日本建設業連合会(日建連)の会計・税制委員長に就任した前田操治氏に今後の抱負などを聞いた。
前田委員長は「会計・税制は企業にとってインフラのようなもの。会計の仕組みや税制の変更があれば適時に情報を取得し、会員企業に発信するのが重要な役目。会計税制の在り方は時代の環境によって変化する。今の建設業界は国土強靭化、担い手不足、さらに働き方改革や生産性向上に向き合っており、日建連としても週休2日、建設キャリアアップシステムに取り組んでいる。そのための努力を行っている企業に対して委員会では支援をする。まずは企業からの声を聞き入れ、政府や関係省庁に届けていく」と委員会の役割を語った。
委員会の構成については「会計部会と税制部会で各種問題を協議している。会計部会は新しい会計基準に対する業務を進めている。2年後に導入するIFRS(国際会計基準)への対応が求められているが、昨年からは収益認識に関する会計基準の理論を部会でも進め、取りまとめた。本年度も引き続き展開していく」とし「もう一方の税制部会は現在、2020年度の税制改正要望に向けて取りまとめを行っている。こちらは①激甚化する自然災害に対する国土強靭化への税制創立②担い手確保や生産性向上へ向けた税制による振興③働き方改革における税制の簡素化―の3本柱がメインになる。具体的には都市や住宅に関する租税特別措置法の恒久化および延長、PFI事業に関する税制措置についても要請していく」と説明する。
本年度の重点課題としては「印紙税については、消費税との二重課税、電子納税との整合性、特定の産業への負担が大きいとの観点から廃止または軽減措置の延長を求めていく」との考えを示した。
【略歴】まえだ・そうじ
1992年3月早稲田大学人間科学部卒業、97年カーネギーメロン大学経営工学大学院(米国)修士課程修了、同年4月前田建設工業入社。2002年同社取締役、16年同社代表取締役社長・執行役員社長。1967年生まれ。福井県出身。