業界記事

規格の高い道路も視野/湾岸地域ネットワーク強化/八尾光洋千葉国道事務所長インタビュー

2018-06-15

 千葉国道事務所は、国道468号首都圏中央連絡自動車道(圏央道)大栄ジャンクション(JCT)~松尾横芝インターチェンジ(IC)や、国道464号北千葉道路などの事業を推進している。八尾光洋事務所長は独占インタビューに応じ、両事業に加え、国道357号湾岸千葉地区改良(蘇我地区)を展望したほか、今後湾岸地域の道路ネットワーク強化として規格の高い道路の整備を検討し、計画策定を進めていくと説明。さらに、総合評価落札方式における若手技術者活用や週休2日確保の促進により、地域の建設業を支援する考えを示した。
<本文>
 ―事務所の主要事業を教えてください。
 八尾 圏央道、北千葉道路に大きな予算が配分されているほか、国道51号の北千葉拡幅・成田拡幅・大栄拡幅、国道127号防災などに着実に取り組んでいます。さらに、今後は湾岸千葉地区改良(蘇我地区)を進めていきます。
 ―圏央道整備の進捗をお聞かせください。
 八尾 大栄JCTから松尾横芝ICまでの18・5kmを対象に事業を進めており、当該区間の開通をもって県内は全線供用となります。3月17日には起工式を執り行いました。
 2017年度末時点の用地取得率は約67%となっています。18年度は多古地区などにおいて、用地取得箇所の環境整備や道路本体の地盤改良工事に着手しました。
 ―北千葉道路はいかがですか。
 八尾 成田市北須賀から同市押畑までの5・6kmについて、権限代行区間として事業を推進しています。
 北須賀から成田市船形までの1・8kmが暫定2車線で供用済みとなっており、残る3・8kmについても年度内の暫定2車線開通を予定しています。
 ―湾岸千葉地区改良についてお聞かせください。
 八尾 千葉西警察入口交差点からポートアリーナ前交差点まで5・6kmの6車線化整備は、16年10月に完了しました。
 17年度には、ポートアリーナ前交差点から蘇我陸橋南交差点までの5・0kmを蘇我地区として新規事業化し、6車線化に向けた概略設計を取りまとめたほか、基準点測量などに着手しました。今後は予備設計・詳細設計をまとめた後、用地の進捗に応じて工事を進めることになります。
 ―湾岸地域の渋滞解消に向けた検討の状況はいかがですか。
 八尾 湾岸地域を通る国道14号・16号・357号・京葉道路は交通量が多く、大型車の混入率も高いため、広範囲で渋滞が発生しています。さらに、東京湾アクアラインは休日を中心に渋滞がみられます。
 これを受け、千葉県湾岸地域渋滞ボトルネック検討ワーキンググループで、湾岸地域の道路ネットワーク強化について議論を重ねています。
 県や千葉市からは規格の高い道路の必要性検証とともに、早期の計画策定を求める意見が寄せられており、われわれも今後検討していきたいと考えています。
 ―地域の建設業を支援する取り組みについてお聞かせください。
 八尾 若い担い手の雇用・育成に取り組む建設企業に対する支援として、総合評価落札方式において若手技術者活用評価型を積極的に活用しています。17年度は10件の工事に適用し、18年度も同等の工事数を予定しています。
 ―生産性向上の取り組みはいかがですか。
 八尾 18年度は、土工1件・舗装3件でICTを活用する予定です。
 ICTに関しては、発注者側の理解を深める必要性を感じており、職員向けの勉強会などを開催していきたいと考えています。
 加えて、例えば電子化された施工計画書でも了解するなど、ICTならではの監督・検査方法を模索していきます。
 ―建設現場の週休2日確保に向けた取り組み状況を教えてください。
 八尾 建設コンサルタント業務の管理技術者に対して聞き取りを行い、残業時間や事務所側の指示が適切かどうか、個別に意見交換させていただいています。
 今後は、この取り組みを工事関係にも拡大していきたいと考えています。
 ―インフラ施設の維持管理についてお聞かせください。
 バスや車に設置したスマートフォンやドライブレコーダーで撮影された映像をご提供いただき、AIを搭載したソフトで路面状況を解析する取り組みを17年度末、実験的に行いました。
 日常を通してモニタリングできるようになれば、県道や市町村道においても点検作業がかなり簡略化され、費用負担・労力の軽減につながるのではないかと期待しています。
 ―地域の建設業にメッセージをお願いします。
 八尾 災害のとき、現場で真っ先に活動するのは地域の建設企業です。17年9月28日に富津市竹岡で発生した国道127号土砂流出の際には、地元の造園土木会社が一番に駆け付けてくださいました。また、家畜伝染病の緊急対策では、処分場の確保や重機が必要になります。
 建設業は日本の安心・安全を守るために不可欠な産業です。われわれも支援に力を注ぎますので、頑張っていただきたいと思います。
【略歴】
 1994年3月、東京大学工学部土木工学科卒業。96年3月、オックスフォード大学大学院理工学部修了。同年4月、入省。中国地方建設局温井ダム工事事務所工事課、在中華人民共和国日本国大使館二等書記官、四国地方整備局道路部道路計画課長、近畿地方整備局奈良国道事務所長などを経て、16年10月から現職。大阪府出身、46歳。

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