込んでいる。同要綱は建設業界と建設企業が一丸となって発注者、設計者、コンサルタント等も巻き込んで生産性向上に取り組むための指針としており、市場規模を考えた場合、日建連の会員企業以上に、地方・中小建設業の取り組みが必要と指摘した。
記者C 多くの建設業者は、そこまで認識していないのではないか。
記者B 確かに生産性が向上し、安く・短く施工できるようになっても、結果として予定価格が下がり、工期も短くなると「自分で自分の首を絞めることになるだけ」と危惧する声もある。ただ生み出されたお金と時間は処遇改善と休日確保に充てるべきものだという趣旨はもっともだし、それぞれの立場で考えていくべきだろう。
記者A 国土交通省の取り組みはどうなっているの。
記者C 国交省としてはi-Construction以外にも、5月に地域建設産業生産性向上ベストプラクティス等研究会を設置して、生産性向上につながる優良な事例を「見える化」する方法や建設業版生産管理モデルの構築に向けた議論を進めている。現在、生産性を定量化する方策について検討しているが、答えはそう簡単には出そうにない。
記者B 生産性の向上とは、簡単に言えば今までよりも利益を増やすことではないのか。
記者C それは当然の話。問題なのは、ある現場では生産性向上が進み、利益が上がっていても、他の現場で生産性向上が進まず、赤字になっていれば一つの企業として考えた場合、利益が出ていない可能性もある。監理・主任技術者や現場代理人の能力の差が利益の差にもなるため、誰を配置するかという経営者の判断が問われる。要するに現場単位と経営面の両方から生産性の向上を考える必要があるということ。
記者A 誰が担当しても赤字になる工事もあるのではないか。
記者C そういう工事もあるという話は耳にするが、その場合は能力が高い技術者を配置して、少しでも赤字幅を減らすのだとか。これも一つの生産性向上策といえる。
記者B 個々の工事で確実に利益を出していくことが、より一層求められるということだね。
記者C そのためにも企業の取り組み姿勢を見直す必要があると思う。現場の問題が社内で共有されずに、対策が現場代理人任せになっていることが大きな問題という指摘がある。特に設計変更が生じた場合は現場代理人の能力で対応が大きく変わると聞く。問題が生じた場合こそ、企業の支援体制が重要になるのだが。
記者B 良い事例があっても他社のまねをしようとしない経営者も多い。
記者A 現場に対して「生産性を向上させて利益を出せ」と命令しても、そう簡単にはいかない。経営者も定期的に現場に出向いて現場の状況をしっかりと把握して、適切に対応することが必要だろう。
 

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