業界記事

通信インフラ等の整備必要/新潟豪雨災害編<1>「被災情報の把握」

2005-08-11

 昨年、県内を襲った「7・13新潟豪雨災害」及び「中越大震災」の検証を進めている新潟県は、検証委員会(座長・平井邦彦長岡造形大学教授)を設置して検証リポートの作成を進めている。今回は、水害に対するリポート(案)のうち、『被災情報の把握』に関する内容について掲載する。
【検証テーマ:被災情報の把握】
 <1>住民における問題
◎問題となった事象
 多くの住民は、どこで何が起きているのか、自分がどういう状況にあるのか、自分がどうすればいいのか、といったことを理解できないまま、事態の進展に引きずられ、気がついたときは手遅れで、孤立、遭難に至った例が多い。
◎考えられる対応策と課題
 住民が危機を察知して行動できるための情報環境の整備と、「自らの身は自ら守る」ための住民の情報面での自助努力の両方が必要
 ア 洪水ハザードマップなどにより、地域の潜在的な危機情報を住民に周知するとともに、緊急時の情報源と取るべき行動についてもあらかじめ知ってもらう
 イ 携帯ラジオ等の情報源を自ら用意するとともに、大雨が降ってきたら常に大雨関係のニュースに注意する等の習慣をつける
 ウ 同報無線等の迅速・確実な情報伝達手段を確保し、地域に特化したきめ細かい情報、次に何をすれば良いか分かるような情報を提供する
 <2>市町村における問題
◎問題となった事象
 市町村は、区域内の各地区の状況把握が困難となったほか、得られた情報の集約・分析や全体像の把握にも手間取ったため、住民への適切な指示や県等への報告等ができない状況に陥った例がいくつかあった。
◎考えられる対応策と課題
 ア 防災無線など災害時でも使用可能な通信インフラの整備や、庁舎の浸水対策、非常電源の整備等が不可欠。防災関係施策・事業の重要性について住民理解を得る必要がある
 イ 通信インフラ整備までの間、次善の策として消防無線、携帯メール、サイレンといった現有資源を組み合わせた対応を検討する
 ウ 庁舎の立地条件から浸水可能性のある場合は、1階が浸水しても機能停止しない工夫をする
 エ 各地区の情報収集や避難支援に当たる自主防災組織の育成が必要
 オ 災害時要援護者の支援に、福祉関係部局や介護事業者等の情報と人的・物的資源を投入できるようにする
 カ 市町村の災害対策本部要員の教育・訓練を充実し、災害時には他部門職員をコントロールして実際に機能できる組織とする
 キ 国・県からの市町村に対する支援(情報提供、職員派遣、資機材提供、対応の助言等)体制を整備する
 ク 他機関との既存の連絡手段(衛星系防災行政無線、防災相互通信無線等)の取扱に職員が習熟する
 ケ 平時から市町村や地域の防災関係機関が意見交換や情報共有を行う場を設定し、緊急時の意志疎通を円滑にできるようにする
 <3>県における問題
◎問題となった事象
 県は、市町村からの被害報告に被災状況把握の大部分を依存しているため、現地の状況が把握しにくくなった。また、県での情報の集約や、災害の全体像の把握に時間がかかり、組織内での効率的な情報共有や市町村への提供に円滑さを欠いた。
◎考えられる対応策と課題
 ア 早い段階から自前の通信装備を携行した情報連絡員を市町村へ派遣するなど、自分から積極的に情報を取りに行く体制を整備する
 イ 災害対応要員の少ない小規模市町村に対しては、早い段階から災害対応業務そのものの支援のための要員派遣を検討する
 ウ 県本部での情報集約作業の省力化ツールの開発を進める
 エ 本部要員の教育・研修を充実し、被害報告と地図情報などを関連づけて被害状況を把握する手法を定着させる
 オ 国、県等の集約した情報などに説明を付して市町村へ提供する手段を整備する
【提言】
 <1>基本的な方向
 住民及び行政が、地域の災害による危機に関して、平時でも災害時でも共通の認識を持てる仕組みを作り、地域防災力の向上、ひいては被害の軽減を図る必要がある。
 <2>平時における対策
 ア 洪水ハザードマップ等により危険を周知し、「被災情報の事前把握」といった形で、住民と行政の共通認識を形成する
 イ 住民自らが、気象情報や市町村の広報に注意し、早めに非難準備等安全のための行動ができるといった生活習慣を身につける必要がある
 ウ 市町村における防災行政無線整備と停電時の電源対策が急務。携帯メールなど、民間の情報サービスを活用し、相手方のニーズに合わせた情報伝達を工夫することも必要である
 <3>災害時の対応
 ア 住民を含めた地域の意識を、早い時期に「災害モード」に切り替えるための警鐘となる仕組みが必要。住民、企業等が積極的に情報取得や被害軽減行動の準備に動き出すようなきっかけをつくるべき
 イ 市町村は、消防ルートやパトロール車両のほか、学校や区長など地域の観点から情報を取得し、概括的な情報把握に努める
 ウ 県は、市町村支援の一環としても、情報連絡員を市町村へ派遣する
 エ 市町村は、住民が求める身近な「地域内」情報を逐次提供できるようにする必要があり、同報無線やコミュニティFM放送のほか、避難所での情報掲示など従来型の手法も活用すべき

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