業界記事

茨城県建設業活性化指針-その4-

2005-04-27

 茨城県建設業活性化指針
茨城県土木部
【茨城県建設業振興懇話会における意見から(抜粋)】
●建設業以外の業種では、今の仕事をこのままやっていては生き残れないという認識になれば、まずコアの事業の技術から周辺に少し移って収益性のある事業に進む。建設業においては、例えば決算書や試算表を見ても採算状況が分からなかったり、現在手がけている工事の採算見込みも終わってみなければ分からないと言った状況が多く、経営管理の基本的な精度をあげていかなければならないと言える。
●建設業は、来た仕事はすべて欲しいというのが実態。しかし、手がけた工事の採算管理がしっかりできれば、どの工事でもうかって、どの工事で損したということが分かり、今後はこういった工事はやめよう、何でもやるのではなくこういう工事に絞る、あるいはこういうエリアに絞るといった選択が可能になる。
●受注産業は、一般的には内部管理が弱いという面がある。同じ民間建築を手がけている業者でも、前受金、中間金をもらって資金を借り入れに依存しないでやっている企業があり、一方では引き渡ししても請負代金がもらえず売掛金として残ってしまっている企業がある。経営者の内部管理に対する考え方で企業格差が出てくる。
●ストック型の建設市場になっていくと、総合工事業よりも専門工事業が主体になっていくことが考えられる。リフォーム工事では専門工事業者が元請となっている事例もある。元請の総合建設業といっても、専門分野、得意分野を見つけていくことで生き残り策を考えることも必要ではないか。
【企画提案力の強化】
 地方の建設業者は、これまでは公共事業への依存度が高いこともあり、受注産業という枠の中で事業を行ってきた。しかし、今後、建設市場の縮小が避けられない中では、受注機会を待っているだけでは経営を維持することは困難になる。これからは、地域において本当に必要な事業を企画・提案する力が求められる。
 民間工事ばかりでなく、公共事業の発注においても、VE(Value Engineering、より少ないコストでより大きな製品価値を実現する手法)やPFI(Private Finance Initiative、公共施設等の建設、運営等について民間の資金とノウハウを活用する手法)の導入など、民間の企画提案力を活用する取り組みが進められている。
 また、地域再生プランなど、地域のために必要な事業を民間の企業が提案する枠組みも用意されつつある。平成16年6月に公布された景観法では、自治体が独自に「景観計画区域」や、都市計画区域内に「景観地区」を定められることになっており、建築物の形態意匠や高さなどに規制を加えることがでる。
 居住環境や景観の維持保全に関する地域のニーズは、人口減少時代の中でますます高まっていくと予想され、建設業者はこうした動きに専門の立場で関わっていく役割も期待される。
 さらに、平成17年4月に施行の「公共工事の品質確保に関する法律案」においては、施工方法に工夫の余地のある工事は入札・契約において技術提案を標準で求めることとされている。
 地域の中小・中堅建設業者が、本業を継続・強化していくためには、こうした新たな需要にも適確に対応できるよう技術の研鑽と企画提案力の強化に努めていく必要がある。
【茨城県建設業振興懇話会における意見から(抜粋)】
●建設業は受注産業であったために、経営計画を立てるのが不慣れであるが、これからは自ら企画立案して経営計画を立てていく姿勢が大事であり、企画力がなければ仕事を受けられない時代にも入っていくので、経営者としては是非とも必要な資質になる。
●少し時間はかかるかもしれないが、地域社会の中で仕事を創出していくという企画を考えていかなくてはいけない。地域住民とかNPO活動を支援しながら、その中で事業機会が出てくるということもあるのではないか。
●本業強化にあたっては、やはり時代の流れを把握し、民間の経済と連動するところに軸足を移す選択も大事だ。
●経営だけきちんとすれば本業が強化されるかといえば、そうではない。建設業は最終的にきちんとしたものを作るということ、技術力の強化とか施工品質の確保といったことこそが最も大事なものである。
【連携・統合による経営強化】
 建設業者が本業で生き残っていくための最も基本的な方策は、現場管理を通じて、出来上がりの面でも収益性の面でもいかに質の高い施工を確保していくかにかかっている。しかし、競合が激しくなっている現在の経営環境の中では、これまでの建設業の枠にとらわれない新しい経営戦略の選択も必要になる。
 その選択肢として、経営資源の統合によりその有効活用や経営基盤の強化を図る「企業合併」や、同業他社との相互補完を目指す「企業連携」などの方策がある。現在、国をはじめとした建設行政においても重点的な施策として位置づけられ、様々な支援策も用意されてきている。
 茨城県においても、H17・18年度の入札参加資格審査から建設業者の合併や協業化の際に点数の加算措置を講じるとともに、その後の発注工事において指名の優遇措置を導入することとしている。
 今後は更に、本業強化の一環として、コスト管理の徹底や分業・外注による経営の効率化の延長線上で、資機材調達の共同化等の企業間連携、合併や協業組合の設立などの経営統合について検討していくことが望まれる。
【企業合併等の選択】
 「地方の建設業は家業として発展してきたことからサラリーマン経営者同士である大手ゼネコンのような合併は難しい」「建設業の合併は1足す1が2にならない(消滅企業の指名、受注実績がなくなってしまう)」等の懸念から、これまで県内では系列企業の合併以外はほとんど見られないのが実態である。
 しかし、大手ゼネコンが金融機関主導で再編された結果、建設市場の縮小にも関わらず増収増益傾向も見せ始めている現実を目の当たりにして、地方の建設業といえどもこれらの動きに無関心ではいられないものと考える。
 土木工事と建築等の得意分野の異なる企業同士の合併、営業エリアの異なる企業同士の合併、撤退企業の吸収合併等、様々な合併の形態があり、それらによっては言われているような家業意識の払拭も可能とも考えられる。
 また、県では平成17・18年度入札参加資格申請に合わせ、合併後3年間は経営事項審査点数の10%を加算して格付け(4、5年目は5%加算)することや、同じく3年間は消滅会社を所管する工事発注機関からの指名を継続させる等の優遇措置を設けた。
 これらをひとつの契機として、縮小していく建設市場の中での生き残り策を考えることも必要と言える。
【共同化・協業化の選択】
 茨城県内の建設業者は、法律(中小企業等協組法、中小企業団体の組織に関する法律等)上は、ほぼすべてが中小企業者(資本金3億円以下又は従業員300人以下の企業)である。国(中小企業庁)や県等には、種々の中小企業に対する経営支援施策が整備されているので、茨城県内の建設業者はこれらの支援策を活用できる立場にある。そうした施策のうち、自社に適用できそうなものを見出し、活用することも有効である。
 この場合、単独企業に対する施策もあるが、ここでは協組、協業組合の設立について、基本的な考え方を示す。
◆協組
 原則として中小企業者4名以上で組織し、行政庁の設立認可を受ける必要がある。協組は、建設業者が個々に行っている事業の一部を共同化することで、スケールメリットや個々の負担の軽減を図ることを目的とし、具体的には、共同受注、資材の共同購入、新技術の共同研究、従業員福利厚生の共同化等を行うもの。
 共同受注に関しては、他産業の協組と違い、協組自らが建設業の許可を受けた上で元請として受注し、組合員は下請として施工に当たることに注意が必要だが、国、県とも建設業の許可を有する協組については、特例措置を設けて入札参加資格の優遇を行っており、これらの有効活用も可能。
◆協業組合
 原則として中小企業者4名以上で組織し、行政庁の設立認可を受ける必要がある。協業組合は、建設業者が個々に行っている事業の一部又は全部を組合に集中(協業化)し、協業化した事業に関しては個々の建設業者はその事業を廃業することになる。
 例えば、土木と建築を行っている建設業者同士が協業組合を設立し、建築工事について協業組合事業として行う場合、個々の建設業者は建築部分を廃業し、土木工事に専念することになる。協組より合併に近い組織といえるが、合併と違い個々の企業は存続すること、協業した事業は当然スケールメリットが働き個々の企業では得られなかった大きな企業体となり得ることが特徴。
 県では17・18年度入札参加資格申請に合わせ、協業組合についても合併同様の優遇措置を設けており、この有効活用が期待される。

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