業界記事

安足土木事業概要、128カ所に146億投入、秋山川を改良復旧、赤見馬門線は詳細設計

2020-09-18

 県安足土木事務所は、2020年度の事業概要をまとめた。繰り越しを含めた事業費総額は128カ所に146億5000万円を投入。内訳は道路・街路事業が78カ所に84億9000万円、河川・砂防事業は50カ所に61億6000万円を配分した。佐野市の1級河川秋山川は激甚災害対策特別緊急事業に採択され、樋門詳細設計、堰上下部工事、護岸工事を実施する。交付金新規の主要地方道桐生田沼線閑馬町は春高橋架け替えに向けた用地補償。一般県道山形寺岡線出流原は用地補償や改良工事。都市計画道路3・4・3号赤見馬門線高萩町は詳細設計や用地補償。砂防は新規の曲屋沢が測量設計や地質調査。急傾斜地崩壊対策では山根Aが用地測量、用地補償、擁壁工事。足利市の一般県道佐野太田線福居町は交付金の新規。測量試験や用地補償に着手する。都市計画道路3・5・101号毛野西新井線西新井町は測量試験や用地補償。(3面に主要事業個所)
 ■佐野市
 【秋山川】
 昨秋の東日本台風では県管理区間の秋山川は床上浸水1411戸、床下浸水636戸の甚大な浸水被害が発生。菊沢川放水路合流点(大橋町)から下流の大古屋橋(大古屋町)までの3000m区間が激甚災害特別緊急事業と災害関連事業に採択された。
 計画区間内では2カ所が破堤決壊し、被害拡大を招いた。19年度に着手し、24年度の完了予定。河道掘削、築堤、護岸整備、橋梁の架け替え、堰改築の総合的な対策を通じ、再度災害を防止する。下流側から護岸工事を始め、総事業費57億円を投じる。
 【閑馬町】
 桐生田沼線閑馬町は延長500m(幅員10・5m)が事業区間。1級河川閑馬川をまたぐ春高橋を架け替える。昨年度は道路調査や橋梁詳細設計を富士コンサルタンツ(宇都宮市)に委託した。橋梁前後の線形を改良し、春高橋のボトルネックを解消する。
 現橋は橋長25・5m、幅員6m。上部は2径間単純RCT桁、下部は直接基礎RC壁式橋脚1基。沿道には住宅街が形成され、閑馬小学校の通学路となっている。片側に2・5mの歩道を新設し、登下校時の安全性を確保する。総事業費は3億円。
 【出流原】
 山形寺岡線は北関東自動車道出流原PAスマートICと国道293号経由で佐野インランドポート総合物流拠点を結ぶ路線。現況は片側1車線であり、スマートIC開通後は交通量の増加が見込まれる。スマートIC取り付け部に右折専用レーンを設ける。
 延長550m区間の県道北側東進部と南側西進部の交差点に右折レーンを設置。交差点は10・25m(東側から路肩0・75m、車道3m、右折レーン3m、車道3m、路肩0・5m)。西側に片側歩道2・5mが付く。総事業費は1億8100万円。
 【高萩町】
 赤見馬門線は市を南北に縦断し、市街地と佐野新都市、国道50号や東北自動車道佐野藤岡ICを連絡する幹線道路。沿道には多くの商業施設や住宅が建ち並ぶ。通過交通量が多く、主要渋滞個所に選定されている。特に南進方向の渋滞が著しい。
 左折付加車線の設置による南進2車線化を図り、機能的な幹線道路のネットワークを形成。歩道が狭く、自転車と歩行者が錯綜しているのを是正。歩行者と自転車の通行空間を分離する。延長1400m区間を幅員18mに改良。総事業費は21億円。
 【曲屋沢】
 曲屋沢(船越町)は流域面積0・053平方㎞の土石流危険渓流。砂防堰堤1基を整備する。保全対象は船越北公民館、一般県道作原田沼線(延長255m)、人家14戸、耕地1・6ha。23年度の完成を目指す。総事業費は1億4000万円。
 堰堤は堤長38・2m、高さ10mの不透過型。コンクリート容量1650立方m。資材運搬用の工事用道路は延長180m築造する。渓岸侵食や山腹崩壊が上流域から中流域で確認され、下流域では不安定土砂が堆積。豪雨時の土砂流出を未然に防ぐ。(3面につづく)
 (1面からのつづき)
 【山根A】
 山根A(秋山町)は崖の平均高さ47・5m、斜面の平均勾配39度の急傾斜地。地区内には市地域防災計画で避難場所に位置付けられた「あきやま学寮」「秋山生活改善センター」が立地。人家15戸、消防団分署もあり、早急な急傾斜地崩壊対策が必要。
 事業全体では待ち受け擁壁工(延長111m)、崩壊土砂防護柵工(延長186m)、法面工(3220平方m)を計画。今年度は用地測量や用地補償を経て待ち受け擁壁工(延長58・5m)の施工を予定。総事業費は4億2000万円。21年度の完成予定。
 【堀米町】
 1級河川菊沢川は堀米町~新吉水町間の延長4400mが事業区間。上流部の田沼地区は河積が狭小のため、治水安全度の向上を図る。絶滅危惧Ⅰ類に分類されるナガレコウホネの生育地だけに、みお筋を生かした河道拡幅により河川環境保全に努める。
 計画流量は毎秒65立方m。築堤5800平方m、護岸1万2200平方m、掘削9万5000平方m、排水樋管16カ所、取水樋管4カ所、道路橋22カ所、付け替え道路延長1200mを計画。今年度は用地補償。総事業費は28億3000万円。
 ■足利市
 【福居町】
 佐野太田線は市南部と太田市を東西に結ぶ幹線道路。延長1550m区間を幅員14mに拡幅改良する。御厨小学校から半径1㎞圏内にもかかわらず線形が屈曲しており、歩道の未整備区間が残る。現況幅員は歩道設置区間が8・5m、未整備区間は8m。
 改良後は車道3m×2、路肩1m×2、両側に3mずつ歩道を設置する。一般県道赤岩足利線と交わる東側の八木宿交差点、西側の市道とT字路となる堀込町東交差点は改良する。国道50号と並行するため、大型車の流入が多い。総事業費は15億円。
 【西新井町】
 西新井町は一般県道借宿西新井線の一部。市中心部と国道50号を結ぶ幹線道路。堀込町~西新井町間の延長920m区間を幅員15mに拡幅改良。車道、歩道、自転車通行帯を整備。山辺小学校や山辺中学校の通学路ながら歩道が未整備の上に車道幅員が狭小。
 標準部は車道6m、歩道3m×2、自転車通行帯1・5m×2、交差点部は21m(車道12m、歩道3m×2、自転車通行帯1・5m×2)で計画した。用地調査は晃洋設計測量(足利市)と落合測量設計(栃木市)が担当した。総事業費は23億円。
 【久野小前】
 一般県道野田多々良停車場線久野小前は延長500m、幅員12mに拡幅改良。一部に幅1・5mの歩道がある。改良区間のカーブは視認性が悪く、歩道のたまりがない。国道50号と122号へ接続し、大型車の通行が多い。今年度は用地補償。総事業費は4億円。
 【名草中町】
 一般県道名草小俣線は、市西部を東西に通過する都市計画道路三重小俣線と市北部拠点の名草地区を結ぶ補助幹線。名草小学校の通学路に指定されているものの、歩道が未整備。延長750m、幅員10・5mに拡幅改良。総事業費は6億円。
 【田所町】
 一般国道293号田所町は、助戸新山町~有楽町間の線形が屈曲している。青葉小学校1㎞圏の通学路ながら、歩道幅員が狭い。減災ネットワーク道路に位置付けられているにもかかわらず、現道は片側1車線。円滑な車両交通と歩行者の安全確保を強化する。
 15年度からバイパス化に乗り出し、延長550m(延べ1500m)、幅員16m(車道6・5m)を計画。今年度は用地補償、改良工事、舗装工事。複数の都市間を連絡する路線の利便性を向上させる。21年度の完成を目指す。総事業費は9億2000万円。
 【川崎橋】
 一般県道佐野太田線川崎橋は川崎町と野田町を結ぶ橋長389m、幅員9mの長大橋。上部は3径間・4径間の連続非合成鋼桁。1級河川渡良瀬川をまたぐ川崎橋は1980年の新橋架け替え以来、40年近くが経過。老朽化が進んでいる。
 長寿命化修繕計画に基づく補修工事に2016年度から着手した。安全で円滑な交通の確保に向け、今年度は高欄歩道部交換、垂直桁当て板補修、断面修復を予定している。20年度の完成目標。総事業費は9000万円。
 【助戸新山】
 国道293号助戸新山は延長300m、幅員16mが事業区間。屈曲している道路法線を是正する。1級河川袋川に架かる千歳橋から西側の整備済み区間につながる形の改良を計画している。今年度は用地補償、改良工事、舗装工事。総事業費は1億6000万円。
 【御厨小前】
 一般県道中野福居線御厨小前は、一般県道佐野太田線との交差点を改良する。延長750m(幅員14m)が計画区間。右折レーン設置工事と周辺の拡幅を実施。今年度は用地補償、改良工事、舗装工事。総事業費は12億円。供用開始目標は22年度。

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