業界記事

東海再処理施設の解体具体化へ/県・村が同意/事業費1兆円

2018-10-10

 県と東海村は、日本原子力研究開発機構の核燃料サイクル工学研究所が計画している再処理施設(東海村村松)の廃止措置(解体)計画に同意した。廃止措置計画は国の原子力規制委員会から本年6月に認可されており、廃止措置が具体化となる。計画では、事業費は廃止費用約7700億円に当面10年間の費用約2170億円などを合わせ約1兆円。予定期間は約70年間。今後使用しない分離精製工場などの4施設から先行して廃止に移行するが、当面は設備などの洗浄や除染を行い、機器解体は2028年以降に実施する計画となっている。

 廃止措置の基本方針では、放射能レベルの高い液体状の放射性物質に伴うリスクの早期低減を当面の最優先課題とし、これらを安全・確実に進めるため、施設の高経年化対策と安全性向上対策を重要事項として実施する。
 具体的には、高放射性廃液貯蔵場の安全確保、高放射性廃液のガラス固化技術開発施設のガラス固化、高放射性固体廃棄物貯蔵庫の貯蔵状態の改善、低放射性廃棄物処理技術開発施設の低放射性廃液のセメント固化を最優先で進める。
 先行して除染・解体に着手する施設(分離精製工場、ウラン脱硝施設、プルトニウム転換技術開発施設、クリプトン回収技術開発施設)については、工程洗浄、系統除染等を行い、分散している核燃料物質を集約してリスクを低減させる。貯蔵している使用済燃料や核燃料物質は、搬出先が確保できたものから施設外へ搬出する。これらは19年度以降に工程洗浄に着手する。
 一方で、今後も継続して放射性廃棄物を取り扱う施設については、初期の目的を完了した施設から順に除染・解体に着手する。そのため、高線量系の施設から段階的に除染・解体に着手し、順次、低線量系の施設の廃止を進め、処分場の操業開始後に搬出する。
 今後、再処理施設から発生する放射性廃棄物を廃棄体化する高線量廃棄物廃棄体化処理技術開発施設と東海固体廃棄物廃棄体化施設を必要な時期に建設し、処理を行う。
 廃止措置は段階的に進めることから、最終的に約30施設の廃止措置が全て完了するには約70年間が必要と見込んでいる。
 再処理施設の除染・解体等は、管理区域を有する約30施設について、基本的に①解体準備期間②機器解体期間③管理区域解除期間―に区分し、建家ごとにこの順序で実施する。
 解体準備期間では工程洗浄や系統洗浄、汚染状況の調査を、機器解体期間では汚染区域(管理区域)の機器の解体撤去を、管理区域解除期間では建家の除染除去、保安上必要な機器の撤去、管理区域解除をそれぞれ行う。
 再処理施設は1971年(昭和46年)に着工し、07年5月までに使用済燃料約1140tを再処理した。施設は06年9月に運転を停止し、耐震性向上工事を実施した。
 現在は再処理設備本体から通常の方法によって核燃料物質を回収した状態で維持している。使用済燃料は分離精製工場の貯蔵プールに、再処理によって回収したウラン製品をウラン貯蔵所に、ウラン・プルトニウム混合酸化物粉末をプルトニウム転換技術開発施設の貯蔵ホールに貯蔵している。
 主要な廃止措置対象施設は次のとおり。
 ◆分離精製工場(MP)◆ウラン脱硝施設(DN)◆ウラン貯蔵所(U03)・第二ウラン貯蔵所(2U03)・第三ウラン貯蔵所(3U03)◆プルトニウム転換技術開発施設(PCDF)◆クリプトン回収技術開発施設(Kr)
 ◆高放射性廃液貯蔵場(HAW)◆ガラス固化技術開発施設(TVF)◆高放射性固体廃棄物貯蔵庫(HASWS)◆第二高放射性固体廃棄物貯蔵施設(2HASWS)◆廃棄物処理場(AAF)
 ◆第二低放射性廃液蒸発処理施設(E)◆第三低放射性廃液蒸発処理施設(Z)◆放出廃液油分除去施設(C)◆スラッジ貯蔵場(LW)◆第二スラッジ貯蔵場(LW2)
 ◆廃溶媒貯蔵場(WS)◆廃溶媒処理技術開発施設(ST)◆アスファルト固化処理施設(ASP)◆低放射性濃縮廃液貯蔵施設(LWSF)◆低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)
 ◆アスファルト固化体貯蔵施設(AS1)◆第二アスファルト固化体貯蔵施設(AS2)◆焼却施設(IF)◆分析所(CB)◆リサイクル機器試験施設(RETF)
 ◆共通設備等

【図=廃止措置の概要】

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