業界記事

総事業費54億円の西大袋地区整備-中心核設計プロポ2次審査に6社。今月にも採用案

2001-03-07

 越谷市北部の新たな核として総事業費54億円を見込む西大袋地区中心核の設計プロポーザルコンペ2次審査会が3日、南越谷のサンシティで行われた。
 コンペは、調整池・近隣公園・公共建築物で構成する中心核の調整池基本・実施設計者を選定するもので、公開ヒアリング方式を採用、1次審査を通過したパシフィックコンサルタンツ、日建設計、NTTファシリティーズ・梶谷エンジニア・緑住環境計画JV、環境デザイン研究所・日本技術開発JV、類設計室・プレスメディア・サンキコンサルタンツJV、大日本コンサルタント・プランニングネットワーク・小野寺康都市設計事務所JV--の6者が発表した。
 審査委員会(委員長・篠原修東京大学工学部教授)は同日、技術的点数評価を行い、結果を越谷市に報告しており、今後、市内部のコンペ決定委員会で、早ければ今月中旬に最優秀賞1点、入選4点を選出、設計者を選定する。
 西大袋地区中心核は、越谷市が施行する西大袋土地区画整理事業地内中心部の敷地6・5haに調整池・公共施設・近隣公園を一体的に整備するもの。東西に伸びた敷地で、西側3haを調整池、中央1・5haを公共施設、東側2haを近隣公園の配置を想定、西側からの段階整備を予定している。提案では機能と面積を満たしていれば配置変更は可能とした。
 コンペは公平を期すため、社団法人都市づくりパブリックデザインセンター(千代田区)が主催・事務局を担当。提出案には①中心核全体の土地利用、ランドスケープデザインの考え方②中心核全体のマスタープラン③近隣公園(防災機能とシンボル性)の設計案④公共施設(図書館、公民館など、延べ床面積8、000~1万㎡)の設計案⑤調整池(10万7、000立方m)の設計案が求められた。このほか、計画地が沼地による軟弱地盤であること、地下水位が高いことに対する対応も注目された。
 審査に先立ちあいさつに立った篠原審査委員長は「西大袋地区中心核は全国でも珍しい複合施設。建築、都市計画、植生、水処理、福祉などを一体的に計画することは応募者も戸惑ったと思うが、審査委員も戸惑った。これから行われる発表を楽しみにしている」と期待を表した。
 ヒアリングは各者持ち時間30分で、前半15分を提案発表、後半15分で審査委員会との質疑応答。質疑には、越谷市役所に各者提出案を1週間掲示した際の市民アンケートの意見も反映されており、応募者は限られた時間内で十二分に作品をアピールした。
 今後は新年度から調整池の設計に入り、14年度の着工を目指す。公共施設・近隣公園着手は、家屋移転終了後の17年度以降を予定しており、その際の設計者は改めて選定する方針で、選定方法については現段階では未定。中心核整備の総事業費には54億円を見込んでいる。
 西大袋土地区画整理事業の整備面積は125・9ha、計画人口約1万2、600人。4月に仮換地指定を予定し、現在は一部下水道工事に着手している。
 各者の提案は次のとおり。(発表順)
【パシフィックコンサルタンツ】
 「育てる」をテーマに20年後の西大袋地区を表現。段階的整備に重点を置き、住民参加でゆっくり成熟するまちづくりを提案。調整池はコスト面に配慮し、土構造で、雨水量に合わせ3段階の貯水、自然流下とポンプ排出の併用を計画。親しみの空間とするため、周囲との高低差は3mに抑え、緩い斜面とする。そのため広い面積を必要とするが、調整池上に高床式の公共施設を建設。
 公共施設は、将来的な予算・段階施工に対応可能な小規模建築群で、コンクリートを多用しないものとする。調整池掘削時に発生する10万立方mの残土は、プレロードや屋敷林に利用。最終的に近隣公園部の月山を造成する。
 このほか、太陽熱の利用、地区内発生ごみを収集し発生するメタンガスの熱を利用した施設などを提案。
【日建設計】
 元荒川の原風景伝承をメーンテーマに、調整池全体を元荒川に見立てた計画を提案。調整池は深く掘り込まず、勾配は1:3より緩いものとし、上流部には子供が遊べる「せせらぎ」を設置。年間95日の降雨に対し、60日は水辺エリアのみで対応、自然流下とし、30日程度は地下貯水槽(4万立方m確保)に貯水、ポンプ排出とする。
 公共施設は洪水を避け、丘の上に設置。土地の高低差により1階・2階からのアプローチを可能とする。また、町のどこからも屋敷林が望めるよう配置し、元荒川の桜並木に匹敵する桜も植え、みんなでつくる公園とする。
【NTTファシリティーズ・梶谷エンジニア・緑住環境計画JV】
 調整池を人と水との共生空間(海・原っぱ)、公共施設を人と人とのコミュニケーションの場(丘・まち)、近隣公園を人と自然が触れ合う・学ぶ(池・林)とイメージ。東側ゲートから中心核を横断し、西部で弧を描き西側ゲートへ抜けるシンボル軸を配置し、弧の周辺を調整池とする。弧の内側は0・9mの地盤高で、外側は1・6m。2池の段差部は壁打ちテニスなどが出来る。弧の内側の池には富士山型の島を設置、子供の遊び場とする。調整池周辺にはボックスカルバートを配置し、放水路に直結することで、通常時の池をドライに保つ。
 公共施設は丘に半分埋め、敷地周辺にはサイクルロード(W2m)、散歩道(W4m)を配置。このほか住民が育てる花壇広場、敷地西北部には池を設け、ヨシの浮島を設置、水鳥のサンクチュアリとする。
【環境デザイン研究所・日本技術開発JV】
 憩い・慈しみ・癒しの3つのリングの回遊性をテーマに計画。調整池は①多目的広場周辺②多目的広場周辺と地下ピット③多目的広場-の3段階の貯水を提案。地下ピットは、上部に計画する公共施設がどのようなプランでも対応できるよう、基礎を兼ねる。規模は90m×90m、内空高6mで、2段式とし、各段200台、計400台の駐車が可能。地下ピットの貯水は5年に1度の大雨時のみ。
 全体計画では、里山、平地、窪地で変化をつけた特徴的な景観とし、それぞれのゾーンで異なる水の表現を演出。水を循環させ、滝やせせらぎを設置する。
【類設計室・プレスメディア・サンキコンサルタンツJV】
 テーマは緑の島(フォレストアイル)。市民参加と環境共生を軸に、水田に浮かぶ島をイメージ。中心核と周辺が平坦な土地であることに対し、ダイナミックな造形を提案。2段式の調整池で、2池の段差は5・5m。段差部は45度の斜面、表面は自然石張りとし、生物の生息環境とする。小雨時は上部の池から自然流下させ、大雨時は傾斜を伝い下段の池に流入、ポンプ排出する。ポンプ規模は主排水に毎分30立方mを2基、補助排水に7・3立方mを2基設置。
 このほか、遊水を利用したビオトープ、雑木林のビオトープ、バリアフリー(勾配4%)の芝生広場など計画。公共施設、近隣公園は市民との検討を提案した。
【大日本コンサルタント・プランニングネットワーク・小野寺康都市設計事務所JV】
 地域全体が見通せる空間づくりを提案。桜の大回廊と名付けた縦横2つの主軸は、南北60m、東西460m。調整池はオープンで、西側斜面は6割勾配で面積を広くとり、平常時は人々が寝ころべるくつろぎの空間に、そのほかの斜面は6割~3割のうねりを持たせた斜面とする。調整池内には桜を植え、調整池上を通過する東西の主軸であるプロムナードブリッジは桜の海を浮遊するイメージ。貯水量を確保するため、調整池東側は南北主軸部で垂壁とする。
 公共施設は屋上をヘリポートやピロティにし、施設一部は調整池に張り出す。また、公共施設屋上にはソーラーパネルも設置し、発生電力は水の浄化、一部夜間照明に利用する。

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