業界記事

避難勧告の発令基準明確化を/新潟豪雨災害編<2>「住民の避難・安全確保」

2005-08-12

 昨年、県内を襲った「7・13新潟豪雨災害」及び「中越大震災」の検証を進めている新潟県の検証委員会(座長・平井邦彦長岡造形大学教授)が作成を進める検証リポート(案)のうち、今回は水害における『住民の避難・安全確保』に関する内容について掲載する。
【検証テーマ:住民の避難・安全確保】
 <1>避難情報の問題
◎問題となった事象
 市町村の避難勧告等の情報の発出が遅く、発出しても住民にうまく伝わらない、伝わっても住民には意味が分からないといった問題が生じ、結果的に円滑な避難行動に結びつかなかった。
◎考えられる対応策と課題
 ア 行政が避難勧告等の意志決定に当たり、的確な時期に避難勧告等を行えるように、発令基準等を明確にする
 イ 同報無線などの迅速・確実な情報伝達手段を確保し、地域に特化したきめ細かい情報、次に何をすれば良いのかが分かるような情報を提供する
 ウ マスメディアを利用するなど、多様な情報伝達手段により情報を提供する
 エ 避難勧告等がどのような意味を持つのか、また、気象情報等から住民自身が事前に危険を察知できるよう、住民自身の防災知識を増進させるように啓発する
 オ 住民(高齢者・障害者等)が必要な援護状況に応じた、情報伝達手段を確立する
 <2>避難行動の問題
◎問題となった事象
 住民が適時に避難行動を開始できなかったため、避難中に遭難したり、避難できず住宅2階部分に取り残され、孤立するなどの危険な状態となった。また、障害者や高齢者は単身で避難できず遭難してしまった。
◎考えられる対応策と課題
 ア 住民が避難情報の意味を理解し、災害時に安全な避難行動や被害回避行動等をとれるように、防災知識を増進させるための啓発を行う
 イ 避難情報の的確な伝達経路を確立し、携帯メール等も含めた多様な情報提供により、避難行動の開始を呼びかける
 ウ 災害時要援護者の同意を前提とした事前把握や、複数の介助者の指名等、発災時刻等に応じた避難支援体制を確立する
 <3>避難誘導・救助の問題
◎問題となった事象
 自衛隊、消防、警察により、多数のヘリコプターやボートで救助活動を実施したが、救助されず数日間孤立状態となった事例があった
◎考えられる対応策と課題
 ア 避難準備情報の活用などにより、早めの避難行動を促し、被災孤立者を減少させる
 イ 救助は複数機関の連携により実施されることから、早期の情報共有や応援要請により迅速かつ効率的に救出にあたる
 ウ 市町村は、事前に地域の名簿等を取りそろえるとともに、避難した近隣住民の情報等により早期に孤立者を把握し、救助機関と連携して捜索及び救助を実施する
 <4>避難先での安全確保
◎問題となった事象
 指定された避難所が実際は使用できないケースや、被災により危険な避難所があった。避難所の開設が住民の避難に間に合わなかった例が一部あった。家族が別々に避難するなどして、安否情報に時間を要した。
◎考えられる対応策と課題
 ア 災害及び被害想定に応じた避難所の指定と住民への周知を行う
 イ 避難所開設及び避難所設備使用権限を、避難所近傍の者に付与する
 ウ 簡易ベットや障害者避難可能施設の確保など、避難者の状況に応じた避難施設や設備の事前確保を行う
 エ 生徒・児童の安否情報については、携帯メール配信など学校から保護者に情報提供できるシステムを構築する
【提言】
 <1>基本的な方向
 逃げ遅れや孤立によって危険にさらされる救助対象者を減少させるため、平時には住民自身が災害時に自分が取るべき行動を充分理解しておくとともに、災害時には、的確な危険情報や安心できる避難所情報を提供し、住民の早期避難行動につなげるような仕組み作りを行う。
 <2>平時における対策
 ア 行政は的確な時期に避難勧告等を行えるよう発令基準等を明確にし、その基準等を住民に周知しておくとともに、情報を確実に住民に伝達する体制を整備する必要がある
 イ 携帯メールや民間の情報サービスの活用も含めて、住民が必要とする情報提供方法について多様化を図る
 ウ 住民が地域の危険情報に関心を持ち、最低限気象情報や市町村の広報に注意し、自ら被害軽減行動をとれる生活習慣を身につけられるように防災教育を行う
 エ 浸水状況を想定した非難経路の設定及び避難所の指定を行い、住民が適切に避難行動をとれるように、被害を想定した防災訓練を行う
 オ 市町村は、災害時に避難者及び孤立・遭難者を迅速に把握するために、平時から企業や地域団体の協力を得て、地域の滞留者の把握を行う
 カ 災害発生時刻等により地域の世帯構成を考慮したなかで、福祉関係部局等と連携した要援護者支援体制を構築する
 キ 災害時要援護者(高齢者・障害者・妊婦・乳幼児等)に応じた避難所の整備を検討する
 <3>災害時に対応
 ア 行政(特に市町村)の防災部署等においては、早い段階から気象情報・河川情報や地域の状況を注視し、住民の的確な避難行動を促すために、適時、的確な避難準備情報等を提供する
 イ 行政は、避難所等の避難者を迅速かつ確実に把握することにより、遭難者や孤立者を早い段階で把握し、関係機関と情報共有した中で、迅速な救助活動を実施する
 ウ 避難準備情報等の発令と同時に、避難所等の準備・開設を行い、住民の安全な避難場所を確保する

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