東日本建設業保証は、保証取扱高から見た6月までの東日本地域の公共工事動向をまとめた。6月単月では件数は1万4722件と前年同月比で1・3%増だったが、請負金額で見ると9292億円で同1・4%減少した。今のところ、上期中の8割前倒し発注の影響は大きく出ていないと見られる。
6月の状況を発注者別に見ると、国や独立行政法人等は大型案件の反動などで請負金額は大きく減少し、都道府県・市区町村は増加した。ただ、都道府県や市区町村も増加要因は大型案件のため、前倒し発注の影響とも言い切れない。
4月~6月までの累計では、請負金額は前年同期比3・6%増だが、昨年度発注分が多いことから、やはり上期8割発注の影響は明確には見られない。
6月単月の件数が増加しているため、やや前倒しの動きの兆候かもしれないが、明確な動きではなく、どのタイミングで前倒しの影響が顕著に見られるようになるかが注目されるところだ。
〈記者の眼〉
前倒し発注の指示が出されたのが4月に入ってからで、当然すぐに対応できるものではないが、6月までに発注が増えたという感じはない。本格的に影響が見られるようになるのは、もしかしたら8月に入ってからかもしれない。そうすると、8月・9月に発注が集中することになり、不調の発生が懸念される。当初予算の大幅な増加が期待できない状況では、補正予算の成立は歓迎すべきところだが、早期発注と補正の組み合わせのような急激な動きは受注者サイドにとっては喜んでばかりいられる状況でもない。安定した予算、安定した受注環境がやはり一番望まれるところだ。