2019年度から建設キャリアアップシステムの本運用が始まるのに先立ち、2月27日には長野県発注の「北信合同庁舎耐震改修工事」(中野市)で限定運用が始まり、現場が公開された。施工者は中野土建(同市)。
デモンストレーションでは、現場事務所に設置されたカードリーダーに、技能者が事前に取得したICカード(建設キャリアアップカード)をかざすと、パソコンに氏名などが表示され、入場実績が記録された。技能者は入場時と退場時にこの作業を行うことで就業履歴が登録される。
工事所長の岸田伸也氏は「初めて一緒に仕事をする技能者でも、これまでの経験が確認できるようになり、現場管理がしやすくなる。品質管理にもつながると思う。普及が進み、情報が蓄積されることで、さまざまな効果が期待できるのではないか」と述べ、デモンストレーションに参加したアオキビルド(中野市)の高橋彬氏は「事前に連絡をもらっていたこともあり、スムーズに準備できた。カードの発行手続きは会社が行ってくれた」と話した。
運営主体となる建設業振興基金の佐々木基理事長は「ものづくりを担う人たちの経験や知識、能力を見える化し、適正な評価を行えるようにしなければいけない。職人が尊敬・畏敬の念を持ってもらえる社会を、もう一度つくる。これが、ものづくりを復権させ、日本を成長させていくために必ず必要だと考えている」とシステムへの期待を話した。
限定運用に協力した中野土建の藏谷伸一社長は「(システムの検討が進められていた)県建設業協会の会長時、導入に対する国土交通省の熱い思いを感じた。また、限定運用の多くは大手ゼネコンの現場だが、普及には地域ゼネコンの現場での知見も必要だと考え、協力させてもらった」とコメントした。