業界記事

茨城県建設業活性化指針-その3-

2005-04-27

 茨城県建設業活性化指針
茨城県土木部
【建設業界に求められる変革】
◆これまで建設業が果たしてきた役割
 わが国は19世紀後半に国際社会の一員となったため、西欧と比較して相当の社会資本の遅れがあったうえに、第二次世界大戦で都市を中心に壊滅的な打撃を受けた。それにもかかわらず奇跡の戦後復興を成し遂げたのは、政府や国民はもちろん、施工に当たった建設業者の貢献によるところが大きかったといえる。
 しかも、日本は欧米と違い狭く急峻な山河をもつ特有の国土で、その整備の困難さは今日でも想像にあまりあるものがある。そのような努力にもかかわらず、地震や風水害は毎年必ず全国各地で被害をもたらし、防災対策や災害復旧活動は終わることのない不可欠な作業と言わねばならない。
 また、これらの作業を含む公共事業は、資本主義経済に不可避の景気循環に対する最も重要な経済対策のひとつとして位置づけられてきた。その間、雇用の調整役としても建設業が担った役割と社会的な貢献は大きなものであったと評価しなければならない。
◆建設業を取り巻く状況の変化
 バブル経済崩壊後の長期的な不況の継続による財政悪化に対し、解決策として構造改革路線がとられた。その結果、国民生活への直接の痛みが顕在化し、それにつれて、国民の間に急速に「公共事業不要論」が台頭してきた。
 この時期は同時に、世界的に市場経済を絶対化するグローバリゼーションが伸張した時代であり、あらゆる産業に対し徹底した競争を求める風潮が主流となったことから、建設業のように業界内部の因習を引きずったり、狭い、閉じた市場で緩やかな競争しか行わない業界に対して、厳しい批判が向けられている。
 このような批判を受け、公共工事の発注においては従来型の指名競争入札だけでなく、一般競争入札による発注を拡大するなど、透明性、競争性を高める制度への転換が進んでいる。反面、そのことが建設投資の減少と相まって一部には過当競争を引き起こし、ダンピング受注が行われていることも問題視されてきている。
 これらの動きに対し業界中央は、建設業に対する正当な評価と、技術力を競う適正な公共調達制度の確立を求めて動き出し、国もそのような制度を研究すると同時に技術力を評価した入札制度の導入を進めている。地方においても早晩、技術力を評価した入札制度が主流となると思われる。
 また、IT革命の進展に伴い電子政府、電子県庁等の計画が進み、その一環として建設業においては建設CALS/EC計画に基づく電子入札、電子納品が具体化し始め、今後はこれらへの対応も不可避になると考えられるなど、総じて建設業を取り巻く状況は、明治以来の大きな転換点にあると言える。
【これからの建設業のあるべき姿】
 建設業を取り巻く環境の変化に対応するため、業界全体が目指すべき基本的な3つの方向を提言する。
◆建設業の産業・職業としての魅力を高める
 道路をはじめとした社会資本の整備は、着実に国民生活の向上につながっており、今でも多くの未着手の社会資本整備事業に対し、その実現を要望する多くの人達が存在する。建設業はそのためになくてはならない産業である。「地図に残る仕事」というキャッチコピーが示すように、建設業は魅力ある産業である下地は十分にある。
 建設業は、これから社会に出る人達が一生の職業として選択できるような魅力ある産業でなければ、技術力を持った優秀な人材を確保し育成することが不可能になる。
 必ずしも正当な評価が得られていない現在の建設業を、文字どおり魅力ある産業に高めるため、建設業界として建設業全体のイメージアップ、レベルアップにつながる取り組みが期待される。
◆適切な競争体質を構築する
 明治以来社会資本の整備に奔走してきた時代は、社会全体が公共工事の受注者選定について、質の確保は重視しても価格又はその手続きには寛容であったと言える。しかし、今や時代は大きく変わり、国民は、品質はもちろん価格を含む受注手続きに大きな関心を示している。
 従来型の地域慣行の中で受注調整を図る行為は、今後益々批判が高まることを認識し、建設業界は適切な競争体質の構築について、業界としてできること、発注側に求めること、法改正を要すること等その考え方をまとめ、できることから対策を講じるべきである。
◆変化する社会情勢に対応した新しい建設業モデルを構築する
 少子高齢社会の本格化の中で、建設分野も新たに作ることから維持補修への投資比重が増すと言われ、また、公共調達においては技術提案型の入札制度の拡充や電子入札、電子納品が本格化し、あるいは、新分野進出、合併、協業等の再編、生き残り策が動き出しているなど、建設業界は今大きな転換点を迎えている。
 このような時代にあって、建設業はどうあるべきかを、個別企業ではなく建設業界が全体を見渡した議論をすべきである。
 総合建設業のあり方、専門工事業のあり方、企業再編、新分野進出等への考え方、適切な競争を可能にするための公共発注のあり方等、行政側からではない業界からの議論のとりまとめが望まれる。
【建設業者が目指すべき3つの方向】
 個々の建設業者が目指すべき取り組みには、大きく3つの方向が考えられる。
 第1は、これまでどおり自社の枠の中で本業である建設業の技術力と経営力を強化していくという方向であり、第2は、自社の枠を超えて他社との合併、協業等により建設業の強化を図る方向であり、第3は、建設業を継続するか否かに関わらず新たな収益源として新分野進出を目指す方向である。
◆自社経営の一層の強化
 <1>技術力・経営力の強化。
 <2>企画提案力の強化。
◆連携・統合による経営強化
 <1>企業合併等の選択。
 <2>共同化・協業化の選択。
◆新たな収益源の確保
 <1>建設関連分野への進出。
 <2>非建設業分野への進出。
【自社経営の一層の強化】
 1990年代の後半から、建設業に限らず各産業分野において、世界経済のグローバル化を背景とした厳しい競争環境が生まれており、その中での生き残りをかけた経営の見直しが求められてきた。
 建設業は、現場での作業を伴う地域性の高い産業であり、かつ受注生産であることなど、一概にその経営のあり方を他産業と比較できない面がある。
 しかし、前章で見たように少子高齢・人口減少社会の到来や財政難による公共投資の減少が進む中で、公共調達においても一層の競争性の確保が求められる一方、競争激化に伴う建設業の利益率の低下も指摘されている。
 また、平成17年度から施行の「公共工事の品質確保に関する法律案」では、価格だけの競争ではなく建設業者からの技術提案や工事品質の評価も取り込んだ競争方式を導入していく方向が示されている。
 建設業者が本業の継続さらに強化を図るためには、現場の施工品質を確保する技術力の一層の強化が基本となることは言うまでもない。しかし、建設投資の減少で競争激化が避けられない現在のような環境変化の中では、経営管理力や企画提案力の強化も避けられない課題となる。
【技術力・経営力の強化】
 厳しい受注環境の中で利益を確保していくために最も重要なことは、本物の工事管理能力であると言われている。工事管理をいかに高度化していくかという観点で、現場の改革に具体的に取り組んでいく必要がある。
 建設工事には、工程管理、品質管理、安全管理、原価管理という4つのファクターがあると言われている。
 受注した工事を確実に仕上げていくうえで、工程管理、品質管理、安全管理を適切に実施することは建設業者として当然のことだが、経営の面からすると現場における原価管理が今後特に重要になる。
 ダンピングや下請たたきとは別次元の、仕入管理や下請管理の合理化を通じた継続的・安定的なコスト縮減、そうした管理技術を有する技術者の育成・確保が求められる。
 このような経営を支える人材の育成や従業員の確保と一体的に、労働安全衛生マネジメントの徹底や電子入札に見られるIT化への対応、工事を施工する上での環境対策への配慮などについての体制の整備が重要になる。
 また、自社の有する経営資源の効率的な活用という面では、敢えて専門工事業に特化し、専門技術を磨いて受注を拡大している企業の例もあり、今後は、このような自社の強みを生かした経営あるいは得意分野への絞り込みといった経営戦略についても再考する必要があると考えらる。

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