業界記事

避難施設の耐震性確保を/中越大震災編<2>「住民の避難・安全確保」

2005-08-18

 昨年、県内を襲った「7・13新潟豪雨災害」及び「中越大震災」の検証を進めている新潟県の検証委員会(座長・平井邦彦長岡造形大学教授)が作成を進める検証リポート(案)のうち、今回は震災における『住民の避難・安全確保』に関する内容について掲載する。
【検証テーマ:住民の避難・安全確保】
 <1>避難情報の問題
◎問題となった事象
 ア 初動時の混乱、被災状況把握、通信インフラの寸断等で早期に避難に関する情報を発出できなかった
 イ 大規模地震による環境の激変で、土石流等の2次災害発生の予測がつかず、2次災害防止のための避難情報の発出に当たり、広域避難を長期間継続したり、判断に迷ったケースがあった
◎考えられる対応策と課題
 ア 的確な被害予測をもち、それに基づく訓練の実施、住民周知を行う。また、災害発生時には、その想定を参考に、迅速な避難情報の発出につなげる
 イ 2次災害発生の危険性等について、迅速な判断を行えるよう、専門家の派遣体制等を整える
 ウ 事前の想定に基づき、被害発生時の被災地域内・家屋内への立ち入り制限についてコンセンサスを得ておく
 <2>避難行動の問題
◎問題となった事象
 ア 地震により倒壊した家屋や、倒れてきた家具等の下敷きとなり、避難できない、または、家の外に出るまでに、飛散したガラス片などで負傷した
 イ 指定避難所以外の場所への避難所が多数いた
◎考えられる対応策と課題
 ア 住宅の耐震補強、家具の固定、発災直後の危機回避行動などについて、啓発活動等を徹底する
 イ 指定避難所外避難者を早期に把握し、必要な情報の提供や、支援が円滑に行えるようにする
 <3>避難誘導・救助の問題
◎問題となった事象
 ア 道路の寸断により、集落あるいは村全域が孤立し、危険となったため、多数の住民をヘリコプター等により救助しなければならなかった
 イ 孤立地区の住民の救出作業開始が遅れ、被災者が二晩以上屋外で避難しなければならなかった
 ウ 孤立地区の住民の不安解消のため、本来なら飛行に危険を伴う夜間にヘリコプターによる救出作業をせざるを得なかった
 エ 高齢者を含む地区住民が、山道を歩いて避難しなければならなかった
◎考えられる対応策と課題
 ア 土砂災害危険箇所の整備や、地震・土砂災害に強い道路整備、複数の避難ルートの確保等に努める必要があるが、期間及び多額の費用がかかる上、効果に限度がある
 イ 孤立しても集落内で一定期間は持ちこたえられるよう、避難施設と非常通信装置を整備する必要があるが、集落内に地盤災害から安全な場所を確保できるかが課題
 ウ 孤立が予想される集落に対して、発災直後から航空偵察等により、被災状況の早期把握を図るとともに救助を行う各機関が効率的に救助活動を行える仕組みを確立する必要がある。ただし、天候や季節によっては、救出も含めてヘリコプターの活用ができない場合がある
 <4>避難先での安全確保
◎問題となった事象
 ア 地震で被災して使用できなかった避難所や、余震による被害発生の恐れがあるため使えなかった避難所があった
 イ 避難所建物の天井材の落下、窓ガラスの破損などにより、構造自体に被害がなくとも、避難所として使えないケースがあった
 ウ 車中に避難をしていた人の中には、エコノミークラス症候群を発症し、亡くなったと思われる人や、体調を崩したりした人がいた
 エ 自家製テントなどでの屋外避難が続き、高齢者を中心に寒さなどから体調を崩した避難者が発生した
◎考えられる対応策と課題
 ア 避難所施設の耐震性確保、建物内の地震対策(窓ガラスの飛散防止など)を推進する。また、地盤の安全性も必要であるが、安定した立地点の選定は困難な場合もある
 イ 公共施設のほかに、民間宿泊施設の借り上げ、大型収容テントの仮設、ユニットハウスの配備など、多様な避難施設提供を図る
 ウ 公設避難所以外の避難者の実態の早期把握や避難者対策を確立する必要がある
【提言】
 <1>基本的な方向
 大規模地震が発生した際の住民の安全確保にとって、建物等の耐震性の確保とともに初動時の住民の自助・共助による避難救出活動が欠かせず、平時から、訓練、啓発活動、自主防災組織の育成等を通じて、住民及び地域の防災力を高めておく必要がある。
 また、行政も初動時に迅速な対応がとれるよう、早期に必要な情報を把握し、避難情報の発出や救助活動等の体制整備を行う必要がある。
 <2>平時における対策
 ア 建物の耐震化対策等の推進により、避難者や要救助者の発生をできるだけ抑える必要があるが、余震の継続などにより、極めて多くの住民が避難せざるを得ない場合もあることを、各自治体の避難計画に織り込む必要がある
 イ 集落の孤立に備え、避難施設や非常通信機器を整備し、住民の安全確保と情報の受・発信ができる体制を整えておく必要がある
 ウ 現有の避難所施設の耐震性を確保するとともに、従来の公共施設以外の避難場所確保を予め検討しておく必要がある
 エ 積雪期など、季節・天候が違った条件での住民避難と安全確保の方法について事前研究を進める必要がある
 オ 自衛隊、緊急消防援助隊、警察広域緊急援助隊などの応援実働部隊を、県災害対策本部で統合的に運用するためのルールを確立し、活動を調整する機能を整備するとともに、運用訓練の実施により習熟を計る必要がある
 <3>災害時の対応
 ア 県・市町村は、他機関が収集した情報も活用して、避難者の実態をできるだけ早期に把握する必要がある
 イ 地震後の土石流など、2次災害発生の危険性について、行政が的確に避難情報を出せるよう、専門家の派遣など住民の緊急避難に必要な体制を整える必要がある
 ウ 車中避難は、緊急避難的に止むを得ない方法であるが、エコノミークラス症候群等健康上の危険などのマイナス面も考慮し、テント等の代替宿泊手段の提供などにより早期解消に努める必要がある
 エ 集落の孤立は、交通の途絶だけでなく、通信・ライフラインの途絶、物資の供給困難等による住民生活の困窮、地盤災害による集落立地そのものの危険を伴い、早期に孤立状態が解消できないのであれば、住民の脱出避難が早い時期から必要になるという認識を行政が持つべき

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