業界記事

佐野市葛生小中一貫校、校舎2棟や体育館改修、プールは改築、来年6月に工事発注

2019-12-04

 佐野市は、葛生中学校を拠点校とする小中一貫校「葛生義務教育学校」(葛生西3-4-1)の整備計画を軌道修正した。2020年6月を目途に既存の校舎2棟の改修工事、体育館改修工事、プール改築工事の入札を執行し、市議会9月定例会で工事請負契約締結の承認を求める方針。当初10カ月を見込んでいた工期を14カ月に延ばし、外構工事の完成を21年度末に設定し直す。22年4月の開校予定を23年4月に1年先送りする。
 10月12日の台風19号の来襲により、市内は甚大な被害に見舞われた。当面は災害個所の応急復旧のほか、本格的な復旧復興には多くの時間を割かなければならない。復旧工事を担う建設業の新たな人材確保が難しく、建設資材の調達が懸念される。
 工事を受注する建設業界は災害復旧工事に追われ、先行きが見通せない異常事態。こうした状況の中、義務教育学校を想定スケジュール通りに進めるのは困難と判断。教育現場や児童生徒へ混乱が及ぶのを回避し、工期に余裕を持たせる安全策を選択する。
 計画では葛生地区の中学校2校(葛生中、常盤中)、小学校4校(葛生小、葛生南小、常盤小、氷室小)を統廃合。施設一体型の修業年数9年間の系統性を確保。市は「4-3-2制」を採用し、1~4年生を基礎期、5~7年生を充実期、8~9年生を発展期とする。
 拠点校となる葛生中は敷地面積3万2000平方m、うち運動場が1万7000平方m。南校舎(管理教室棟)はRC造3階建て延べ3278平方m、北校舎(特別教室棟)はRC造3階建て延べ2397平方m、体育館はS造一部2階建て延べ1420平方m。
 校舎2棟は1980年11月に建設。両棟は2014~15年の2カ年間で耐震改修済み。間もなく築40年を迎え、長寿命化対策の対象施設となる。1999年12月に改築した体育館は新耐震基準を満たし、市内の小中学校で最大の規模を誇る。
 18年度の基本調査、19年度の実施設計とも土澤設計(佐野市)が担当。実施設計の履行期限は来年3月まで。校舎改修工事に際し、文部科学省へ学校施設環境改善交付金の採択を申請する。統合が含まれるため、補助率2分の1の優遇策が適用される見通し。
 当初は先行する田沼西地区小中一貫校「あそ野学園義務教育学校」(田沼西中、戸奈良小、三好小、山形小、閑馬小、下彦間小、飛駒小、田沼小の一部)に先立つ統合整備を計画。協議がまとまらず、順番を先延ばしした経緯がある。あそ野学園は20年度に開校する。
 23年度からの市立小中学校適正規模・適正配置基本計画後期計画では赤見中を拠点校とする「赤見地区施設一体型小中一貫校」(赤見中、赤見小、石塚小、出流原小)の整備を構想。葛生義務教育学校の開校延期を受け、後期計画の見直しは必至。
 市内の小学生は1981年度、中学生は86年度をピークに減少の一途。少子化に伴う小中学校の小規模化は加速度的に進んでいる。市は義務教育9年間を一体的にとらえ、子どもの成長と学習の連続性を重視した小中一貫教育を規模適正化の有効な手段に据えた。
 集団の中で切磋琢磨する機会が少ない複式学級を解消し、施設の老朽化へも対応、適正規模基準に合致させる。通学区域は円滑な自治会活動に支障がないよう現在の中学校区ごとに設定。一部地域は指定区域以外の学校へ通学しており、弊害を改善する。
 統合により廃止となる学校敷地や施設は、利活用策を協議していく。現時点では利活用策は決まっておらず、十分な検討が必要。学校は地域の歴史やコミュニティーとの結び付きを持ち、地域の実情は様々。地域住民の理解と協力が得られるよう配慮する。

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