業界記事

茨城県建設業活性化指針-その1-

2005-04-27

 茨城県建設業活性化指針
茨城県土木部
【まえがき】
 平成15年度の建設業経営者研修会において行ったアンケート結果によると、本県の建設業は「土木中心」が5割強、「建築中心」が2割弱、「設備中心」が2割強となっており、建築、設備業における官民割合が明確ではないが、いずれにしても公共工事に依存する割合が少なくない状況が再確認された。
 しかも、総務省の事業所統計調査によると、本県建設業は、従業員10人未満の業者が8割を超える小規模零細性を示している。
 この現状の中で、官民合わせた建設投資はピークの平成5年から4割減少し、特に公共投資は今後とも減少傾向にあると考えざるを得ないことから、本県建設業界が抱える課題の深刻さは十分に推察される。
 建設業が本県経済に占める割合、従事労働者数は、共に1割を占める基幹産業であり、更に建設業は、県をはじめとした公共団体が行う社会資本整備の担い手であるとともに、住宅建築を始めとした県民生活においてもなくてはならない存在であることから、県としては過剰供給構造にある建設業を「市場を通じた淘汰」のみに委ねることはできないものと考える。
 もちろん、個々の業者の盛衰は、その業者の意欲と自助努力にかかるものであることは言うまでもないが、その意欲と努力に対し行政としてできる範囲での支援を行うこともまた、行政としての責務と考える。
 そのような観点から本指針は策定されたものであり、ここでは、行政として考えられる本県建設業へのあり方の提言を行うとともに、これからの建設業行政が向かうべき方向も共に提示している。
 また、これらを基に、個々の建設業者が支援施策を具体的に活用するための「ガイドブック」も併せて編纂した。
 「苦しいときほど知恵を出す最も好機である」という言葉があるように、本県建設業にとっては今がその時期であるとの認識をもち、この先に力強い企業として存立するため、本指針並びに別冊ガイドブックがその一助を担うものとなることを願っている。
 本県建設業の現状と課題
【県内建設業の直面する現状】
 ※仕事は半減したが、業者数は減っていない。
 県内建設投資額は1993年度の2兆3249億円をピークに、2003年度で1兆2863億円と約4割減少しており、特に公共事業の発注額は半減した。一方、この期間の県内許可業者数は2000年まで増加を続け、ここ数年は減少傾向にあるものの、依然として1万4000者前後で推移している。
 鹿島開発や筑波研究学園都市、常陸那珂港の整備等の国家的なプロジェクト等と県内人口の増加を背景として、地域のインフラ整備や雇用に貢献してきた建設業だが、ここにきて受注額が急減するなかで供給過剰構造という厳しい環境に直面している。
 これまで建設業各社は受注減少下にあってもなんとか事業所数や従業者数を保ってきたが、2000年前後に倒産件数が急増し、今後も厳しい状況が続くことが予想される。
【県内建設業の特徴と課題】
 建設業には、他の産業にはない多くの特質がある。そのことが今、特に経営上の課題となっていることが指摘できる。
 ここでは、建設業界一般と、茨城県内の建設業という観点から特徴と課題を整理した。
【建設業の一般的な特徴と課題】
◆公共投資に経営を左右されやすい業界である。
 これまでは他の産業に比べて公共投資が中心であることが事業の安定化要因だったが、今後は事業者の自助努力に拘わらず縮小せざるを得ない市場となる。縮小する市場の中で生き残れる競争力を身につけること、あるいは公共投資のみに頼らず、民間需要に対応しつつ安定した経営を行うこと、さらには新しい分野への転換を図ること等が今後の課題といえる。
◆発注者から受注して仕事が始まる業界である。
 発注者から注文があってはじめて仕事が始まる受注産業であることが、技術者や労働者の雇用管理を困難にしている。また、受注型産業であることから、待ちの姿勢となったり、セールス意識が弱くなりがちである。さらに工事間の比較が難しいために品質の問題が起こりやすく、過度な価格競争の危険もある。
 セールスや品質管理、品質保証に積極的に取り組むとともに、価格以外の要素を踏まえた多様な入札・契約方式などへ対応していくことも課題となる。
◆多くの人手を必要とする業界である。
 人の数に頼らなければならない作業が多いことから、仕事の繁閑によって余剰人員を抱えやすい産業である。さらに新規開業が容易であることから、常に不良不適格業者を含む過当競争に対処しなければならない。
 こうした状況に対応していくには、人材の育成に力を入れるとともに、繁閑の差を少なくする営業、機動的な労働力の活用などによる効率的な経営を行うことが課題となる。
◆元請・下請関係により、企業間に不平等な関係が生じやすい業界である。
 建設業は、ひとつの工事に複数の企業が重層的に関わって元請・下請の共同作業を行うことが一般的であり、この関係は上下関係になりがちで、下請け側が不利な契約条件を強いられる等の問題が生じやすい業界である。
 対等な協力関係の構築は建設業法の遵守事項であるばかりでなく、元請け、下請けを問わず建設業の健全な発展に欠くことのできないものであり、これらの環境整備を行うことが課題となっている。
◆地域の様々な事情に影響されやすい業界である。
 地域密着型の産業であることから、地域経済の発展や雇用などを支えてきた実績がある反面、地域の政治や人間関係の影響を強く受けやすく、市場が地域的、地縁的になりがちである。また、地理的な制約を越えて他地域の市場に漕ぎ出すことは容易ではない。
 企業連携や協業化によって市場の拡大を視野に入れた経営を行うこと、地域のコミュニティと密着することで、新しい需要を創造していくことも課題である。
【県内建設業に見られる特徴と課題】
◆茨城県内の建設業者は小規模事業者が中心である。
 県内の建設業者は、10人未満の事業所が83・2%を占め(全国は77・8%)、小規模な企業が中心である。また県内の大手企業を見ても、完成工事高が100億円を超える企業が数社ある程度で、他県と比べると小企業が中心の構成となっている。
 今後取り組むべき選択肢が本業の強化であれ、新分野への進出であれ、安定した経営基盤を確立するための対応策を進めるには、企業再編による規模の利益追求もひとつの選択肢になり得る。
◆茨城県には産学官連携の下地が整っている。
 茨城大学や筑波大学をはじめとする県内の高等教育機関において、優れた人材の育成が行われている。また本県においては、研究学園都市「つくば」などに集積している知的な研究成果を、県内中小企業や農業者へ技術移転するための支援も進められている。
 今後は建設業者においても、こうした人材の活用や技術移転の成果を視野に入れた経営を模索する必要がある。
◆茨城県は立地条件に恵まれている。
 本県は首都圏に隣接し、陸・海・空の交通ネットワークの整備が進められている。その立地条件は建設産業のみならず、全産業において様々な影響を及ぼしているものと考えられる。
 ただし、産業立地や市場としての魅力が高い一方で、そのことが他地域の事業者の参入を容易にしている側面もあり、県内事業者が必ずしも十分にその恩恵に浴しているとは言えない。
 本県の建設業者は、他県から参入する建設業者に伍して、この立地条件を生かした受注活動が可能となるよう、技術力、経営力の向上を図る必要がある。
◆県内でも地域ごとに取り組むべき課題の状況が大きく異なる。
 県内の各地域は、それぞれ異なった状況の下でそれぞれに課題を抱えている。人口減少と高齢化の進行が早い県北地区では地域社会の維持が困難であったり、首都圏に近い県南地区では業者の過当競争が見られるなど、課題は様々である。
 こうした地域ごとの課題に対して、建設業で培った維持補修等に関するノウハウや公共工事を通して地域づくりに貢献してきた実績を生かして、住みよい地域環境の整備などの面で、引き続きその役割を果たしていくことが期待される。

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