業界記事

地元受注拡大へ「地域貢献実績型」/手持ちあれば減点、同種実績・表彰評価せず/総合評価で新方式案

2019-03-13

 県技術管理室は地元企業の受注機会拡大と技術力の向上を目的に、新たな総合評価落札方式「地域貢献実績型」の導入を検討している。現時点の案では、災害復旧や応急工事の実績を評価項目とし、工事成績の配点は従来型よりも下げる。さらに優良技術者表彰や同種工事実績は評価項目とせず、県発注工事の手持ちがある場合は減点評価することで、より多くの企業が受注し、実績の蓄積と技術力の向上を図れるようにする。今後、県建設業協会からの意見を踏まえた上で案を確定し、6月の県契約審議会に諮った後、速やかに試行する予定。
 同案は11日に開かれた地域を支える建設業検討会議の全体会議で示された。地域貢献実績型では、価格以外の評価点を最大8.25点に設定。最大20点を配分できる従来の工事成績等簡易型に比べ、簡易な総合評価落札方式とする。
 必須の評価項目は「工事成績」「地域貢献」「履行体制」の3項目。このうち工事成績については、工事成績等簡易型が最大7点を配点しているのに対し、2点に抑える。地域貢献の項目では、災害復旧工事等の実績に2点、応急工事等の実績に2点を配点。さらに発注機関が定める地域貢献等の実績(豚コレラ対応、県外への除雪応援、イメージアップおよび就労促進の取り組み等)に0.25点を加算できるようにする。評価対象は5年以内の実績を想定している。履行体制では、県発注工事(建設部以外も含む)の手持ちがある場合は1点を減点する。
 また、選択の評価項目として「施工体制」(直営施工または建設機械自社保有)、「地域要件」(本店所在地または近隣での工事実績)、「技術者配置(求める資格を有する主任技術者を配置または主任技術者が40歳未満)」の3項目を設定。配点は各項目1点で、3項目合わせた配点上限は2点とする。工事成績等簡易型で選択の評価項目としている「工事実績」「社会貢献」「技術者要件(実績等、継続教育、電子納品)」「建設マネジメント」の各項目は評価項目としない。
 対象工事は5000万円未満の土木一式工事またはとび・土工・コンクリート工事で、技術的な難易度が比較的低い工事とし、発注件数については現在試行している「地域貢献等を基本要件とする受注希望型競争入札」と同程度の各発注機関で年間3~5件程度を考えている。

■協会「災害協定の評価を」
 県建設業協会からは新方式の試行を歓迎する声が聞かれた一方、基準や運用に対する意見も挙がった。
 対象工事に関しては「難易度が低い工事、評価項目が少ない工事は、工事成績評定点が付きにくいという問題がある」と指摘。労務単価や資材価格の動向を踏まえ、5000万円未満という基準額を引き上げるよう求める意見も出た。
 これに対し県は「工事の選定は各発注機関の判断となるが、幅広く実績を積んでもらうという意味では、評価項目の少ない工事だけでなく、技術力の向上につながる工事も選定することになる」と回答。発注規模については「金額はあくまで目安。これに縛られることなく、柔軟に運用していく」とした。さらに、工事成績評定点に関しては「3カ年緊急対策で実施する工事に限り、従来は品質管理や出来形管理の項目のない河床整備や支障木伐採についても、評価できる項目を設定する方向で検討している」と伝えた。
 また協会は、県との災害協定を地域貢献の評価項目に加えるよう要望。県は「競争性が担保されるかということも踏まえ、検討していく」と答えた。
 新たな方式を模索する背景の一つには、総合評価落札方式が技術力に優れた企業を評価する方式であるがゆえに、受注者に偏りが生じるという問題がある。協会は「とりわけ大きな市に隣接する地域では、地元の仕事を地元の企業で受注することが難しい状況がある」と訴え、県も「今回の試行結果も踏まえ、総合評価全体についても見直しをかけていきたい」と述べた。
 なお、今回示された案は今後、県建設業協会が意見集約を行い、この意見を踏まえ技術管理室において内容を確定する。その後、6月中旬ごろに開催予定の県契約審議会で審議、承認を得た上で速やかに試行する。

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