業界記事

3ダム改修へ債務負担259億円/新規電源開発も推進/19年度電気事業

2019-03-09

 県企業局は2月県議会の企業委員会で、電気事業における2019年度の主要事業について説明した。水力発電所の大規模改修では、西天竜発電所の工事推進へ歳出予算で18億571万円を計上。さらに与田切、美和、春近発電所の事業着手に向け総額259億7424万円の債務負担行為も設定した。18年度に開発候補地点10カ所を決定した新規電源開発プロジェクトには歳出予算で9900万円を計上するとともに、27億1425万円の債務負担行為を設定。早期着手4カ所について年度内の発注を目指す。県管理ダムを活用した3発電所建設には歳出予算で8億4974万円と債務負担行為で7億188万円を措置した。
 西天竜発電所(伊那市)の大規模改修は、電気工事を明電舎中部支社(愛知県名古屋市)、土木工事を清水建設長野営業所(長野市)が担当。工期は20年3月で、運転開始は21年度の予定。
 与田切発電所(飯島町)の大規模改修は総事業費16億6000万円を試算。23年度の運転開始を目指す。新規電源開発プロジェクトにおいて与田切上流地点の発電所建設も予定しており、改修と一体的に行うことで、稼働率向上と両発電所の運用費削減を図る。
 美和発電所(伊那市)と春近発電所(同市)は、ともに25年度の運転開始を目標に事業を進める。総事業費は美和が72億6000万円、春近が158億4000万円。
 このうち春近発電所についてはPFI手法の導入の可能性も探ってきたが、民間活用による大幅な収入増やコスト減は見込めないことから、18年度に「企業局で実施し、事業者の選定方法はプロポーザル方式を検討する」との方針を決定。現時点の改修計画では、発電所と変電所は全部更新。高遠ダムより取水した水を貯める上水槽から発電所までの水圧鉄管路(延長約510m、鋼管φ2.6~3.2m)も全部更新する。天竜川への放水路(暗渠隧道、延長約820m)は補強での対応とする。
 また、裾花発電所(長野市)の出力増強には、歳出予算で6160万円と債務負担行為で7億950万円。21年度の運転開始を目指す。
 新規電源開発地点発掘プロジェクトには、歳出予算で調査費4400万円、建設費5500万円を計上するとともに、27億1425万円の債務負担行為を設定する。
 18年度に開発候補地点10カ所を決定しており、すでに詳細設計・工事一括で事業者選定に入っている小渋第2発電所構内(松川町)のほか、与田切川上流(飯島町)、湯の瀬ダム(長野市)、湯川ダム(御代田町)の3カ所は、早期着手地点として採算性が確認できれば19年度中に工事を発注する。事業者の選定方法は小渋第2発電所構内同様、プロポーザル方式による詳細設計・工事一括発注とする。小渋第2発電所構内の工事予算額は3億8060万円(上限額、税込み)。与田切上流の総事業費は24億円を見込む。湯の瀬ダムと湯川ダムは未定。
 その他の候補地点6カ所については、20年度にかけて概略調査を行い、採算性が確認できれば同年度中に発注する。6カ所のうち川上村秋山、川上村梓山、南箕輪村大泉の3カ所は、県が管理する砂防ダムを活用。長野市奥裾花は発電所を活用する。富士見町立沢ため池は、2カ所あるため池の高低差を利用。飯島町七久保北村は農業用水路への設置を想定している。
 県管理ダムを活用した3発電所建設には歳出予算で8億4974万円と債務負担行為で7億188万円を措置。このうち横川蛇石発電所(辰野町)は、19年度中に工事を終え、20年度運転開始を目指す。施工は日本工営電力事業本部(東京都千代田区)で、総事業費6億2000万円。信州もみじ湖発電所(箕輪町)は総事業費4億4000万円で、施工は藤田エンジニアリング上田営業所(上田市)が担当。運転開始予定は21年度。くだものの里まつかわ発電所(松川町)は総事業費6億6000万円で、施工はヤマウラ(駒ヶ根市)が担当。こちらも運転開始予定は21年度。

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