業界記事

茨城県建設業活性化指針-その6-

2005-04-27

 茨城県建設業活性化指針
茨城県土木部
【非建設業分野への進出】
◆農林水産業へのチャレンジ
 建設業は、農業同様に地場産業として形成されてきたものであり、農業から建設業に転職した者も少なくない。また、ともに屋外において自然を相手とする作業であり、共通する技術も多いことから、農業分野へのチャレンジは全国的にも多くの事例が見られる。
 茨城県は、全国第3位の農業粗生産額を誇る農業県であり、首都圏マーケットに近接するという強みも持っている。また、(株)の農地貸借等規制緩和の動きもあり、建設業にとって取り組みの可能性が十分にある分野と考えられる。
 <1>事例7
 茨城県のG社は、本業である造園業の先行きに不安を感じている中で生産効率の高いダチョウの可能性を知り、飼育を始めた。米国でノウハウを学び、牧場は本業の技術を生かして整備した。食肉の販売に加え、オーストリッチ製品の販売や、ダチョウ観光牧場を運営し、現在では造園業を上回る売り上げを上げている。
 <2>事例8
 愛媛県のH社は、社員の雇用確保と地域の農業を担うため、休耕田等を借り上げ、脱農薬による安全・高品質の作物を栽培し、レストラン、個人、スーパーなどに販売している。建設業の繁閑にあわせた労働力配置や、高効率で循環型、機械化(省力化)営農を推進している。
◆環境・リサイクル産業へのチャレンジ
 環境・リサイクル産業分野については、温暖化問題を初めとして21世紀に地球レベルで対応を迫られている分野であり、様々な新たな規制がビジネスチャンスのもととなっている。
 廃棄物処理、リサイクル、土壌汚染対策、エネルギー、健康住宅、屋上緑化等、新分野・新市場としての事業化を検討する余地が大きい分野といえる。
 <1>事例9
 茨城県のI社は、土地所有者に対する土壌汚染対策義務の賦課に注目し、土壌・地下水汚染の調査・対策等へのコンサルティング、水中の有害物質除去プラントの開発・販売を行っている。もともと水道工事を得意とし、汚染浄化ニーズに応えるためにこの分野での技術を生かし、参入している。
 <2>事例10
 山形県のJ社は、瓦礫やアスファルトなどの建設廃材を中間処理し、砂利製品として県内外の土木建設業者に販売している。建設廃材は埋め立て処理するのが通例であったが、これを再利用できないかと考えていたところに、中間処理機と出会い、導入を決断した。県内大手との連携により販路も拡大している。
◆介護・福祉産業へのチャレンジ
 介護・福祉分野については、高齢化社会の進展により介護認定者が増加し市場が拡大傾向にある。介護保険制度の見直しが進められているが、現在の年齢人口構成から今後とも高齢化社会の進展は、急速に進むため確実に需要拡大が見込まれる。
 <1>事例11
 滋賀県のK社は公共から民需へのシフトを進め、住宅に注力するうち、高齢者が快適に暮らせる住宅を作ることを事業化した。介護リフォーム事業に加え、通所介護事業にも本格参入している。建設業者として築き上げてきた信頼によって、介護サービスにおいても信頼され、またそれが介護向けリフォームに跳ね返るという好循環が構築されている。
 <2>事例12
 山口県のL社は、手すり・車椅子リフト・リハビリ用機器などの福祉関連機器の研究開発と販売を行っている。高齢化社会と身体に障害を負った場合の住宅改造における問題点に気づき、事業化に踏み切った。地元の医師会などとの協力により研究開発を行い、多数の知的所有権を取得、製品化している。
◆その他の産業へのチャレンジ
 その他の産業へのチャレンジとしては、件数は少ないもののIT活用、建設以外の分野での新技術・新工法の開発等広範囲にわたって行われている。自社の経営資源の可能性として進出が少しでも見込まれる分野については検討することが望まれる。
 <1>事例13
 熊本県のM社は、NTT管路や下水道等の地下埋設物の施工ノウハウを生かし、これらを維持・管理するためのパソコンソフト開発とデータ入力を事業化している。通常、コンピュータソフト会社が受注製作するソフトウェアを、施工ノウハウを持つ企業が開発した。社内の人材でスキルのある者やパート採用により人材を確保した。
 <2>事例14
 東京都のN社は、駅前の放置自転車の状況をみて、通勤通学以外の不定期・短時間利用者向け駐輪場のニーズを把握し、無人時間貸し駐輪場システムを開発し運営している。機器調達・ソフト開発、運営管理まで自社負担で行い、ノウハウを獲得しながら収益を上げるにいたっている。
 行政が目指すべき方向
 茨城県では、技術力強化などを通じて本業の強化を目指したり、あるいは、建設業以外の分野に進出しようとしたりする意欲ある建設業の経営者を支援するために、次の施策に取り組んでいく。
 また、健全な市場環境の整備や品質確保を重視した公共調達のあり方を模索することにより、建設業界による健全化や適正化へ向けた自律的な動きの促進を図る。
【本業強化を目指す建設業者への対応】
 これまで建設行政が行ってきた建設業許可や経営事項審査など、外形的な審査と法令規制に加え、技術力と経営力、言い換えるならば、品質と価格に誠実な建設業者を積極的に支援し、自律的な建設産業の活性化を促進する。
◆技術と経営に優れた建設業者への優先発注を進める
 指名競争入札における業者選定基準、一般競争入札における入札条件に工事成績等を反映する手法を検討する。
◆入札参加資格における技術力評点の割合を高める
 入札参加資格における工事成績、表彰等の評点の割合を更に高め、技術力評価を重視する。
◆価格によらない競争を可能にするなど、入札制度の改善に努める
 品質確保や技術力を評価することにウェイトを置く総合評価方式やVE等の入札制度の整備、拡大を図り、より適正な公共調達を目指す。
◆経営品質の向上等に努める建設企業を支援する
 ISOによる品質管理や環境への配慮、労働安全衛生の重視、更には障害者雇用の促進や男女共同参画社会の実現、社員の継続的教育など経営品質や職場環境の向上に努める建設企業を評価・支援する。
◆企画・提案を受け入れる体制をつくる
 指定管理者制度やPFIなど公共施設の整備手法の再検討を行い、民間からの企画・提案を採り入れる体制をつくる。
◆情報技術の活用を促進する
 電子入札、電子納品、電子申請の積極的な導入を図るとともに、情報技術習得のための研修会を開催する。
【企業連携・新分野進出を図る建設業者への支援】
 供給過剰構造にある建設業者が経営を革新していく中で、企業連携・協業化を進める動きや建設業以外の新しい事業への取り組みが今後は増えていくと想定される。
 茨城県では、企業連携に伴うリスクの低減を図るとともに、新たな技術や製品の開発、新分野への進出に取り組む建設業者に対して、関係部署と連携し支援していく。
◆合併、協業等への優遇措置を設ける
 合併、協業化を行う建設業者には、入札参加資格における主観点数への加算措置や指名基準における優遇措置を設けるなど、企業再編の促進を図る。
◆専門家による相談機能の有効活用を図る
 他部(局)とも連携し、本業強化、新分野進出、合併、撤退等それぞれの契機に応じた専門家による相談、アドバイス機能の有効活用を促進する。
◆研修会等を適宜開催し建設業者の意欲を醸成する
 従来からの経営者研修会のほか、企業再編、新分野進出に意欲のある建設業者のためのセミナー等を適宜開催する。
◆県等による建設業者への支援施策を体系化し有効活用を促進する
 制度融資、経営相談等の支援施策を体系的にまとめたガイドブックを作成し、その有効活用を促進する。
◆全庁的な支援体制を確立する
 県庁内に関係各課による連絡会議を設け、意欲ある建設業者を全庁的、かつ体系的に支援する体制を整える。
◆新技術の活用促進を目指す
 公共事業のコスト縮減や品質向上が期待できる新技術の活用を促進するため、新技術登録制度や発表会の開催を実施する。
【健全な市場環境の整備】
 安全で、快適な県土の形成と県民生活の向上に資するため、健全な市場環境の整備や適正な施工体制を確立し、建設業の役割と必要性が正当に評価されるよう、適切な建設行政の推進を図る。
◆建設業の役割・必要性を公共事業発注者の立場で県民に説明し、理解を求める
 平成16年度から土木部が始めた「情報発信大作戦」等を有効に活用し、公共事業の必要性、ねらいと期待する効果等を適切に県民に説明し、理解を得ることに努める。
◆談合情報への的確な対応、業者・業界への適正な競争実現への働きかけを強める
 談合情報に対して、より厳格に対処するとともに、公正取引委員会への通報を徹底する。
◆低入札価格調査制度の改善等によりダンピング防止の徹底を図る
 低入札による落札排除条件の整備や落札後の監督体制、下請け等への支払い状況検査を強化徹底する。
◆不良不適格業者の排除を徹底する
 警察当局との連携により暴力団に関連する業者の排除を徹底するとともに、建設業許可、経営事項審査、入札参加資格審査における虚偽申請等には厳重な処罰をもって対処する。
◆発注機関監督職員への研修等を強化する
 監督業務に当たる職員が、適正な施工体制の確保の知識と不正のチェックを十分に発揮できるよう、現場における技術習得と研修等を強化する。
◆工事現場の点検活動を強化する
 県発注工事について、施工体制の現場立ち入り点検を拡充強化する。
◆技術者配置違反、一括下請等には建設業法に基づく厳格な処分を行う
 不良不適格業者排除のため、法に基づく監督処分、指名停止等を厳格に適用する。
◆下請け関係の適正化を図る
 下請け契約をはじめ適正な取引のあり方を徹底させるとともに、実態調査を踏まえた営業所等への立入点検を実施する。
【公共工事発注への新たな視点の導入】
 「公共工事の品質確保の促進に関する法律案」が国会に上程され、平成17年4月から施行され、今後はこれまで以上に品質を重視した公共工事発注が求められる。茨城県では、こういった動きに的確に対応し、社会資本整備のエキスパートを目指す。
◆品質確保を重視した公共調達のあり方を調査研究する
 県発注工事での民間技術力活用の有用性、効果的な導入手法、提案された技術力の評価手法等を調査研究し、これまでの制度や新たな制度の整備運用に努める。
◆技術提案型入札制度の拡充強化を図る
 健全な市場環境の整備や民間の技術力を生かした社会資本整備を重視するとの観点から、現在は試行に留まっているVE方式や総合評価方式など技術提案型の調達方式について、調査研究を行い、導入、拡大を進めていく。
◆公共事業のコスト縮減対策を進める
 工事発注の効率化、重点化や新技術の積極的な活用を進め、公共事業のコスト縮減の実現に一層取り組む。
◆環境に配慮した公共事業の実施に努める
 建設リサイクル法の遵守を図るとともに、県工事におけるリサイクル製品の使用割合を高めるなど、環境に配慮した公共事業の推進に努め、リサイクル産業の活性化を図る。
◆発注者と施工業者の立場による意見交換等を適宜実施する
 民間の技術力を生かした社会資本整備や公共調達のよりよいあり方を模索するため、関係業界との意見交換、研修会等の場を拡充する。

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