業界記事

【高校生作文コンクール①】 国土交通大臣賞「大切にしたい言葉」

2018-10-16

◎曽我部七海さん(愛媛県立松山工業高等学校3年)  高校入学当初の私には、「建築家になって素敵な美術館をデザインしたい。」という夢がありました。昔からものづくりや絵を描くことが好きで、母に連れられて県内外の作品展に行くことが多くあり、いつからかこの空間を自分の手で創り上げてみたいと思うようになったのが始まりです。  建築の勉強は一年生のころは慣れない内容ばかりで大変でしたが、基礎知識が身についてくると建造物を眺めることがより楽しくなり、理解できる幅が広がっていくことに喜びを感じました。しかし、その一方で業界の厳しさも知りました。建築業は一見、輝いて見える世界ですが現実は地味な作業がほとんどなこと。残業が多く自由な時間が少ないこと。私の希望だった内外観デザインも高卒で就くことは難しいと知りました。先生や実際に働いている方々のお話は甘く見ていた私にとっては重たいものばかりで、目指す方向を間違えてしまったと後悔する日もありました。  そんな時、私の進む道を支えてくださる方との出会いがありました。その方は、建築家展へ友人と行ったときに積極的に話しかけてくださった、建築家の清水千絵さんです。清水さんは元々インテリア系の仕事に就いていましたが、建築に興味を持って方向転換し、学校に入り直して自分の事務所を構えるまでになったそうです。「人生はいつだってやり直しができる。だからこそ、失敗を恐れず今やりたいことに全力で挑戦しなさい。そうすればきっと、道は開けるから。」さまざまな経験を積まれた清水さんからいただいた言葉は、私の心を勇気と希望の光で照らしてくださいました。  建築の世界は知れば知るほど恐ろしいものですが、それ以上の楽しさがあります。二年生の後期をかけて全力で取り組んだ競技設計という高校生を対象としたコンペティションでは、間取りや模型などが計画通りに進まず苦しい場面が多くありました。しかし、先生や家族、友達に支えられながら一生懸命アイデアを絞って創り上げた日々は何よりも充実し、表現できないほどの達成感を味わえました。建築は私の日常を苦しくも豊かにしてくれています。まだ不安もありますが、今は自分の好奇心に従って、私の信じる建築の道を突き詰めていきたいと強く思っています。  今、私たち三年生はそれぞれが進路について真剣に悩んでいる時期です。社会人として生きていく友人もいれば専門学校や大学に進学する友人もいます。私もまだ自分の進路は確定できていません。悩める時間は限られていますが、あのときいただいた言葉を忘れず、夢や目標を持って毎日を大切に過ごし、どういう形であれ大好きな建築業に携わりたいと思っています。そして、清水さんのように周りの人々を笑顔に変え、背中を押すことができる建築家になりたいです。

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