業界記事

企業と若手、認識にズレ/イメージ改善 再認識/担い手確保、働き方改革

2023-03-31

 建設業情報管理センター(CIIC)は29日、地域建設産業のあり方に関する調査研究タスクフォース(茨城県)報告書を公表した。担い手不足など業界の課題に特化したアンケート調査を経営者・若手人材・県在住者へ実施。従来のイメージにとどまっていた問題が数値として可視化された。担い手不足の分野では、企業と労働者で考えや不満を抱えている内容の認識にズレがある可能性が浮き彫りとなっている。さらに、就業環境や業界のイメージアップも現状が見えた。

 CIICは、都道府県の要望に応え、建設産業行政の支援を目的とした「地域建設産業のあり方検討委員会」を2010年度に設置。22年度の調査研究事業に、茨城県をモデル県として、県勢並びに建設業の現況分析に特化した「地域建設産業のあり方に関する調査研究タスクフォース(座長・中川雅之日本大学教授))」を設置。建設業の担い手不足、若年層の担い手確保、働き方改革への対応といった課題を分析した。調査については、県内の企業(経営者)・若手人材・県在住者を対象とした。
 担い手確保の現状は、充足率が低く、求人を出しても約2割の企業が採用に結びついていケースが見られた。原因には「3K(きつい・汚い・危険)のイメージ」や「他業界よりも休日が少ない・不規則」といった業界へのイメージが影響している可能性に言及している。
 企業と就業者では、考えや不満を抱えている内容の認識にズレがある可能性も指摘。若手アンケートによる「入職前の重視度と入職後の満足度ギャップ」によると、給与・福利厚生、休日・休暇のギャップに不満を抱えていることが分かる。一方、経営者への「新たに採用した技術者・技能労働者の離職理由」調査では、仕事の内容や人間関係が上位に占める。「若手が何に不満を感じているか」と「経営者が捉えている離職理由」について、認識のズレが生じた一例だ。
 従業員の就業環境については、業務プロセスの改善やICT技術の活用による生産性向上が必要と提言。中でも、2024年問題と言われる労働時間上限規制対応への取組みとして、変形労働時間制の採用、現場管理ソフト等の導入、直行・直帰などが上がる。処遇改善や働き方改革を実施する上での必要条件には、発注者への提出書類の簡素化・削減、適切な工期・適切な経費などがポイントになるとした回答が上位を占めた。
 時間外労働の上限規制対応や週休2日制の定着に向け、行政や建設業界の取り組みに加えて民間工事の発注者や社会一般も含めた理解情勢が必要と指摘。県格付けの労働条件審査により、働き方改革が促されることにも期待を寄せる。

 県内在住者へのアンケート結果を見ると、約6割の回答者が建設業に対して「良いイメージ」を持っていることが分かった。地域インフラや災害対応の担い手であるという役割を知っていると回答した人の多くは、建設業に対して良い印象を持っており、地域貢献に対する評価も高い傾向にある。
 一方、良い印象を持たれているにも関わらず、就職先への選択肢について87%の人が「ない」と回答した。「体力的につらそう」「危険そう」など3Kのイメージが強い理由となっている。業界への悪いイメージを持つ人たちも、同様の理由が上位を占めた。「女性が働きにくそう」という従来からのイメージを改善する必要性を訴えかけている。
 業界の役割に対する認知度を向上させる必要があり、学校への出前講座や現場体験学習会など直接的に建設業に触れる機会が望まれているとしている。また、採用に成功している企業と成功していない企業では明暗が分かれており、採用に成功している企業はホームページやSNS、学校訪問など広報活動に力を入れている。業界の役割やイメージを正しく適切に県民に伝えることが重要であり、担い手確保にっも効果が期待できるとした。

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