業界記事

【就任インタビュー】 「地域による熟成必要」上田洋平関東地方整備局副局長

2016-07-21

 関東地方整備局の上田洋平副局長は20日の就任インタビューで首都圏広域地方計画の実現に向けて「各地域で熟成してもらい、いつまでに何をするのか、約束なのか努力目標なのか、位置付けをしっかりする必要がある」との見解を示した。
 3月に改定した同計画について「分散の概念を比較的軽くしたところに特色がある」と考えている。「従来は(東京への)一極集中をどう是正するかということを前面に押し出していた。ただ東京は国内では一人勝ちかもしれないが、世界、アジアの中で比べると危機感がある」とみている。国際競争力を強化するためにも、東京圏の役割は大きい。
 計画目標年次の2025年には3環状が概成する。「北関東自動車道や中部横断道とのジャンクション付近のインターチェンジは結節点になる」とした上で「(既に)ポテンシャルの高い地域として関東圏に相当数、出現」しており、道路整備の進捗に合わせて今後も増加する。
 一方で「ネットワークができたからすぐに対流が生まれるということではない。各地域が魅力を高めて引力を持つ必要がる。ネットワークが完成し、例えば1時間圏内が広がり、可能性が上がった。吸引力をどうするか、各地域にしっかり考えてもらうことが課題」とした。
 今後のまちづくりではコンパクトシティーの実現が重視されているが、関東圏では「市街地を収縮する概念だけでは、地元と基本的な考え方を共有できない」と捉えている。「コンパクトという概念は、関東圏における多くの地域ではスマートに近い。体脂肪を落とし、筋肉質になって市街地を整備する地域が少なからず存在する」と分析している。
 抱負の一つに「信頼とスピードの調和」を挙げる。社会資本整備に対する世間の感覚は、数年前のコンクリートから人へといった公共事業批判から「反対はしないという消極的容認のレベルまで戻ってきたが、積極的にどんどんやろうというところまでは回復していない」とみている。このため「丁寧にやっていかなければならない。一方で、スピード感を持って進める必要もある。丁寧さとスピードのギャップを埋めていかなければならない」と考えている。
 このほか「マーケットとの対話」も重視する。「まちづくりを行う時、事業者、投資家、テナント、地域住民など多くのプレーヤーがいて、細分化されている。個々のプレーヤーがどのような考えで行動しているのか、またどのような条件を提示すれば対応してくれるのか。常に考えて、相手方に問いかける必要がある。細かく対話して調査、準備を丁寧に行い、政策判断をしなければならない」と心掛けている。
【略歴】
 うえだ・ようへい
 1984年東京大学法学部卒、同年建設省。関東整備局建政部長、国交省土地・建設産業局総務課長、東日本高速道路管理事業部副本部長などを経て、6月21日より現職。静岡県出身、55歳。休日はジムで汗を流している。
 

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