業界記事

《連載③》 【地域のインフラメンテナンス】「人と機器の両輪で効率化」

2018-08-09

 老朽化が進むインフラの安全に対する関心が高まる中、三信建材工業(愛知県)は、検査・修繕技術を磨き続け、検査員の技術と新たな機器の両輪による安全確保を追求している。石田敦則社長は、構造物点検におけるイノベーションとして、非GPS環境でのドローンによる新しい点検を提案した。  同社は、1963年に建物の防水や塗装工事を主軸として創業。一方、国内では、高度経済成長とともに団地やビルなどの建設が進んでいた。その後、鉄筋の腐食によるコンクリートのひび割れなどの問題が顕在化し、構造物検査へのニーズは大きな高まりを見せるようになった。そこで同社は、1985年ごろから建物の修繕や補強、検査に取り組み、その技術を磨いてきた。  調査では、打診調査や赤外線カメラを使った検査を実施してきたが、それらの業務には専門的な知識や長年の経験が求められる。検査員は一朝一夕で育つものではないため、同社では検査の効率化を目指した。その一つがドローンを使った検査だった。  ドローンはGPSの衛星測位情報を利用し、自己位置を推定、計画航路に沿って自動で飛行することが可能だ。石田氏は「橋梁などの下や構造物の周囲では、GPSの測位データが構造物に遮断または反射し、正確な位置情報を得ることができない」と指摘する。  同社は、非GPS環境でも自律飛行できる方法をベンチャー企業と開発。ドローンに搭載した各種センサーから取得した情報を機体に搭載されたオンボードのパソコンで3次元マッピングし、自己位置と地図を同時作成することを可能にした。  2014年度から4年連続で国土交通省の「次世代社会インフラ用ロボット現場検証」に参加し、橋梁下の非GPS環境での実証検証を行った。初年度の浜名大橋(RC橋)では、桁と桁の間にドローンを侵入させ、近接目視調査の結果、ひび割れ幅0・1mm以上の損傷部の確認ができた。  同社ではこのほか、ドローンを活用した建築物の自動点検システムや、人口密集地でも外壁を自動で昇降できるロボットの開発を進めている。石田氏は「0・1mmのひび割れが1年後にどうなっているか点検することも可能」「40㎝程度のひさしなら、またいで登ることがきる」と手応えを話した。  石田氏は「いわゆる下請業になるが、下請けでも一つ輝くものを持っていたい。そのためには、今までの技術をイノベーションしていかなければならない」と強調。「昇降用ロボットと自律飛行するドローンの2本立てで、構造物やインフラの点検に臨んでいきたい」と今後の事業展開を見据えている。(地方建設専門紙の会)

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