業界記事

年間死亡無災害達成へ/市倉署長の緊急要請が契機/建災防柏分会が安全大会

2019-07-08

 建設業労働災害防止協会千葉県支部柏分会(戸邉昌之分会長)の主催による「2019年度安全大会」が先月27日、柏市内のザ・クレストホテル柏で開かれ、総勢100人余が参加。安全教育の徹底や、安全管理体制の確立等、安全意識の高揚を図るため、労働災害の防止に全力で取り組むことを決意する「安全大会宣言」を採択。柏労働基準監督署の市倉健人署長、県東葛飾土木事務所の相澤忠利所長らによる来賓祝辞のほか、柏労基署安全衛生課の松葉一之課長が『建設業の安全について』の安全講話を実施。教育コーディネーターで日能研社会科講師、五育総合研究所代表の手塚奈緒美氏を講師に迎え、『ヒューマンエラーを招く思い込みの心理学』をテーマに特別講演も行った。また、開始から約30年が経過した現在も、319人から404点の作品が寄せられ、『安全意識の啓蒙活動』と称される「安全標語」の優秀入選者として、最優秀賞1件、優秀賞3件、佳作10件を表彰した。

 「安全標語」入選者表彰も

 主催者を代表して戸邉分会長は、非会員の短絡作業から起きた死亡災害により、昨年の安全大会の前に、柏労基署の市倉署長から柏分会に対して、墜落防止措置などに関する6つの緊急要請があったことに言及。「それを受けて、昨年の安全大会の場で、今回の安全大会まで死亡事故を起こさないようにお願いした」と述べたうえで「結果的には、昨年8月に業務上の交通事故で一人の尊い命が失われたが、作業においての死亡災害事故は、本日まで起こしていない」と言明。「みなさんの日頃の取り組みに敬意を表するとともに、引き続き安全作業に心掛けて頂きたい」と呼びかけた。
 一方、建災防千葉県支部としては、本年も年間死亡災害を一桁に減らす目標を確認したうえで「県内建設業では、既に3人の死亡災害が発生。これ以上増やすことがないように、みなさんとともに安全作業に邁進していきたい」と述べ、あいさつとした。

 心揺らす安全標語/安全への原動力に

 引き続き、労働行政を代表して柏労基署の市倉署長は、柏分会が取り組む安全標語について「その言葉の一つひとつに、人の心を揺り動かす力が込められており、それが、工事現場の安全に大きく役立つと考えている」と言明。建災防千葉県支部の中でも、歴史のある独自の取り組みに対して敬意を表した。
 転じて、柏監督署管内における建設業労働災害により、昨年は2人の尊い命が失われたことに言及。短絡行動による足場からの転落・墜落災害を受けて昨年、自身が緊急要請を行った後については「『企業文化』や『現場文化』を構築して頂いた結果、1年5か月にわたり死亡災害は発生させていない」と評価。「このまま、死亡災害ゼロを目指して取り組んで頂きたい」と檄を飛ばした。
 管内建設業における休業4日以上災害については「13年から続いた5年連続の減少がストップし、前年比3件増となった」と報告する一方で、「今年は改めて減少させて頂きたい」と要請し、祝辞とした。

 安全意識の高揚/安全対策の徹底

 同じく、発注機関を代表して県東葛飾土木事務所の相澤所長は、東葛飾地域における県発注工事において、2017年度、18年度ともに5件、本年度も既に1件の事故が発生したことに「予断を許さない状況」と厳しく指摘。県としては「一定要件に該当する工事について、設計段階での安全審査とともに、安全で円滑な施工のための条件の明示や適正な仮設、安全対策などを検証し、工事着手後には安全パトロールを行い、課題があれば協議するなど、事故防止に取り組んでいる」と説明。
 これからの季節については「集中豪雨や台風の影響による突風、気温の上昇などにより、事故のリスクが高くなる」との警鐘を鳴らすとともに、会員に対して「さらなる安全意識の高揚と安全対策の徹底に努めて頂きたい」と要請し、祝辞を結んだ。


 2019年度建災防柏分会/安全標語入選作

 優秀賞

 ○日に日に変わる危険箇所 新たな時代も絶えまなく、築き上げよう安全作業/高柳由彦(小畑建設㈱)

 優秀賞

 ○慎重にあなたが摘み取る危険の芽 一歩先読む安全作業/大島翔太(㈱ダイエックス)
 ○頼るな経験 常に初心で事故防止 かくれた危険を見のがすな/水口望美(浅野さく泉管工㈱)
 ○安全は一人一人が責任者 「危ないよ」互いに声掛け安全作業/遠藤博之(新栄工業㈱)

 佳作

 ○危険だよ 油断と慣れと思い込み 初心を忘れず取り組もう/北林信也(松浦建設㈱)
 ○令和元年 ゼロ災害の第一歩 まずは基本動作と危険予知/武内千鶴子(大栄総建㈱)
 ○「めんどくさい」「まだ大丈夫」は危険サイン。まさか!を無くそう安全確認/野村直子(広島建設㈱)
 ○いつもの作業に危険が潜む 油断しないで危険予知 みんなで高める安全意識/加藤敏行(㈱成島組)
 ○声掛けて 確認重ねて確実に 危険予知して 安全作業/藤橋幸夫(池沢土木㈱)
 ○慣れた時 疲れた時 忙しい時こそ今一度 声出確認 作業確認 確実に/亀田忠照(㈱藤田土木)
 ○落ち着いて 現場は焦るな!慌てるな! 先ずは確認、指差呼称/平山 純(博正建設㈱)
 ○始業前 ひと手間掛けて ゼロ災害/小林 司(永岡建設工業㈱)
 ○自分焦らず、周り急がせず。余裕をもって基本動作 仲間と作る安全作業/吉峯啓太(㈱イズミ)
 ○進化する 安全装置を過信せず 先読み力で 事故防止/宮腰昌典(㈱コスモ工業)
 
 安全大会宣言

 我々は、人命尊重という崇高な基本理念の下、産業界での自主的な労働災害防止活動を推進し、広く一般の安全意識の高揚と安全活動の定着を図ることを目的に、労働災害の防止に懸命な努力をしてきた。
 この努力により、労働災害は長期的には減少している。しかし、建設業は、多くの危険作業を伴う仕事であり、他の産業に比べて、まだまだ高い水準で推移している現状である。
 このような状況を踏まえて本日、本大会において労働災害防止のために、マネジメントシステムの基本をなすPDCAサイクルを確立し、自主的な安全衛生管理の推進に取り組むよう呼びかけるものとして、全国安全週間スローン『新たな時代に PDCA みんなで築こう ゼロ災職場』のもと、労働災害のさらなる減少を決意。
 働く方一人ひとりがかけがえのない存在であり、各事業所で一人の被災者も出さないという決意のもと、日々の仕事が安全なものとなるよう、不断の努力を誓い、全員がルールを順守し、ゼロ災害の明るい職場づくりになお一層、邁進することをここに宣言する。

           2019年6月27日
           建設業労働災害防止協会 千葉県支部柏分会
             安全大会 実行委員長 平山 髙仁

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