業界記事

日本初の再処理施設廃止が認可/解体撤去等に1兆円

2018-06-16

 日本原子力研究開発機構が原子力規制委員会に申請していた核燃料サイクル工学研究所再処理施設(東海村村松)の廃止措置(解体)計画が13日、認可された。大型核燃料施設の廃止は我が国で初。計画では、事業費は廃止費用約7700億円に当面10年間の費用の約2180億円等を合わせると約1兆円と巨額になる。再処理施設の除染・解体等は、汚染区域(管理区域)を有する約30施設の全ての廃止措置が完了する期間として約70年間を見込んでいる。
 廃止措置の基本方針では、保有する放射性廃棄物のリスク早期低減を当面の最優先課題とし、施設の高経年化対策と安全性向上対策を行う。
 具体的には、高放射性廃液貯蔵場の安全確保、高放射性廃液のガラス固化技術開発施設のガラス固化、高放射性固体廃棄物貯蔵庫の貯蔵状態の改善、低放射性廃棄物処理技術開発施設の低放射性廃液のセメント固化を最優先で進める。
 先行して除染・解体に着手する施設(分離精製工場、ウラン脱硝施設、プルトニウム転換技術開発施設、クリプトン回収技術開発施設)については、工程洗浄、系統除染等を行い、分散している核燃料物質を集約してリスク低減を図る。貯蔵している使用済燃料や核燃料物質は、搬出先が確保できたものから施設外に搬出する。これらは2019年度以降に工程洗浄に着手する。
 一方で、今後も継続して放射性廃棄物を取り扱う施設では、初期の目的を完了した施設から順に除染・解体に着手する。そのため、高線量系の施設から段階的に除染・解体に着手し、順次低線量系の施設の廃止を進め、処分場の操業開始後に搬出する。
 なお今後、再処理施設から発生する放射性廃棄物を廃棄体化する高線量廃棄物廃棄体化処理技術開発施設と東海固体廃棄物廃棄体化施設を必要な時期に建設し、処理を行う。
 廃止措置は以上のように段階的に進めることから、最終的に約30施設の廃止措置が全て完了するには約70年間が必要と見込んでいる。
 再処理施設の除染・解体等は、管理区域を有する約30施設について、基本的に①解体準備期間②機器解体期間③管理区域解除期間―に区分し、建家ごとにこの順序で実施する。
 解体準備期間では工程洗浄や系統洗浄、汚染状況の調査を、機器解体期間では汚染区域(管理区域)の機器の解体撤去を、管理区域解除期間では建家の除染除去、保安上必要な機器の撤去、管理区域解除をそれぞれ行う。
 再処理施設は1971年(昭和46年)に着工し、07年5月までに使用済燃料約1140tを再処理した。施設は06年9月に運転を停止し、耐震性向上工事を実施した。
 現在は再処理設備本体から通常の方法によって核燃料物質を回収した状態で維持している。使用済燃料は分離精製工場の貯蔵プールに、再処理によって回収したウラン製品をウラン貯蔵所に、ウラン・プルトニウム混合酸化物粉末をプルトニウム転換技術開発施設の貯蔵ホールに貯蔵している。
    ◇
 建家ごとの主要な廃止措置対象施設は次のとおり。
 ◆分離精製工場(MP)
 ・使用済燃料の受入施設および貯蔵施設=受入施設、貯蔵施設、プール水処理設備
 ・再処理設備本体=せん断処理施設、溶解施設、分離施設、精製施設、脱硝施設、酸及び溶媒の回収施設、製品貯蔵施設、放射性廃棄物の廃棄施設、その他再処理設備の附属施設、計測制御系統施設
 ◆ウラン脱硝施設(DN)
 ・再処理設備本体=脱硝施設、計測制御系統施設
 ◆ウラン貯蔵所(U03)・第二ウラン貯蔵所(2U03)・第三ウラン貯蔵所(3U03)
 ◆プルトニウム転換技術開発施設(PCDF)
 ◆クリプトン回収技術開発施設(Kr)
 ◆高放射性廃液貯蔵場(HAW)
 ◆ガラス固化技術開発施設(TVF)
 ◆高放射性固体廃棄物貯蔵庫(HASWS)
 ◆第二高放射性固体廃棄物貯蔵施設(2HASWS)
 ◆廃棄物処理場(AAF)
 ◆第二低放射性廃液蒸発処理施設(E)
 ◆第三低放射性廃液蒸発処理施設(Z)
 ◆放出廃液油分除去施設(C)
 ◆スラッジ貯蔵場(LW)
 ◆第二スラッジ貯蔵場(LW2)
 ◆廃溶媒貯蔵場(WS)
 ◆廃溶媒処理技術開発施設(ST)
 ◆アスファルト固化処理施設(ASP)
 ◆低放射性濃縮廃液貯蔵施設(LWSF)
 ◆低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)
 ◆アスファルト固化体貯蔵施設(AS1)
 ◆第二アスファルト固化体貯蔵施設(AS2)
 ◆焼却施設(IF)
 ◆分析所(CB)
 ・放射性廃棄物の廃棄施設、小型試験設備
 ◆リサイクル機器試験施設(RETF)
 ◆共通設備等
 ・気体廃棄物の廃棄施設、工程計装設備、空気汚染モニタリング用機器、放射線モニタリング用機器、排気モニタリング設備、排水モニタリング設備、屋外放射線モニタリング設備、電源設備、非常用電源設備、圧縮空気設備、給水施設、蒸気供給施設


【表=廃止措置費用】

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