業界記事

使用者の権利濫用制限/今秋にも最終報告書を/今後の労働契約法制で

2005-04-19

 厚生労働省はこのほど「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」の中間取りまとめを明らかにした。労働契約法は既存の労働基準法とは別の民事上のルールを定めた新しい法律となるもので、労働契約の成立(採用内定、試用期間)・変動(配置転換、出向、転籍)・終了(退職、解雇)などに関する要件や、安全配慮義務、労働者の個人情報保護義務などの整備、さらに、「雇用継続型契約変更制度」の導入などが検討されている。労働者の多くが経験する「配置転換(転居を伴う場合)」や「出向」などを使用者が実施する場合には「労働基準法第15条■に基づき明示しなければならない」とするなど、使用者側の「権利濫用」に一定の制限を加えていることが特徴である。
 近年の就業形態・就業意識の多様化に伴う労働条件決定の個別化の進展や経営環境の急激な変化、個別労働関係紛争の増加や集団的労働条件決定システムの機能の相対的な低下を踏まえ、労働者の創造的・専門的能力を発揮できる自律的な働き方に対応した労働時間法制の見直しの必要性が指摘されている。
 このため、同省では昨年4月から「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」(座長・菅野和夫明治大学法科大学院教授)を開催し、労働者が納得、安心して働ける環境づくりや今後の良好な労使関係の形成に有効なように労働契約に関するルールの整備を検討してきた。このたび中間とりまとめを行ったもので、今秋を目途に最終報告を取りまとめる方針である。
 中間取りまとめのポイントは次のとおり。
 [労働者代表制度]
 労働条件の設定に関する運用状況を常時調査討議することができ、労働条件の決定に多様な労働者の利益を公正に代表できる常設的な労使委員会を設置する。例えば、就業規則の変更の際に、労働者の意見を適正に集約した上で労使委員会の委員の5分の4以上の多数により変更を認める決議がある場合に変更の合理性を推定することや、労使委員会における事前協議や苦情処理などの対応を、配置転換、出向、解雇などの権利濫用の判断基準のひとつとする。
 [雇用継続型契約変更制度]
 労働契約の変更に関して、労働者が雇用を維持した上で労働契約の変更の合理性を争うことを可能にするような制度(雇用継続型契約変更制度)を設けることを検討することが適当である。
 [配置転換]
 配置転換に関する権利濫用法理については、法律で明らかにすることについて議論を深めることが適当である。転居を伴う配置転換については、その可能性がある場合にはその旨を労働基準法第15条に基づき明示しなければならない。この件に関する事項を就業規則の必要記載事項とすることについて検討する。
 [出向]
 出向の可能性がある場合にはその旨を労働基準法第15条に基づき明示しなければならない。また、この件に関する事項を就業規則の必要記載事項とすることについて検討する。さらに、出向についても権利濫用法理を法律で明らかにすることについて議論を深めることが適当である。
 [安全配慮義務]
 使用者は、労働者が労務提供のため設置する場所、設備若しくは器具などを使用し、または使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体などを危険から保護するよう配慮すべき義務を負うとする安全配慮義務について、法律で明らかにすることが適当である。
 [個人情報保護義務]
 どのような規模の企業も、労働者の個人情報を適正に管理しなければならないことを法律で明らかにする方向で検討する。
 [解雇権濫用法理]
 解雇は、労働者側に原因がある場合、企業の経営上必要な場合、またはユニオン・ショップ協定などの労働協約の定めによるものでなければならないことをあきらかにすることについて検討する。解雇に当たり、使用者が講ずべき措置を指針などにより示す方向で検討する。
■労働基準法第15条
[労働条件の明示]
 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
 <2>前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
 <3>前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

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